2022.04.01 10:00

お嬢と従者のドタバタ逃避行！　『ヒロイン不在の悪役令嬢は婚約破棄してワンコ系従者と逃亡する』の面白さに魅せられて

文＝白石弓夏

　もちろんヴィアラのパワフルでキュートなところも好きだ。王子に鉄拳をくらわすところなんかは、バトル漫画さながらであった（一瞬、『鋼の錬〇術師』の「立てよド三流」のシーンかと思った）。さらに、死刑エンド回避で印象を良くするため、これまでのキリッとしたデコ出しスタイルから、前髪パッツンで少し幼い感じに変身するなど、笑いあり、涙なしでツッコミを入れたくなるようなところも多い。

　そして、なにより従者のシドだ。最高位の魔導士、従者として頼りになる存在で、基本的には優しく紳士的。たまに軽口をたたいて調子がいいところもありながら、忠実な「犬」らしく、全力でヴィアラを守る姿が印象的だ。そうかと思ったら、不敵な笑みを浮かべたり、腹黒さもあったり、ちょっと強引で策士。従者としての行動なのか、シドの本心なのか……。正直にいうと、筆者はこのシドのかっこよさとあざとさに振り回されてドキドキしっぱなしで、のめり込んでしまったといっても過言ではない（笑）。ワンコ系男子に弱い人は、すぐに落ちるのではないか？……この沼に。

　コミックス版では、作中で着ている衣装や装飾品の解説もあり、その世界観にも魅せられる。セリフ運びも軽快なので、原作もあらためて読んでみたいと思う。今後も逃亡先でのドキドキハプニングに期待大だ！