『東京卍リベンジャーズ』花垣武道に学ぶ“諦めの悪さ” 冴えないフリーターに共感が止まらないワケ

 2つ目の魅力は「諦めない心」。武道は喧嘩が弱い。すぐにボコボコにされるし、拳で勝った戦いは数えるほどしかない。だが、どんなに劣勢であろうと諦めず、折れない。それが武道の喧嘩のやり方である。仲間、そして自分自信を最後まで信じ切る姿は、思わず胸が熱くなるほどだ。

 「8・3抗争」でキヨマサに凄まれて絶体絶命のピンチになった時も、「逃げねぇよ。リベンジだ」、「決着ついてなかったよな? 喧嘩賭博のタイマンの決着!!」と闘志を宿した目をしながら言い放ち、どんなに殴られても、刃物で刺されても、立ち向かい続けた。こうした武道の心には、マイキーも一目置いており、「オマエは弱ぇのに誰にも屈しない あの黒龍にすら屈しなかった 挫けそうな時 オレがオレでなくなりそうな時 オレを叱ってくれ」と託されているほど。戦いは暴力ではなく心、自分に負けないことが本当の戦い、そんなことを教えてくれている。

 そして3つ目の魅力は、「実体験に基づいた心打つセリフの数々」だろう。武道は26歳の記憶を持ったまま、12年前にタイムリープをしている。不良中学生たちよりも長く生きており、自分でももどかしいほどの冴えない人生を歩んできたが故、中学時代にタイムリープをした際には魂の叫びのようなグッとくるセリフを数々言い放ってきた。例えば、黒龍の総長で圧倒的強さを持つ柴大寿に叶わないとわかりつつも立ち向かい、兄への恐怖心が大きすぎて対峙できない大寿の弟の八戒へ「未来を変えれるなら 命を懸ける価値はあるだろ?」、「頑張る事は辛くねぇよ 一番辛い事は…“孤独”な事だ」と語りかける。

 タイムリープを経て、26歳の自分を変えたいという思いが湧き上がってきた武道ならではの言葉だ。さらに、兄の恐怖政権から逃れられない八戒へ「何でも話せよ 八戒 オレら友達だろ?」と語りかける。26歳の頃は仲の良い友だちもいなかったが、タイムリープして東京卍會と関わるようになってから友だちの良さやありがたさを再確認した武道のセリフは、凍りついていた八戒の心をも溶かしていったのある。トピックスごとにこうした武道の心を打つセリフは数多く生まれている。決してスマートではないが、熱い彼のセリフは心に突き刺さるのだ。

 もちろん、これ以外にも武道の魅力は多々ある。そんな魅力あふれる武道を実写映画では北村匠海が演じる。9歳から芸能活動をし始め、今もなお実直に活動に邁進している北村は、折れない心を持つ武道と重なる部分も少なくないだろう。7月9日に公開される実写映画の前に、ぜひ武道の魅力をおさらいしつつ、北村がどう演じるのかをしっかり目に焼き付けたい。

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