岡副麻希『おりたたみおかぞえさん』の魅力は「軟体ポーズ」だけではないーー心の「やわらかさ」も楽しめる名作

無駄な毒がないからこそ、今読みたい

  『おりたたみおかぞえさん』を読み進めているうちに、「彼女には毒がない」と感じられる場面がたくさんあった。

    言葉の選び方、表情、考え方など、どこにも悪意がない。本なのだからそのように編集するのは当たり前だが、生きているだけで何かしらの悪意を感じることが多い今だからこそ、悪意のない彼女の存在に癒された。

   そう感じたのはきっと「岡副麻希は、岡副麻希だからだろう」という結論に勝手に至った。芸能界は特にそうだと思うが、人間誰しも、他人には「自分とは違う自分を演じて見せている」ところがあると思う。

   だけど『おりたたみおかぞえさん』の中の彼女は、明るくて、少し天然なところがあって、きちんと物事を考えられる人、というテレビを見て勝手に思っていた人柄のまま、そこに存在していた。

    だからこそ、フォトブックを読んでいる間、ずっと穏やかな気持ちのまま過ごせて、彼女の言葉に集中できたのだろう。

  『おりたたみおかぞえさん』には「あざとやらかい」というコピーがついている。岡副麻希の飾らない姿が逆にあざとい? あざといのか? 難しいところだが「あざとい」として、岡副麻希の体と心の「やわらかさ」を存分に楽しめる『おりたたみおかぞえさん』。

   最近ちょっと疲れを感じている人こそ、読んでみてほしい。

■真緒
ハロプロ好きのフリーライター。振りコピ系のオタクです。顔が整っていて歌がうまくて中身変な人を推しがち。

■書籍情報
『おりたたみおかぞえさん』
岡副麻希 著
価格:本体2200円+税
出版社:扶桑社
公式サイト

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