安住紳一郎の仕事への姿勢から、ビジネスパーソンが学べること ビジネス書ランキング首位『話すチカラ』を読む
それは、大学生時代には完成されていたと言う話術やチャレンジ精神もさることながら、何よりも月並みな一言で表すなら、安住紳一郎氏の人柄だ。元先生の齋藤孝氏も認める、会話のプロとして向き合う日本語への謙虚な探究心と、仕事で出会う様々な相手への真摯な姿勢が本書の各章にはうかがえる。
安住氏は初めてのボーナスで、テレビを8台買い、ニュースが同時にどう扱われているかを家で視て研究をしていた。テレビで司会をする場では、発言の少ない人をフォローするため、CM中にその人に話を聞き、オンエアに活かすなどのエピソードも。
人には見えないところでの努力や配慮の積み重ねが、現在の安住氏を醸成しているとしたら、本書で語られる内容は単なる一人のアナウンサーの経験談ではなく、全てのビジネスパーソンが見習うべき基本スタンスではないだろうか。
(文=MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店・社会書担当 中田英志郎)