変わり続ける東京の“原点”にせまる 『復興建築 モダン東京をたどる建物と暮らし』

 関東大震災復興期の建築130軒以上を収録した書籍『復興建築 モダン東京をたどる建物と暮らし』が、トゥーヴァージンズより発売された。本書はトゥーヴァージンズが刊行する〈味なたてもの探訪シリーズ〉の第3弾となる。

 関東大震災復興期(1923年〜1930年代頃)に耐火・耐震性を求めて鉄筋コンクリート造で建てられた「復興建築」と、現代の東京の骨格をつくった「帝都復興計画」を通して近代東京の成り立ち、当時の人々の暮らしを紹介する一冊。

 震災後の“新しい東京”を象徴づけ、その耐久性をもってして戦災、高度経済成長期、バブル経済期の開発の波をくぐり抜けた「復興建築」。仲見世商店、教科書図書館、百貨店、老舗古書店、オフィスビル、昭和初期の邸宅など、当時の姿を留める6軒の建物とそこに関わる方へのインタビューから、震災復興期の人々の奮闘やまちの様子、建物への思いが浮かび上がってくる。

 また、被災した街を「復旧」ではなく「復興」するために構想された「帝都復興計画」を、イラストや写真を用いてわかりやすく解説。街路事業や橋、公園など、日常風景である公共の場も震災を教訓にさまざまな工夫が凝らされていることを知ることができる。

 そのほか現存物件はもちろん、さまざまな年代のアーカイブ写真も満載。まち歩きにぴったりの建築マップや、所在地一覧も収録されている。

■書籍情報
『復興建築 モダン東京をたどる建物と暮らし』〈味なたてもの探訪シリーズ〉
監修:栢木まどか
出版社:トゥーヴァージンズ
定価:本体価格1,900円+税

■〈味なたてもの探訪シリーズ〉とは
「建物」から街と人の暮らし、時代性を探るビジュアル探訪記。その土地の歴史、風土、環境、社会情勢が立ち現れた歴史の断片のような「建築」。そこには暮らし、仕事、人々の営みがあり、誰かにとっての「記憶」が息づいている。このシリーズでは装飾的な外側の魅力だけではなく、内側で人々が暮らしてきた時間が滲み出ていているような建物に目を向けて、家主やその建築に関わる方のインタビューと建築の専門な解説の両面から、建物の背景を理解するような本を目指している。

関連記事