【漫画】いじめられっ子の女子高生が幽霊になって悪を成敗! ネット大反響『死んでから本気出す』インタビュー

 新潮社のWebマンガサイト「くらげバンチ」で連載中の人気作品『死んでから本気出す』の単行本1巻が5月8日に発売された。本作は、いじめられっ子の女子高生・高井瀬奈が交通事故で亡くなった後、幽霊としての才能が開花し、霊界案内人・ファミリアとともに霊力を使って悪者を成敗していく復讐コメディ。いじめっ子や転売ヤー、パワハラ上司などが倒されていく様子からネットで大反響を呼び、「くらげバンチ」史上最高PVを獲得した作品となっている。

 作者の橋本くららは、現在「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で日常系オカルトコメディ『ギャルの背後に霊がいる』も同時連載中。多忙を極めるなか、本インタビューでは、本作が描かれる経緯やこれまで影響を受けてきた作品などについて話を聞いた。(とり)


©橋本くらら/新潮社

異世界転生モノの描き方

『ギャルの背後に霊がいる(1)』

――本作の設定はどのようにして考えたのでしょうか?

橋本:最初にざっくりと幽霊の女の子が主人公の作品を描きたいと思っていて、そこに最近よく見かける異世界転生の要素を取り入れたら面白いんじゃないかと考えたことがきっかけです。担当編集さんに「いじめられっ子の女子高生が『転生したい』と考えるようになる」といったアイデアを提案させてもらったところ、異世界転生を目的とした展開は新しい発想なんじゃないかと。そこから制作が進んでいきました。

――確かに、異世界転生してからのストーリーが描かれた作品が多いなかで、「異世界転生したい」という目的を持った主人公はかなり斬新だと感じました。悪者を成敗するごとにレベルアップし”幽霊スキル”を獲得するといった設定も面白かったです。

橋本:やはり異世界転生モノの醍醐味は、転生後に特殊能力を獲得して、もとの世界ではできなかったことを実現するところにあると考えていて。その設定を幽霊に応用するなかで、いじめられていた主人公が周囲の人間や社会に対して屈折した感情を抱き、それが幽霊の能力として開花するという流れはひとつ理にかなっていますし、説得力もあると思いました。そこから辿り着いた設定でしたね。

――そもそも、異世界転生モノを描くうえで、影響を受けた作品は何かありますか?

橋本:正直なところ、本作を描き始めるまで異世界転生モノの作品にはあまり触れていませんでした。ただ、既にいちジャンルとして確立されているものなので、既存の作品から異世界転生モノのお決まりを勉強させていただこうと思い、制作が決まってから、改めて何作か読ませてもらいました。なかでも、テレビアニメ化もされている馬場翁先生原作の『蜘蛛ですが、なにか?』(KADOKAWA)はグッときましたね。

――ジャンルとしてのファンも多いかと思うので、異世界転生モノを扱うことに身の引き締まる思いだったのではないでしょうか?

橋本:やはり第1話はストーリーの軸となる異世界転生の設定を説明するシーンが多かったこともあり、特に大変でした。そして、今までコメディ漫画しか描いてこなかったので、初めてシリアスシーンの描写に挑戦するという緊張感もありましたね。

――それこそ第1話は、いじめのシーンから始まります。目をそらしたくなるような描写で、一気に作品に引き込まれました。

橋本:ありがとうございます。とにかく作品の第一印象になる部分なので、冒頭のいじめのシーンはインパクト重視で描きました。第1話が配信されたとき、読者の方からいじめに対する怒りのコメントが多くて、みなさん日頃から感じていることなんだなぁと改めて実感しました。その段階で読むのを辞めてしまう方が多いんじゃないかという懸念もありましたし、賛否両論分かれる作品になると覚悟していましたが、瀬奈がいじめっ子を成敗していく姿を見て、作品を通してストレス発散されている方も多いように感じました。

――ただ、いじめっ子に対する復讐をするだけではなく、看過していた担任の自省が描かれていたり、転売ヤーやパワハラ上司など、みんなが腹を立てているような悪者をコメディ風に成敗したり、笑いとシリアスのバランスが非常に素晴らしいです。

橋本:その塩梅は最初から意識していました。一歩間違えるとただ不快感の残る作品になってしまいますし、感動や快感の展開に持っていきすぎると作者の主張が強い説教くさい漫画になってしまうので。

 主人公の瀬奈を描くうえで、彼女は人を誑(たぶら)かす行為をしても、どこか憎めないキャラクターにしようというのは最初から考えていたことでした。多くの読者の方から反響をいただけたのは、瀬奈の人柄による部分も大きいかもしれないですね。

©橋本くらら/新潮社

――そして霊媒師が悪役(宗川累子)というのも面白い設定でした。除霊や退治ができるのは正義のイメージがあります。

橋本:確かに霊媒師が悪役という設定は、あまりないかもしれないですね。いじめっ子が霊媒師というのは初期段階で思いついていました。実は『地獄先生ぬ〜べ〜』(原作:真倉翔・作画:岡野剛/集英社)へのリスペクトでキャラ設定しました。ぬ〜べ〜は「左手の手袋を外して」除霊するけど、その逆で「右手に手袋をはめて」除霊するキャラにしました。

――確かにそうですね! 女性の霊媒師として『GS美神 極楽大作戦!!』(椎名高志/小学館)などの影響かと思っていました。

橋本:なるほど! その考えはなかったです。

――霊界案内人・ファミリアは『幽☆遊☆白書』(冨樫義博/集英社)のぼたんの影響でしょうか?

橋本:意識してはいなかったんですけど、あとあとになって気づきました。着物も着てるし(笑)。意識せず似てしまうというのはあって、多分、無意識に「霊界案内人」=「ぼたん」になっていたのかもしれないです。

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