『ONE PIECE』エース、なぜ“メラメラの実”の能力者に? 公式スピンオフで明かされる、知られざる過去

 『ONE PIECE』の連載20周年を記念して発行されているアニバーサリーマガジン「ONE PIECE magazine」“Vol.10”にて、ルフィの(義)兄であるポートガス・D・エースの半生を描いた『ONE PIECE episode A』が連載開始。今回の第1話のタイトルは、「スペード海賊団結成」だ。エースが悪魔の実の能力者になった理由や、記念すべき一人目の仲間との出会い、そして旅立ちまで、その知られざる過去が明かされているのである。

エースが登場した『ONE PIECE(18)』

※以下、ネタバレあり

 この『ONE PIECE episode A』とは、「ONE PIECE magazine」の“Vol.1”〜“Vol.3”にて連載された小説をコミカライズした公式スピンオフ作品。ネーム構成を『三ツ首コンドル』などの石山諒が、作画を『Dr.STONE』のBoichiが担当している。本作の特徴は、スペード海賊団の最初の仲間であるマスクド・デュースの視点で物語が進行しているということ。本作における“エース像”は彼によって語られるわけで、エースに対するBoichiの視点が、このマスクド・デュースに託されているのである。つまり、いち『ONE PIECE』の読者である者が見た“エース像”がここにあるのだ。それは本作で語られるエピソードだけでなく、キャラクターの個性を確立させる要素の一つである“線”の描かれ方にも言えること。原作者である尾田栄一郎ではない者が描くエースの魅力が、本作には詰まっている。

 本作は、マスクド・デュースの「おれの名はマスクド・デュース。この物語はおれが綴った、烈火の如く生きた男の真実の記録」というモノローグから始まる。“烈火の如く生きた男”というのは、もちろんエースのこと。つまり、『ONE PIECE』本編におけるエースの死後、マスクド・デュースの手記によってエースの半生が明かされるかたちとなっているのだ。

 スペード海賊団といえば、エースが白ひげ海賊団に加入する前に率いていた海賊団であるのはご存知のとおり。しかし、これまでに本編の方でその詳細が明かされることはなかった。そんな海賊団の記念すべき一人目のクルーが、マスクド・デュースという男なのである。彼は、航海の果てに冒険記を書くことを夢見る青年。エースと同じく、彼も一人で海へと飛び出したクチであり、故郷を捨てた際に素顔も名前もともに捨て、マスクを着用している。“マスクド・デュース”という名は、エースとのやり取りの中で生まれたようだ。

 二人が出会ったのは、特殊な海流に囲まれた“海の蟻地獄”とも言える無人島。ここに漂着してしまえば、そう簡単に出ることは叶わない。いわば二人は“遭難者”として、ここで出会ったのである。快活で豪快なエースと、冷静で博学なマスクド・デュース。二人の“力と知恵”が巡り合うのは必然的なものに思える。(義)弟であるルフィと同じく、あまり後先のことを考えられないエースには、知的な人物がそばについている必要がある。それを本作の語り手であるマスクド・デュースが担うことになるのだ。

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