マカロニえんぴつ「運命さがし」は2026年最大のラブソングヒットに? 人生の分岐点で鳴り響く〈きみが好き〉という祝福の歌

 9月16日にマカロニえんぴつがリリースした新作EP『運命さがし/終宵』。そこに収録された新曲「運命さがし」が今、大きな話題になっている。

 TikTokで先行配信されたこの曲は、正式リリース前の段階で2.9万件を超える投稿がなされ、さらに『Venue101』(NHK総合)や『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)といったテレビ番組での披露も楽曲の広がりを加速。リリース後にTikTok投稿数は7.6万件まで増加し、動画再生数は累計1億再生を突破した(9月25日時点)。また、LINE MUSIC「ソング Top 100」2位(9月16日時点)、TikTok音楽チャート「トップ50」5位、Apple Music「トップソング」7位を記録(9月25日時点)。さらにSpotify「トップ50-日本」14位、YouTube Music「急上昇中の音楽」17位、Apple Music「トップ100:日本」22位(9月18日時点)とノンタイアップながら各種チャートでも好成績を残している。MVも公開1日で40万再生を記録しており、2026年リリース作における、現時点での最大のラブソングヒット曲のひとつと言えるだろう。

マカロニえんぴつ「運命さがし」MV

 ライブでは、9月13日に千葉市蘇我スポーツ公園で開催された『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2026』がライブ初披露となった。幸運なことに筆者もその場面に立ち会うことができたが、「運命さがし」が披露された瞬間は確かに特別な時間だった。今まさに名曲が空気に触れる、その緊張感と興奮。歌われる言葉に、奏でられる音に、耳をすます観客たちの静けさ。「運命さがし」が演奏されているあいだ、曲と聴き手が“二人きり”になるような空気が会場を満たしていた。広大なロックフェスの空間で、たくさんの“二人きり”が生まれているようだった。〈きみが好き、ただきみが好き〉――そんな、言語を問わずポップスの歴史のなかでどれだけ歌われてきたかわからないシンプルで率直な言葉が、まるで世界で初めて歌われた言葉のように、みずみずしく夜空に響いていた。

 「もう今までのままではいられない!」。そんな衝動的な感覚を打ち鳴らすような、冒頭に響くピアノの音。ときに郷愁を呼び起こすような穏やかなメロディ。覚悟を持って前進していくリズムセクション。感情的なギターもキーボードも、この曲が描く心の泣き笑いを祝福しているようだ。そして、自分のなかに見つけてしまった想いを、どうしたってなかったことにできない男の歌声。プログレッシブでギミックの多いロックサウンドも得意とし、モダンなポップサウンドも昇華するマカロニえんぴつが、鎧を脱ぎ去った、真正面から剥き出しの温かい音を奏でている。

 〈きみが好き〉。この言葉はどれだけ歌われても歌われ尽くすということがない。人という生き物の寄る辺なさは、生の儚さは、未来の不確定さは、僕ときみが他人であるという事実は、〈きみが好き〉という言葉に、硬直しない柔らかな命を与え続ける。「ありきたりなラブソング」と、誰かがこの曲をそう言うのなら、その人は恋の苦痛を知らないのかもしれない。まったく違う人と人が出会う、その痛みと幸福を。

 〈きみが好き〉。そう言いたくて言えなかった瞬間が筆者の人生には少なからずあった。この原稿を読んでいるあなたはどうだろうか。難しい言葉を並べて、達観したつもりでそれをこねくり回し、自分を正当化するように何かを言語化したつもりで悦に浸ることよりも、刻一刻と変わっていく現実のなかで、今その瞬間、心に湧き上がる気持ちを掬い上げて言葉にするべきタイミングが確かにあった。去っていくものを呼び止め、自分の未来に波紋を投じるような言葉を自分の声で叫ぶべきだった。でも、できなかった。もしあのとき、「運命さがし」がすでにこの世にあったら、この曲を僕が知っていたら、あるいは……どうだろうか。

 もし「運命さがし」に主人公がいるのなら、その主人公もきっと後悔を知っている。何かを失い、傷を負った経験がある。だから曲のなかでは〈こんな気持ちにまだなれるなんて!〉と歌われるし、またそれとは矛盾するようにして、〈こんな気持ちに気付きたくなかった〉とも歌われる。混乱しているのだ。それでも、ひとつだけ確かな気持ちが気泡のように心の表面に浮かび上がる。〈きみが好き〉。この気持ちが人生に革命をもたらす爆弾だと知っているから、彼は戸惑い、同時にワクワクもしている。そして、こんなふうに呟く――〈どんな未来も似合ってしまいそうだ〉。ゲームの攻略サイトのような人生設計図を読み込んで安心するのでもなく、未来が未来であるという理由だけで不安に塞ぎ込むのでもなく、彼はとてもフラットに、どんなことも起こりうる未来に対して開かれている。曲の締め括りはこうだ。〈なんて言えないな、消えてしまいそうで〉。〈きみが好き〉と、言葉にすれば間違いなく、現実は音を立てて変わり始めるだろう。行き着く先が天国か地獄かはわからない。それでも果たして、彼は沈黙していられるだろうか?  もし曲の作り手が沈黙だけの行く末を想像していたのなら、きっとこの曲に「運命さがし」というタイトルは付けなかっただろう。

 EP『運命さがし/終宵』はリリース形態にいくつかのバージョンがあり、それぞれジャケットが違うが、筆者は、OKKAKE盤と初回生産限定盤のジャケットが特に好きだ。ひとりの(恐らく)女性が、笑顔で走っているような様子が捉えられた写真。彼女の目線の先に何があるのかはわからない。女性は歩道橋の上にいるのだろう。下の道路では女性とは別の方角に向かって何台も車が走っている。この女性は、まるで世界を横切るようにして、笑顔でどこかに向かって走っている。彼女は誰かの胸に飛び込もうとしているのだろうか? あるいは誰かの背中を追いかけている? 彼女の目線の先にある未来を僕らは知る由もない。未来を知りえないのは彼女自身も同じだろう。それでも間違いなく言えるのは、彼女は「待つ」という態度を取っていないということ。この女性も「運命さがし」の主人公と同じように、〈どんな未来も似合ってしまいそうだ〉と感じながら走っているのかもしれない。とても刹那的で、勇敢で、幸福な、美しいジャケットだ。

 そしてまた、筆者はこの「運命さがし」を初めて聴いたときから、こんな驚きと感動を抱いている。この曲はまるで、あの「なんでもないよ、」の先にあるような曲だと。コロナ禍でもあった2021年の暮れにリリースされたマカロニえんぴつの代表曲「なんでもないよ、」は、口をつぐむ曲だった。安寧の沈黙のなかで、ひとりの男が自分自身を愛することのできる場所に辿り着く、その切実な心の道筋を描いた曲だった。あれから5年が経ち、マカロニえんぴつは〈きみが好き〉と叫んでいる。心が、体と言葉を無化するのではなく、心が、体と言葉をムズムズと突き動かし始めている。無粋なたとえを許してもらえるのなら、もしも「なんでもないよ、」がスピッツで言うところの「ロビンソン」なのだとしたら、「運命さがし」は「チェリー」なのかもしれない。人生の分岐点で、勇気とともに鳴り響くメロディ。嬉しくて切なくて涙が出てくるような、生への祝福の歌。ありきたりな言葉が伝える真実を見過ごさないように。頭で考え付く言葉だけに頼らないように。そして心からの言葉で、僕らがもう1度話し出すために。「運命さがし」は時代の先に吹く風となって、僕らに力を与える。

■リリース情報
<『運命さがし EP』>
完全生産限定盤(オフィシャルファンサイト「OKKAKE」限定販売) [CD+Blu-ray]
・三方背スリーブケース特別仕様+32P Live Photo Book封入
PPTF-8195-8196 / ¥6,600

初回生産限定盤 [CD+Blu-ray]
TFCC-89815-89816 / ¥5,500

通常盤 [CD]
TFCC-89818 / ¥1,650

[CD収録曲]
01. 運命さがし
02. 終宵(TV アニメ 『ワールド イズ ダンシング』オープニングテーマ)
03. グッドラック・マイラバー
04. 運命さがし(instrumental)

[Blu-ray収録曲]
マカロックツアーvol.21 〜心を覗いてシラけるより、ことばのシワだけ増やしてゆけ篇〜 
2026年3月12日(木) 東京ガーデンシアター
01. いつか何もない世界で
02. 忘レナ唄
03. レモンパイ
04. poole
05. 恋人ごっこ
06. 月へ行こう
07. NOW LOADING
08. なんでもないよ、
09. ハナ
10. クレイジーブルース
11. きみは天使で
12. NEVERMIND
13. 化け物
14. カーペット夜想曲
15. ロング・グッドバイ
16. 然らば
17. パープルスカイ
18. はしりがき
19. 洗濯機と君とラヂオ
20. ヤングアダルト
21. 僕らが強く。
22. 静かな海

<『終宵 EP』>
期間生産限定盤 [CD]
・TVアニメ『ワールド イズ ダンシング』 描き下ろしアニメJKT
TFCC-89817 / ¥2,200

[収録曲]
01. 終宵(TVアニメ 『ワールド イズ ダンシング』オープニングテーマ)
02. 運命さがし
03. グッドラック・マイラバー
04. 終宵(instrumental)
05. 終宵(89sec TV Anime Size)

[店舗別特典]
HMV:L判ブロマイド
セブンネット:缶バッジ
Amazon : メガジャケ
タワーレコード:ポストカード
アニメイト:『運命さがし EP』初回生産限定盤、通常盤 : ミニフォト / 『終宵 EP』期間生産限定盤 : ましかくブロマイド
楽天ブックス : アクリルキーホルダー
汎用特典 / OKKAKE商店 : B2ポスター
※特典は「先着」となり数に限りがあります。一部店舗 / ECサイトでは特典が付かない場合がございますので、ご予約ご購入の際は、特典の有無を必ず店頭/ECサイトでご確認ください。
※アニメイト以外の法人では『運命さがし EP』『終宵 EP』ともに特典内容は同じとなります。

<EP特設サイト>
https://macaroni-special.com/unmeisagashi_shusho_ep/

■公演情報
『OKKAKE感謝祭☆代々木体育館に集合!みんなで秋の大運動会?!』
日時:2026年11月4日(水)国立代々木競技場 第一体育館
開場:18:00 / 開演 19:00
チケット: 無料
※全席指定 / 手数料別

「OKKAKE」限定先行受付
期間:〜2026年9月30日(水)23:59
オフィシャルファンサイト「OKKAKE」:https://fc.macaroniempitsu.com
※マカロニえんぴつ オフィシャルファンサイト「OKKAKE」会員限定ライブ
※購入時及び公演当日まで、同行者も含めてOKKAKE会員に登録済みであることが必要
※2枚まで申し込み可能

『マカロックツアーvol.22 〜いま、きみがすき!篇〜』 ※SOLD OUT
2026年10月3日(土)大阪・大阪城ホール
2026年10月4日(日)大阪・大阪城ホール
2026年10月24日(土)福岡・マリンメッセ福岡A館
2026年10月25日(日)福岡・マリンメッセ福岡A館
2026年10月31日(土)北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
2026年11月3日(火・祝)東京・国立代々木競技場 第一体育館
2026年11月21日(土)宮城・仙台セキスイハイムスーパーアリーナ
2026年11月29日(日)兵庫・GLION ARENA KOBE
2026年12月5日(土)東京・有明アリーナ
2026年12月6日(日)東京・有明アリーナ
2026年12月26日(土)愛知・日本ガイシホール

■関連リンク
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