1億回読まれたお仕事マンガ『今どきの若いモンは』なぜ面白い? “究極の上司”=石沢課長が読者を魅了する理由

骨太なビジネス作品が好きな読者にも

 オフィスを舞台にしたコメディとしても楽しめる『今どきの若いモンは』だが、実はまた別の見方もできる。

 現在、ネット上で第3話まで無料公開されている実写ドラマは、石沢役の反町隆史と麦田役の福原遥が好相性で、原作にいくつかの設定を加えて膨らませた魅力的な内容になっている。シリアスなパートとコメディのバランスが秀逸で、ある新入社員の成長物語としても楽しむことができ、何より石沢がカッコよく、麦田が愛おしくなる。これは一つの大正解だ。

 一方で、実は原作には『半沢直樹』(2013年~TBS)ばりの熾烈なエピソードも収録されており、バチバチの競争と知略戦が繰り広げられている。特に石沢の過去が描かれるエピソードは緊張感に溢れ、カタルシスが感じられる痛快などんでん返しも魅力的だ。

 石沢がなぜ、現在のような“究極の上司”になったのか。なぜその言葉に否応ない説得力が宿っているのかーーそのことがパズルのピースのように少しずつ明かされていくため、時おり最初から読み返してみると、一つひとつの言葉にまた違った深みが感じられる。いずれにしても、本作は「優しい上司/素敵な職場に憧れる若者」だけが楽しめる作品ではなく、例えば骨太なビジネス小説を愛読している人にもおすすめできる、ということは間違いない。

 「今どきの若いモンは」という、一般的にネガティブなフレーズをフックに、多様な表情を見せてくれる本作。ドラマが話題のいまこそ、連載に追いつくいい機会だ。仕事に悩む若手ビジネスパーソンも、“素敵なおじさま”が好きな人も、ヒリヒリする交渉や知略戦が楽しみたい人も、ぜひ『今どきの若いモンは』をチェックしよう。

■『今どきの若いモンは』
https://cycomi.com/fw/cycomibrowser/chapter/title/87

トップ画像:(c)Kohei Yoshitani/Cygames, Inc.

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