【漫画】幽霊が好きな保健の先生、その正体は……Twitterで公開された短編ホラー漫画がすごい

一番影響を受けた作品は人気ヒーロー漫画

――現在の制作活動について教えてください。

ウエマツ七司さん(以下、ウエマツ):漫画家一本でなんとかやっていけています。ひたすら漫画を描いていて、形にならないことも多いですが……。

――漫画制作を始めたキッカケは何ですか?

ウエマツ:絵自体は幼稚園の頃から描いていたと記憶しています。自由帳にコマを割って描いたのは小学校高学年くらいでした。小学生のころからジャンプを読み始めたので、ジャンプ作品は漫画の基礎としてあると思います。

他にもガンガンの『鋼の錬金術師』や『魔法陣グルグル』、『RUN day BURST』など、少年漫画やコメディ漫画、絵としての影響を受けた人はたくさんいます。中でも、革命的に影響を受けたのは『僕のヒーローアカデミア』です。この作品に出会う以前と以降では、脳みその作りが入れ替わるくらい作品に対する熱が変わったと思います。

――ちなみに『僕のヒーローアカデミア』から受けた影響は?

ウエマツ:キャラクターによって様々な世界観を魅せてくれる点です。その強すぎる“個性”から葛藤を覚えるキャラ、ヒーロー社会そのものに疑問を持つキャラなど、キャラによっていろいろな世界が広がることにとても感動しました。

――本格的に漫画制作を始めた時期は?

ウエマツ:漫画を初めて描き上げて投稿したのは13歳です。その時は、出版社に持ち込んでも全く音沙汰なしでしたが、何年後かに描いた作品でありがたいことに担当編集さんについていただき、調子に乗って今現在の状況があります。

「優しいけど怪しいお姉さんキャラ」を描きたい

――本作の制作経緯を聞かせてください。

ウエマツ:昔から好きだった「“優しいけどどこか怪しいお姉さんキャラ”と“お姉さんにビビってる男子キャラ”が描きたい!」という気持ちから制作しました。そこから、「お姉さんの何にビビってる?」「怖いもの=幽霊とかどうだろう?」という感じで、担当さんに相談したら「一番描きたそうですね」という理由で描かせてもらいました。

――お姉さんが軸なのですね。

ウエマツ:はい。漫画制作において、初めて自分自身の“可愛い女性に利用されたい“という欲求を入れ込んだらこうなりました(笑)。そういう意味で自分の気持ち悪い部分を制作に落とし込めた作品だと思っています。

――高校でも良さそうですが、大学を舞台にした狙いはありますか?

ウエマツ:基本的に成人したキャラクターが好きなのが一番です。20歳を超えると飲酒や喫煙ができるようになり、人間のダメな部分が露見しやすくなるため、とても動かしやすくなります。“金銭面や法律面に踏み込んだ遊びができる大人な部分”と“社会経験が乏しく制約がある子どもの部分”というその両方を大学生は持っています。

――保健の先生にしたのは?

ウエマツ:実は保健の先生という設定は最初にはなく、どこから出てきたのか謎です(笑)。ただ保健の先生は漫画のテンプレとして、怪しくて色気があるキャラが多いと思ったのでそうしたのかもしれません。また、学校の中という閉鎖空間で事件が起こるというのも好きなので。

“霊の食レポ”誕生秘話

――亜喰と霊が対峙する際、一瞬バトルが始まるのか思いました。あのシーンはどのような点にこだわりましたか?

ウエマツ:確かにバトル漫画でもできそうですね!連載になったらそうなってたかもしれません。“亜喰の強いところ”というより、圧倒的な食欲を見せたかったのでこうなりました。食欲は生を意識するので幽霊よりも強いイメージがあるため、亜喰の優位性は失わないようにしました。ビビるのは狼谷がやってくれるので。

――“霊の食レポ”という斬新な発想は初めから想定していたのでしょうか?

ウエマツ:担当さんに「幽霊の食レポって言葉が面白いですね」と言われて、亜喰の食レポしてる部分を足すようアドバイスをいただきました。そういう意味で、完全に担当さんのアイディアですね! 頼りになります。ちなみに「霊って食べたらどんな味するんですかね?」と聞かれ、「なんかあん肝のイメージあります」と答えた記憶があります。あん肝は食べたことないですが。

――今後の活躍にも期待してしまいますが、どのように漫画制作を展開していく予定ですか?

ウエマツ:まだまだ何も分かっていない新人なので、着実に面白いものを描ける基盤を整えていければと思います。自分もそうですが、何より読者の方に楽しんでいただけるものを作りたいです。

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