KEY TO LIT、デビュー曲で何を歌う? 少年隊、SMAP、嵐……磨かれたDNA、矛盾なく同居する敬意と野心

 「時間はかかりましたけど、僕、そして僕たち、ここからが全盛期です」――。2026年8月17日東京・増上寺、CDデビューがサプライズで告げられたその場所で、中村嶺亜は力強くそう言った。KEY TO LITの5人は、全員が10年以上のキャリアを持つ。それぞれが別のグループで夢を見て、それぞれの場所で悔しさを知り、2025年2月にひとつの名前のもとに集まった。“奇天烈”とは、常識から外れていること、風変わりで突拍子もない様子を指す言葉。決して近道ではない、長い道のりを経て彼らが掲げたのは、もう誰かの決めた正解には合わせないという覚悟だったのかもしれない。その5人が、いよいよデビューという扉の前に立っているのだ。

 10月22日には自分たちのYouTubeチャンネルを開設(それぞれ長く出演してきた「ジュニアチャンネル」では、きちんとした卒業企画が予定されている)。そしてその翌日、10月23日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で、デビュー曲「KEY TERUYA2 ~キテルヤツ~」をテレビで初めて披露する。KEY TO LITは、デビュー曲で果たして何を歌うのか。それを考える前に、まずはこれまで彼らが歌ってきたメッセージ、その姿勢と意味をあらためて振り返っておきたい。

 KEY TO LITというグループの輪郭を最初にくっきりと描いたのは、「KITERETSU FIRE」だろう。作詞作曲は、THE GARRYこと猪狩蒼弥。メンバー紹介を兼ねた自己紹介ソングである。ライブではコールアンドレスポンスが会場の熱を一気に沸点まで引き上げる。初ツアー『KEY TO LIT Arena Tour 2025 WAKE UP THE FOOL』の同曲のパフォーマンス映像は、現在までに1000万回を突破。自分たちが何者なのかを、自分たちの言葉で叫ぶこと。そこに滲むセンスとユーモアも含めて、与えられるのを待つのではなく、自ら火をつけにいくグループの意志がそのまま刻まれている。

KEY TO LIT【KITERETSU FIRE】 Arena Tour 2025 WAKE UP THE FOOL より

 その初ツアーのタイトルを冠し、幕開けを飾ったのが「WAKE UP THE FOOL」だった。“FOOL”という言葉を真正面に掲げるあたりに、このグループらしい矜持が見える。今年行われた『KEY TO LIT Arena Tour 2026 NEO CLASSICS』ツアーでは、前ツアーから一転して踊らずに、その場に立って5人がひたすらに前を向いて歌い上げたのも印象的だった。賢く立ち回るより、時には愚かなほど、ただまっすぐにあり続けることが、最後には何よりも強いものになることもある。1年前は号砲だった曲が、5人の声だけで成立する曲になった。その変化こそが、彼らが手にしたものの大きさを何より雄弁に物語っている。

KEY TO LIT【KEY 2 LIGHT】初披露Special Live

 グループ初のタイアップとしてテレビ東京系卓球テーマソングに書き下ろされた「KEY 2 LIGHT」は、アップテンポなナンバー。「ひたすら僕たちは 光を求めて 足掻いて 時に迷って やっとここまできた」――その言葉は、5人の道のりそのままのようでもある。“鍵”を“光”へ。曲名に込められたそのメッセージを自分たちの人生で体現してしまったのだ。ほかにも“天下を獲る”という思いを込め、猪狩の振り付けで5人のボーカルが真っ向からぶつかり合う「Burn Down」、ロックサウンドを基盤にしたラブソング「Never Fade Love」……燃え上がるような熱量の裏側に、色褪せない甘さを隠し持っている。この振れ幅こそ、KEY TO LITの面白さだ。

KEY TO LIT【Burn Down】Arena Tour 2025 WAKE UP THE FOOL より
KEY TO LIT【Never Fade Love】Arena Tour 2026 NEO CLASSICSより

 KEY TO LITを語るうえで、先輩グループの楽曲カバーは欠かせない。今年行われたツアーの『NEO CLASSICS』というタイトルも、これまで先輩たちが生み出してきた楽曲やDNA(=CLASSICS)と自分たちだけのオリジナル(=NEO)を背負うという宣言でもあった。実際に、ツアーでは、SMAPや嵐、KAT-TUN、Kis-My-Ft2、SixTONESなど、先輩グループの楽曲を次々と披露。6月26日の『ミュージックステーション』初出演時には、スペクトラムの楽曲で、かつて少年隊がカバーした「Act-Show」を披露した。

KEY TO LIT【Strawberry Breakfast(SixTONES)】Arena Tour 2026 NEO CLASSICSより

 そのなかでもひときわ胸を打ったのが、SMAPの「華麗なる逆襲」カバーだった。岩﨑大昇のアカペラソロで幕を開け、井上瑞稀のターン、中村の甘く伸びやかな歌声へとつながっていく。原曲と同じようにメンバーが歌い継ぎながら、間奏のダンスでは自分たちのオリジナリティも刻む。「華麗なる逆襲」は、SMAPがライブでファンに直接届けることが叶わなかった楽曲。タキシード風の衣装に身を包み、ゴージャスな世界観のなかで繰り広げられるパフォーマンスは、そのままSMAPの姿とも重なる。その懐かしさとリスペクトに、YouTubeのコメント欄には多くのSMAPファンから感謝の声があふれた。

KEY TO LIT【華麗なる逆襲(SMAP)】Arena Tour 2025 WAKE UP THE FOOL より

 嵐の「A・RA・SHI」では、猪狩の軽快なラップと岩﨑のフェイクが光る。だが、この曲では何より5人のユニゾンが要になる。同じ5人組として、デビュー曲にグループ名を刻んだ先輩の歌を、5つの声で真正面から歌い上げてみせた。猪狩はツアー『NEO CLASSICS』で、嵐のラストライブを観た際、「同じ血が流れてるお前らが超えてみろ」というメッセージを受け取ったと語っていた。彼らにとってのカバーは、ただ原曲をなぞることではない。託された思い、果たされることのなかった思いを胸に、受け取ったバトンを持って全力で走る行為なのだ。そこに遠慮はない。しかし、尊敬は忘れない。だからこそ岩﨑は、事務所の史上最高傑作になりたい、そして3年以内に東京ドームに立つと約束したのだと思う。敬意と野心は、彼らのなかで矛盾なく同居している。だから、きっと“超えられる”のだ。

KEY TO LIT【A•RA•SHI(嵐)】Arena Tour 2025 WAKE UP THE FOOL より

 では、デビュー曲で彼らは何を歌うのか。ちなみに、曲名が発表された時には、「“絆”をテーマに、ともに歩んでいく仲間との強い結びつきを描いた一曲」とアナウンスされている(※1)。

 ここで思い出したいのは、KEY TO LITの絆が最初から用意されていたものではないということだ。それぞれが別の場所から集まった5人。だからこそ、彼らの絆は、この約2年で自分たちの手で選び取り、育ててきたものだ。ぶつかり合うことも含めて、互いを丸ごと引き受ける。そんな関係性そのものが、きっとこの曲の芯になるのではないかと、想像を膨らませてしまう。

 そして、タイトルの“キテルヤツ”。今まさに勢いに乗って“キテる”5人という意味はもちろん、遠回りしながらも“ここまできた”5人という意味も、そこには重なっているように思える。「KEY TERUYA2」という一筋縄にはいかない、遊び心たっぷりの言葉を仕込んでくるあたりもまたKEY TO LITらしい。デビューが告げられた瞬間、涙を流しながら肩を組んだあの光景が、そのまま音になるような曲を私は予想している。そこに描かれる“仲間”には、「見つけてくれてありがとう」と彼らが伝えたファンも含まれているはずだ。

 6月、彼らは先輩の歌を携えて『ミュージックステーション』に初めて立った。あれから4カ月――10月23日、岩﨑大昇、井上瑞稀、中村嶺亜、猪狩蒼弥、佐々木大光の5人は、受け継いできたものも、ここから塗り替えていくものも、今までの時間もすべてを抱きしめて、今度は自分たちだけの歌を鳴らすのだ。KEY TO LITの全盛期、そして口にした言葉の数々が本当になっていく瞬間を見届けたい。

※1:https://realsound.jp/2026/10/post-2550320.html

KEY TO LITは“何が違った”のか? 認知の急拡大、未来の国民的グループに相応しい技量……異例スピードデビューの理由

KEY TO LITの今冬のCDデビューが発表。異例とも言える結成から約2年でのデビューはなぜ叶ったのか? SMAPや嵐の楽曲カ…

少年隊、SMAP、嵐……国民的グループの“継承者”として揺るがない志 KEY TO LITが大事にする敬意と独自性

6月26日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)にKEY TO LITが初出演。番組でスペクトラムの楽曲でかつて少年…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる