ライターが選ぶ、2022年注目の「BLマンガ」5選 いつの時代もピュアラブは正義!
『ふたりぐらし』(中村明日美子/茜新社)
佐条利人と草壁光、ふたりの青年が高校時代に出会い、そして結婚式という1つの節目を迎えるまでの歩みを描いたBLの金字塔「同級生」シリーズに、新たなアルバムの1ページが追加されている。結婚式を挙げたふたりの新婚生活までの日々を描く『ふたりぐらし』だ。
「『同級生』BLをファンタジーとして消化させない——佐条と草壁の恋にリアリティを感じる理由」でも触れたが、著者の中村明日美子氏は大人になったふたりの結婚式までの歩みを描いた『blanc』のあとがきで、続編を書くつもりがなかったと述べている。それがまさか、新婚生活まで追わせてもらえることになろうとは。
ともに生きていくと決めたふたりの愛と信頼は、絶対に切れない素材の赤い糸が具現化してもおかしくないと思うほどに強固だ。それでいて、出会った頃のままのような初々しさもしっかりと感じられる。
さらに同作は、周囲のキャラクターの後日談も描くオムニバス形式が採られている作品だ。ふたりの恋路をそれぞれの感情から見守ってきた人たちのその後も楽しめる。
同作はスピンオフやオムニバスを含めた5作品のシリーズを踏まえた上でストーリーが展開されるため、この作品から読み進めるとなると理解は難しいだろう。ただ「同級生」シリーズはBLを知る上で避けては通れない作品の1つと言っても過言ではないため、BL入門としてまずはシリーズを読んでみる。そして『ふたりぐらし』で佐条・草壁からの甘~い幸せのおすそわけを受け取ってみてはいかがだろうか。
2022年も数々の名作BLと出会える予感
注目の5作品として挙げた作品は、比較的ピュアな恋愛ものに集中した。恋愛ものの基本の基であるピュアラブストーリーは、いつの時代もドキドキと心を震わせてくれる。かといって、ありきたりだとは思わせないエッジも効いた作品ばかりだと思う。
昨年だけでも新レーベルが4つ立ち上がり、ますます作品数が増えていくであろうBL。正直、筆者も全部追えている自信はない。知らないだけで名作といえる作品は、きっとまだまだあるだろう。2022年もまた年末に「10作品に絞るのなんて無理」と思うくらい、たくさんの名作BLと出会う予感しかない。