「怖いものから逃げてきたのなら、今度は向き合わなければいけない」 Zilqy、覚悟の1stアルバム『Birth of Riot』を語る

「神さまに見捨てられなかった」――メンバーと出会えたことで生まれた勇気
――今作では、メンバーが持ち寄ったモチーフやアイデアに、Annaさんが歌詞と歌唱メロディーを加えています。制作はどのように進むのでしょう?
Anna:流れは曲によって違いますが、各メンバーにはそれぞれ制作上の“相棒”のようなキーパーソンがいて、そのチームで生まれた楽曲に、まず私が仮歌を入れます。最初は“ハナモゲラ”というか、思いついた母音を当てて歌っていくんです。その響きから歌詞が生まれることも多い。歌詞ができたら、その曲を持ってきたメンバーがレコーディングに付き添ってくれて、私がハモりを重ねていく。そういうパターンが多いですね。
――めっちゃ今っぽいですね。そして、アルバムの最後を飾る「Crimson」は、日本語主体の歌詞です。この曲を日本語で歌う必要があったのはなぜでしょう?
Anna:メロディに日本特有の“旨味成分”みたいなものを感じて、日本語のほうが相性がよさそうだと思ったんです。英語と日本語は、口のなかで響く場所も違う。私の場合、英語は下顎、日本語は上顎から鼻にかかる感覚があって、英語のほうが音楽には乗せやすく、作詞もしやすいんです。だからメンバーも、私が日本語で書くと宣言するまでは、英語詞になると思っていたんじゃないかな。でも、今回は日本語で書きました。しかも、最初のドラフトをメンバーに見せたら、ボツをくらって(笑)。書き直したので、ある意味、作詞でいちばん苦戦した曲です。それでも、結果として『Birth of Riot』を締めくくり、ここから暴動が始まると宣言するのにいちばんふさわしい曲になったと思います。
――「RUN」のMVでは、黒い群衆に押され、引かれながらも、4人が演奏を続けます。歌詞で描かれる“比較”、“洗脳”、“存在証明”とも結びつく映像ですが、この曲はどんなきっかけから生まれたのでしょう?
Anna:「RUN」は、かなりパーソナルで、私の実体験に基づく曲です。Zilqyへの加入のお誘いをいただいてから、私は9カ月くらいずっと悩み、躊躇していたんです……自信がなくて。「自分には務まらないんじゃないか」「お前にフロントマンは務まらない」という他人の声が頭のなかで何度も再生されて、それに押しつぶされそうでした。でも、そこから抜け出したいとずっと思っていたんです。
そのきっかけをくれたのがメンバーからの言葉でした。一歩を踏み出すには、ものすごく勇気が必要でした。でも、もし本当に「自分には素質がない」「才能がない」ということが現実なのだとしたら、そんな現実からは逃げてしまえばいい。その思いで「RUN」を書きました。
――以前、Zilqyとの出会いを「捨て猫を拾ってもらったような感覚」と話されていたのが印象的でした。
Anna:まさに、そんな気持ちです。Mihoちんが最初にInstagramで私を見つけてくれたんですけど、本当に奇跡だと思っています。「神さまに見捨てられなかったな」と思いながら、感謝の気持ちで日々を生きています。
――そして、「Misfit Toys」は、居場所のない者たちが、ありのままの自分を祝福するキラーチューンです。
Anna:「Misfit Toys」は「RUN」とほぼ同時期にできて、歌詞の面では「RUN」がA面なら「Misfit Toys」はB面と言っていいくらい、双子のような曲です。最初の一行が〈行き止まりへようこそ〉から始まるんですけど、その暗い場所はZilqyに加入する前の自分と重なっています。暗闇で負けを認めていた自分を、メンバーやスタッフに引っ張り出してもらった。明るい場所へ行き、解放されて、新しい自分に〈ハロー〉と言う。暗いところから光へ向かう流れは、すごく意識しました。
――一方、「Other Side of the Moon」は、アルバムのなかでも痛みの質が違います。
Anna:この曲も大切なナンバーで。祖父のように慕っていた方が危篤になった時期と、レコーディングが重なってしまったんです。急遽「会いに行きたい」とお願いして、録音を1週間延期してもらいました。ついこのあいだまで元気だったのに、あまりに急な展開で心が追いつかなかった。その夜、自室で眠れずにいたら満月で、部屋が月の光だけに照らされていたんです。大切な人がもうすぐ月の裏側へ行ってしまうんだな、と。寂しさと同時に、どうかいい場所へ行ってほしいという思いをぶつけた曲です。

――こうして完成したアルバム『Birth of Riot』を携えた全国ツアーでは、楽曲はどう育っていきそうですか?
Anna:レコーディングでは、ブースに入って、壁打ちテニスのように何度も歌うんです。感情を込めながらベストテイクを選び、つなぎ合わせて、いちばんきれいなものを皆さんの耳元へ届ける。でも、ライブは反復練習ではなく、一発勝負の感情のぶつけ合いだと思っています。
だから、このアルバムはツアーで完成するんだと思っています。『Birth of Riot』=“暴動の誕生”は、リスナーがいなければ成立しない。まず観客のリアクションがあって、作品が完成形へ向かっていく。ライブでは、音源と比べて200%くらい強くなると思います。
――そしてアルバムでは、先行配信もされたZilqy史上最速BPMを誇るハイスピードチューン「CAVEAT」が個人的に大好きだったりしますが、完成したアルバムをあらためて聴いて、今はどう感じていますか?
Anna:嬉しいです。どの曲も、ほとんど妥協せずに追求できました。とはいえ、私はまだ成長の途中だし、今も臆病です。でも、怖いものから逃げてきたのなら、今度は向き合わなければいけない。その決意表明が、このアルバムだったのかもしれません。それを象徴しているのが、実は1曲目の「From Zero to One」なんですよね。すごくダークなところから始まり、突然パッと開ける瞬間がある。最初はひとりでもがき、ツラく、暗い場所にいた。でも、そこから抜け出したくて模索した先にメンバーがいて、このアルバムができた。
今は、希望に近い明るい気持ちになれています。願わくば、『Birth of Riot』を聴いた方の背中も、少しでも押すことができたらうれしいです。ぜひライブで皆さんにお会いしたいです。

■リリース情報
Album『Birth of Riot』
発売中
配信URL:https://zilqy.bfan.link/birth-of-riot
完全限定盤:DCCA-182/8,800円(税込)
・LPサイズジャケット仕様
・24P ブックレット付き
※「MAVERICK STORE」限定販売:https://www.maverick-stores.com/zilqy/
一般流通盤:DCCA-183/3,630円(税込)
■ツアー情報
『Zilqy Tour 2026「Birth of Riot」』
10月11日(日) 千葉・柏 PALOOZA
10月12日(祝) 宮城・仙台 LIVE & CLUB MACANA
10月24日(土) 兵庫・神戸 VARIT.
10月25日(日) 愛知・名古屋 ell. FITS ALL
11月14日(土) 福岡・福岡 INSA
11月15日(日) 福岡・福岡 INSA
11月28日(土) 大阪・OSAKA MUSE
12月16日(水) 東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)
チケット:一般発売中
Zilqy オフィシャルサイト:https://www.zilqy.com/
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