『美味しんぼ』栗田ゆう子の恋のライバル・二木まり子の奔放な魅力を検証

栗田を「カマトト」とバッサリ

 栗田との結婚を目論む団社長は、レストランで「僕は君と結婚したい。邪魔者は排除する」「栗田さんは山岡さんに惹かれているようだ。今までは紳士的に振る舞ってきたけどもう我慢できない」「君を勝ち取ってみせる」などと、プロポーズする。

 数日後、栗田は荒川と三谷に相談。栗田は「困っちゃったわ」と語るが、2人は「あんないい人いない」「困ることあるもんか、もう決まりよ」と決めつける。するとそこに近城カメラマンと二木まり子が現れ、近城が「僕と結婚してください」「邪魔するものは叩き潰す」「誰にも渡さないからね」と結婚を迫った。

 立会人を自称した二木は、困り果てる栗田に「栗田さん、近城さんの誠意に答えるべきだわ。近城さんと結婚するの? しないの?」とけしかける。栗田が「そんな…」と戸惑いを見せると、「何よ。カマトトぶるのは止めなさいよ。成熟した大人の女として答えなさいよ」と激怒した。(42巻)

 山岡への想いがありながら、団社長や近城と食事を重ねていた栗田。そんな彼女に、二木は不満を抱いていた様子。「カマトト」発言は少々過激ではあったが、栗田の不安定な状況を適切に表現していた。二木の発言にスッキリしたのは筆者だけではないはず。

近城の元同棲相手を殴る

 山岡と栗田の結婚が決まり、二木は近城への想いを栗田に告白し、協力を求める。そして近城も、山岡に二木との交際を手助けするよう頼んだ。

 悩んだ山岡と栗田はオーストラリア取材に近城と二木を同行させ、そこで気持ちを伝える機会を作ることにする。山岡や栗田は特になにもしていなかったが、近城と二木はかなりいい雰囲気になっていた。

 そんななか、宿泊先のホテルに入ろうとしたところで、景子という女性が「あら、勇」「何よ、仕事なの?」と声をかける。近城が「仕事だよ」と返すと「それが危ないのよね。私と暮らしていたときも仕事だと言っては他の女と…」と意外な過去を明かした。

 怒った二木は「東西グラフ」の仕事を栗田に任せ、写真は「そこにいる破廉恥男が撮るわよ」「編集部には突然体調が悪くなったと言い訳するわ」と話し、荷物をまとめる。「話を聞いてくれ」と引き止める近城に「何よさっきの下品な女は。あんな女と暮らしていたような不潔な男とは一刻でも一緒にいるのはごめんだわ」と話し、去っていく。

 その後二木が日本に帰っていないことが判明し、心配する一行。山岡は「最悪の事態を考えていたほうがいい」とまで発言する。二木の行方がわからないまま究極対至高の対決が行われ、料理の見直しをするため材料探しにでかけることになった究極側。そこへ突然二木が現れる。

『美味しんぼ』(44巻)

 そして近城に対し「帰ろうと思って空港に行ったら、あの女と会ったのよ。向こうは私のことを覚えてなかったみたいだけど近寄って引っ叩いてやった」と話す。「ひえー」と驚く近城に「そしたらスッキリしちゃった。なんでくだらない女のことでイジイジ悩んでいたのか」と、気持ちを切り替えたことを明かす。

 近城は「こんな気持ちになったのは初めてだ。二木さん結婚してくれ」とプロポーズ。二木は「栗田さんのときは?」「全く何人の女性を泣かせてきたの?」と憤る。山岡は「死刑だな、こいつは」と畳み掛けるが、二木は「近城さんみたいなエネルギーが有り余っている人も魅力的だわ」と話し、結婚を承諾した。(44巻)

 好きな相手を「不潔」と罵ったうえ、気に入らない相手をぶっ飛ばしてしまう気の強さ。二木まり子の直情的な性格が現れたエピソードだった。

気の強さが魅力?

お嬢様で気が強いが、好きな相手には尽くす二木まり子。読者のなかには、結婚するなら栗田よりも二木と感じた人も少なくないと聞く。雑誌の編集者としてバリバリと仕事をしたうえ、恋にも積極的で強気。彼女の魅力は、そのあたりにあるのかもしれない。

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