『呪術廻戦』最強呪術師・五条悟はなぜ教師に? “柄じゃない”仕事を選んだ理由とは

実力があることによる裏付け

 時として、強さと指導者としての実力が伴わないことがある。例えば、スポーツの監督で現役時代には思ったような活躍ができなかった、という人もいる。呪術師を並べて話していいようなものでもない気がするが、強さには理由があって、その理由を明確に話せるから、生徒たちも納得ができる。

 本人は「性格が悪い」と言っているし、生徒の伏黒恵からは「デリカシーがない」と言われ、呪術高専の教師で一級呪術師の七海からは「絵に描いたような軽薄」と言われている。更には自身の高専時代には「正論が嫌いなんだよね」と言い、それは悪役が言うセリフでは……と思う。しかし、こんなセリフも強いから言える。弱い者が言えば負け犬の遠吠えだ。自分が強いことを知っているが、それでいてひとりではできないこともあると理解している。目的を達成するためには優秀な教師でいなければならないことを知っている。とても合理的な人間だと言える。

 読者としては五条が「味方」でよかったと思わざるを得ない。悪役だったとしたら、彼が登場するたびに絶望しなければならなかっただろうから。

(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))

■書籍情報
『呪術廻戦』(ジャンプ・コミックス)既刊15巻発売中
著者:芥見下々
出版社:集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/jujutsu.html

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