16歳の天才女優、その演技が人々に与えた影響とは? 『アクタージュ』夜凪景の“巻き込み力”を考察

夜凪景のライバルとなる百城千世子

 千世子は〈天使〉と称されるほどの若手トップ女優。制作側の要望や世間の求める偶像に応じ、自身の見られ方を徹底的に作り込むことに長けていた。一方で素顔を晒してありのまま演じることはせず、景から「顔が見えない」と告げられ、手塚からは千世子の仮面の演技は見飽きたと語られる。しかし、景に触発された手塚の現場で、景との共演シーンでは素の感情が入り交じる演技を見せるようになった。その結果、「デスアイランド」で景と千世子の共演シーンは、虚実の入り交じる迫真の画になったのだ。

 夜凪景の「巻き込み力」は以降の展開でも生かされ、共演者や制作者との関係性をスリリングなものにしてきた。マンガで見られる景の今後はもちろんのこと、舞台で生身の役者が演じる景の姿も楽しみだ。

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