契約更改、年棒、引退後……野球選手の懐事情は意外と厳しい!? マンガ『グラゼニ』が描くリアル

 お金の話と同時に詳細に描かれるのがプロ野球選手のリアルだ。お金の面はもちろんのこと、ドラフトや球団間の移籍など、多くのプロ野球事情が描かれる。「リアルな描写」の中で特に野球ファンが興味を惹かれるのは契約更改と年俸ではないだろうか。

 当然、作中ではその部分にも描かれている。例えば、凡田は冒物冒頭の年俸1800万円から1億円プレイヤーにまで成長していくが球団との交渉は熱烈だ。行き過ぎた交渉によって他球団に移籍してしまうほどに。(詳細は割愛するが、メジャーを含めた4球団以上を渡り歩いている)

 野球選手の年俸が選手名鑑やスポーツ新聞に掲載されることは、考えてみると非常に不思議であるが、作中ではその理由も描かれる。実のところ、メディアに出る推定年俸はほとんどがあっているそうだ。どうやって年俸を推定しているのかというと、契約更改後の会見で「〇〇円まで上がりましたか?」「いえ、そこまでではないです」「じゃあ〇〇円?」「そんな感じです」と、こんな具合だ。もちろんこの流れは漫画の中にもある。

 作者はインタビュー(グラゼニ作者と元プロ野球選手が明かす"漫画界と野球界の裏側"!?:https://trendnews.yahoo.co.jp/archives/445656/)の中で「セカンドキャリアまで含めて、野球選手の人生自体に興味がある」と語っている。そのために多くの取材を重ねて、リアルなプロ野球をコミカルに描いているのだ。

 『MAJOR』、『ダイヤのA』、『おおきく振りかぶって』などに代表されるように、野球は漫画のジャンルの中でもポピュラーな題材の1つだが、その中身はほとんどが試合だ。そんな作品群の中で野球の“お金”を大きなテーマとして描かれる『グラゼニ』は率直にユニークだ。このシリアスなお金の話を楽しむのも、現代野球漫画の一興かもしれない。

■嵯峨駿介
23歳でBass Shop Geek IN Boxを立ち上げ。楽器関連の他にグルメ、家電など幅広い分野でライターとして活躍中。Twitter:@SAxGA

■書籍情報
『グラゼニ』
原作:森高夕次
漫画:アダチケイジ
出版社:講談社
https://kc.kodansha.co.jp/title?code=1000005513

現在は『グラゼニ ~パ・リーグ編~』として連載されている。


https://morning.kodansha.co.jp/c/gurazeni_paleague

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