極道ラブコメ 『来世は他人がいい』、バイオレンスなのに女性読者に支持される理由

 2巻から登場する翔真は女性人気が高いのもうなずけるキャラクターだ。クールな反面、大切に思っている吉乃のことになると熱くなる。吉乃を挟んで霧島とにらみ合う場面は恋愛漫画の三角関係そのもので、二人が同じ場面に登場するだけで胸をときめかせている人も多いだろう。けんかが強いのは霧島と同様だが、意外と感情が表に出やすいという点も女性読者の人気を得ている大きな理由の一つではないだろうか。

 ここまで読んで気づいた人もいるかもしれない。「ソメイヨシノ」「ミヤマキリシマ」「トリアシショウマ」、これはすべて植物の名前だ。細かな点で作者の遊び心が感じられるのもこの漫画の醍醐味である。

 彼らのキャラクターは非現実感を味わせてくれて、『来世は他人がいい』の世界観にぴったりと合っている。気軽に読んでいるうちに彼らに魅せられ、物語のファンになっている読者はこれからも増え続けていくだろう。

■若林理央
フリーライター。
東京都在住、大阪府出身。取材記事や書評・漫画評を中心に執筆している。趣味は読書とミュージカルを見ること。

■書籍情報
『来世は他人がいい(1)』
小西明日翔 著
定価 : 本体590円+税
出版社:講談社
公式サイト

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