メトロノーム、メジャーデビュー10周年で回帰した“若さ”と“勢い” 新アルバム『無限×変転=1.44』と来たる結成30周年を語る

今年メジャーデビュー10周年を迎えたロックバンド メトロノームが、新アルバム『無限×変転=1.44』をリリースした。ヴィジュアル系のフィールドに電子音楽を持ち込んだ独自の音楽性で活動を続け、活動休止期間を挟みつつも、2028年には結成30周年の節目を迎える。そんなベテランバンドである彼らだが、本作を彩ったのは“若さ”や“勢い”、そして“ロック”というキーワードだった。
『無限×変転=1.44』を起点に、メジャーデビュー10周年への想いから現在のモード、来たる結成30周年についてまで3人に聞いた。(編集部)
メジャーデビュー10周年――長くバンドを続ける秘訣

――まずは先日、開催された再起動&メジャーデビュー10周年記念クアトロ東名阪ツアー『1/∞ -繰り返される0の扉-』の感想から聞かせてください。このインタビュー時点では名古屋、大阪公演を終え、ファイナルの東京公演が残っている状況ですが、絶賛するファンの声がSNS上にはあがっています(取材は10月初旬)。
フクスケ:名古屋と大阪はアルバムをリリースしてから数日しか経っていないタイミングだったんですけど、アルバムに入っている新曲たちでお客さんがビックリするくらいノッてくれていて。自分たちも新曲にグッと入り込みながらライブができている感じがあったので、それも相まってものすごい盛り上がりを生んだんだと思います。変に緊張することもなく、いいライブができました。
シャラク:アルバムの新曲って、1ツアーまわってやっと「馴染んできたな、曲が育ってきたな」って実感する感じなんですけど、今回は初日から長いことやってきた楽曲のような感覚で演奏できたんですよ。そういう意味で今回のアルバムは、自分たちはもちろん、お客さんにとってもすごく入り込みやすい作品になったんだなっていうことをあらためて感じることができましたね。
リウ:再起動以降はLEDを使い、VJさんに入っていただくライブをすることが多かったですけど、今回はシンプルなライブハウスだったので、いいバンド感が出たなっていう印象があって。ある意味、原点回帰的なライブになったので、そこはすごくよかったなと思いました。
――メジャーでの大きな節目であり、久々のアルバムを携えたツアーというトピックが、ライブにいい影響をもたらした部分もあったんでしょうね。
フクスケ:そうですね。今回のアルバムのアートワークは、昔に着てた衣装のリバイバル的なものなんですよ。それを受けて、アルバムの内容的にも当時の勢いみたいなものを思い出しながら作ったところがあったので、それがライブにいい形で反映できたところもあったと思いますね。
――メジャーデビュー10周年に関しては、どんな思いを抱いていますか?
シャラク:ありがたいことだなと思います。でも正直、そのあいだにはコロナ禍があったので、がっつり10年やってきたというよりも、あれこれ試行錯誤していたらいつの間にか10年経ったっていう印象の方が強いですね。
リウ:活動休止前、自分たちが20代から30代前半のときにはなかなかメジャーデビューできなかった経験があるんですよ。いいとこまで行くけどダメだった経験を何度もしてきたので、今こうやってメジャーで10年やれていることは本当によかったなと思います。感謝の気持ちがあらためて湧いてきますね。
フクスケ:つかず離れずというか、がっつり肩を組むわけでもなく、思いっきり離れるわけでもなくみたいな3人の関係性が、ここまで続けてこられた秘訣なんではないかなという思いはあって。アルバムを作るとなれば、それぞれが三分の一ずつ曲を出していくみたいなことは変わらずに続けているので、そのスタイルをやめない限りは、これからも大丈夫なんじゃないかなと。
シャラク:活動休止前と比べると、ほんとに距離感がちょうどいいというか。年齢的な部分もあるとは思うんですけど、ぶつかったりすることもないですからね。すごくいい状況だと思いますよ。

――では、約4年ぶりにリリースされたニューアルバム『無限×変転=1.44』について伺いましょう。先ほど、今回の衣装は過去の作品のリバイバルになっているというお話がありましたが、それって2002年にインディーズでリリースされた1stアルバム『不機嫌なアンドロイド』ですよね?
フクスケ:衣装に関しては、そうですね。
――そのうえで楽曲的にも当時の勢いを踏襲することを、アルバム制作においてのひとつの指針としたわけですか。
フクスケ:まあ、そこまでバッチリそこに当てていくっていう感じではないんですけど、雰囲気やニュアンスとして、何か迷ったらそこを見てくれくらいな気持ちで。リバイバルした衣装を着るから、その頃の気持ちでやれるような曲を作ろうっていうことですね。言葉としては“若さ”と“勢い”みたいなことを、メンバーにはやんわり伝えたと思います。
リウ:それに加えて、レコード会社の人からは“ロック”みたいなキーワードも出ていたんですよね。先に配信で出した僕の曲「ジグザグ・パラダイム」と「マイム・マイム」が比較的、ミドルテンポな曲だったので、“ロック”というテーマをもらったときに「確かにそうだよな」っていう感覚になったところがあって。なので、今回はある意味、初期衝動っぽい部分を意識して楽曲を作っていったところはありましたね。自分のモード的に、今年はバンドっぽい気持ちで曲を作りたいと思っていたところもあったんですよ。今まではMIDIでデモを打ち込んでいたんですけど、ギターもベースも自分で実際に弾いて、そこでの体感をちゃんと意識しながら作りたいっていう。だから、今回の“ロック”とか“勢い”みたいなテーマは自分的にすごくタイミングがよかったりもしましたね。
フクスケ:“ロック”というキーワードはレコード会社の方からの発信ではあったけど、自分の場合はほっといてもロックな感じになるので大丈夫かなっていう感じでしたね。
――シャラクさんもそのテーマを意識して楽曲制作に取り組んでいった感じですか?
シャラク:僕としては、そういう“ロック”っぽいニュアンスの曲はふたり(フクスケとリウ)がちゃんと作ってくるだろうから、自分はいいかなみたいな感じで(笑)。わりとのんびり、自分のベースになっているワクワクする曲を思い描きながら作っていきました。でも、先に全体のテーマとかイメージを伝えてもらうと作りやすい部分はありますね。自分のなかにある曲のパターンを系統だてて、「そういうテーマであれば、このラインかな」っていう判断ができたりもするので。
フクスケ:そうやって3人の曲が出揃った段階で感じたのは、長いこと音楽を続けてきたからなのか、いろんな音楽をたくさん聴いているからなのか、みんなギターのチューニングが下がっていってるなっていうことで。ドロップDの曲だったり、7弦ギターぐらい下がってるLow Bの曲だったり、今回のアルバムは6弦ギターのノーマルチューニングの曲が少ないんですよね。そこはすごくおもしろかった。自分もキーを変えられる機材、昔で言えばワーミーみたいなものを何種類も買って、どれがいちばん音がいいかみたいなことを試したりしましたからね。結果、今回の曲たちは機材を繋がなきゃ練習できない状況になってしまって。自分で作っておきながら、「なんてことをしてくれるんだ!」みたいな思いになりましたけど(笑)。





















