【漫画】水道の音に耳をすませば、恋の予感? Twitter漫画『音楽鑑賞なら水道の前で』の表現がおもしろい

ーー学校で異性に呼び出されたときの胸の高鳴りや、日常に存在する水道の音など、音の存在をつよく感じた漫画でした。創作のきっかけを教えてください。

DAIK:家の洗面所で発する排水の音からインスピレーションを受け、本作を創作しました。音の存在にきづいたときに、水が流れるときにはこんな音がするんだと自分自身が驚きましたね

ーー目には見えない音を表現するなかで意識したことを教えてください。

DAIK:音が聞こえたシーンだけでは自分の感じた音をうまく伝えられないと思い、その前後となる場面や場所の描写を入れました。

 校舎や室外機を描いた6ページ目はネーム(構図やコマ割りを記した設計図のようなもの)をつくったときには存在していなかったページです。5ページ目の「ポラン・・」というオノマトペのあとに音の余韻や響きを表現するため、キャラクターの登場しない、背景のみを描いたこのページを描こうと思いました。

 また音の存在を強調できればと思い、耳をすますシーンへ進むにつれて、キャラクターの台詞を減らしたことも意識していた点です。

ーーDAIKさんは過去に音楽にまつわる漫画作品も描いているかと思います。音や音楽に抱く思いとは?

DAIK:音や音楽は言葉よりも抽象的で曖昧なものであるからこそ、気持ちを共有できたり、人の心の深くに入ることのできる媒体なのかなと思います。

 中学生や高校生のころに聴いていた音楽を耳にすると、当時の情景が今でも浮かんできたりと。自分にとって、音や音楽はとても大きな存在であるため、水の音を題材とした漫画を描いたのかなと思います。

ーー八雲さんが逸美くんを呼び出した理由とは?

DAIK:逸美くんだったらこの音が伝わるんじゃないか、自分のなかの音が聞こえるんじゃないかという思いから、八雲さんは彼を呼び出したのだと思います。逸美くんは八雲さんから呼び出されたことから、彼女をはじめて異性として意識し始めました。そんな逸美くんとは異なり、八雲さんの気持ちは曖昧な部分を残して描いています。

ーー最後のページで描かれた、台詞のない、八雲さんの表情だけ描かれたコマが印象に残っています。

DAIK:八雲さんの心情を曖昧にすることで読者の方が物語の続きを想像しやすくなったり、自身を投影しやすくなるかなと考え、このシーンを描きました。

 多くの人が経験したことのある学校生活を題材としているため、八雲さんの心情やふたりの関係を曖昧に描くことで、読んでくださった人それぞれに受け取れるものが生まれると思っています。

ーーDAIKさんは漫画作品やイラスト、アニメーションなどを発表されています。創作活動をはじめたきっかけとは?

DAIK:小学生のときから絵を描くことが好きで、絵を描きながら大きくなりました。幼いころから漫画家になりたいと思っていたものの、高校生のときに漫画家を目指すことを諦めてしまったんです。

 社会人になってから再び漫画を描こうと思い、その後押しとなったのが「iPad」と「Apple Pencil」の存在でした。今まで漫画を描くことは大変で遠い存在でありましたが、ふたつの道具だけで気軽に絵を描けることが漫画との距離を縮めてくれたのだと思います。

ーー今後の目標を教えてください。

DAIK:今は自分の思ったことを日記のような感覚で漫画として表現し、世の中に投げかけています。自分の作品がもっと多くの人に見てもらえるように、SNS以外の媒体でも作品を発表していきたいです。

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