『東京卍リベンジャーズ』花垣武道に学ぶ“諦めの悪さ” 冴えないフリーターに共感が止まらないワケ

 実写映画化も決まり、注目を集めている『東京卍リベンジャーズ』。同作は男たちが熱い戦いを繰り広げるストーリー自体も面白いが、キャラクターの魅力も大きい。“無敵のマイキー”こと佐野万次郎、“ドラケン”こと龍宮寺堅をはじめ、場地圭介、松野千冬、三ツ谷隆、橘日向、橘直人、佐野エマ……、挙げれば切りがない。そんな魅力的なキャラクターの筆頭となるのが、主人公の花垣武道だ。

 フリーターとしてパッとしない毎日を送っていた26歳の武道は、中学時代の彼女である橘日向が暴走族・東京卍會の抗争に巻き込まれて死亡したニュースを目にする。ふとしたきっかけで日向の弟・直人と出会い、日向を助けるために12年前の中学時代にタイムリープをしながら、未来を変えるべく奮闘。数々のピンチを乗り越えながら成長していく主人公である。

 読者を惹きつける武道の魅力とはどこにあるのだろうか。まずは最初に挙げられるのは、「成長していく姿」だろう。

 もともとの武道は、なんとも自堕落な生活を送っていた。壁の薄いボロアパートでは隣人からテレビの音がうるさいと怒鳴られ、バイト先のレンタルビデオ店では仕事ができずに小言をもらう日々。そんな自分に嫌気が差しながらも、現状を変える努力をするでもなく逃げ続けていた。だが、タイムリープを重ねることで少しずつだが成長していくのである。

 日向を助けたい一心でタイムリープをするも、はじめの頃は逃げ出しそうになっていた武道。だが、徐々に日向のため、仲間のために敵に立ち向かうようになっていく。それは逃げ癖がついていた26歳とは思えないほどで、敵100人に囲まれても逃げることは無くなっていった。ストーリー中盤にある、敵対チームである天竺との抗争「関東事変」では心が折れてしまったマイキーの代わりに東京卍會を鼓舞し、抗争を決行。そこにかつてのダメフリーター・武道の姿はなかった。着実に成長していく武道の姿は魅力的かつ、読者に勇気を与えている。

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