斉木久美子が語る『かげきしょうじょ!!』制作秘話と作家生活25年の歩み 「“もう終わったな”と一度は思いました」
アニメは視聴者と同じ新鮮な気持ちで
――『かげきしょうじょ!!』は10年におよぶ長期連載となりましたが、特に思い入れのある場面やエピソードはありますか？
斉木：「ジャンプ改」で始まった時は連載回数が決まっておらず、人気がなければ打ち切られてしまう状況でした。とにかくここまではたどり着きたいと思っていたのが、シーズンゼロで愛が「あの星 あの一番高く大きく輝く星 あれは渡辺さらさ あのひとはあそこへ行くべき人だ」だと独白するシーンです。当初の目標は、この見開きのページでした。
あと思い出深いのは、最初のスピンオフとなった星野薫の番外編です。よい話を思いついたけど、本編とずれるので番外編として描かせてくれないかと編集さんに頼み込んで生まれたエピソードです。結果的にこの話を描いたことで、スピンオフがシリーズ化していきました。
――番外編が入ることでより群像劇としての要素が強まり、物語にも膨らみが生まれていきました。
斉木：番外編が好きだとおっしゃってくださる方が多くてうれしいです。私はデビューしてから10年間ほど短編ばかりを発表していた漫画家なのですが、限られたページ数で人物の説明を長く取ると話が進まないという葛藤をずっと抱えていました。それが番外編だと、本編でキャラクターの特性を説明済みなので、ストーリーに集中できてとてもやりやすい。番外編は私自身楽しみながら描いています。
――雑誌の休刊で移籍があったり、アニメ化が決定したりと、作品自体もドラマティックな歩みをたどっています。これまでを振り返っての感慨をお聞かせください。
斉木：私は何事に関してもゆっくりと歩んでいるなと。漫画家を目指すのも、デビューをしたのも、連載を始めるのも、私は全部他の人より遅かった。それが漫画家生活25年目を迎えるタイミングで作品をアニメ化していただき、ありがたい限りです。実は「ジャンプ改」の休刊が決まった時、「もう終わったな」と一度は思いました。編集部は責任を持って連載作品の移籍先を探してくれたけど、私はなかなか決まらなかったのですが幸運なことに「メロディ」に迎え入れて頂けました。こからもう7年も経ち、自分でも驚いています。
私は作品に手を入れられると駄目なタイプで、自分の中でものすごく細かく設定している要素を一つでも崩されると、ジェンガのように全部崩れしまい、再度組み直さなければいけません。「ジャンプ改」でも「メロディ」でも、ストーリーに手を入れられることがなく、私が思うように描かせてもらっています。今までも人の手が入ったものはたいてい受けなかったし、自由にやらせていただいているのは本当にありがたいです。
――現在『かげきしょうじょ!!』のアニメが放映中です。
斉木：放送前にアニメの映像はいただいているのですが、あえて事前にチェックしてはいないんです。それは、みなさんと同じタイミングで観たいから。私自身も新鮮な気持ちで、毎週放送を楽しみにしています。
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＜応募締切＞
2021年9月26日（月）23:59まで
■書籍情報
『かげきしょうじょ！！（11）』
斉木久美子 著
定価：660円（税込）
出版社：白泉社
■提供画像
「『かげきしょうじょ！！』公式ガイドブック オンステージ！」カバーイラストより
https://www.hakusensha.co.jp/comicslist/60634/
