Penthouse、研ぎ澄ませ続けるポップスとしての探求心 『Neon Garden』で開拓した“キャッチーな新境地”
Penthouseが7月29日にメジャー3rdアルバム『Neon Garden』をリリースした。最後まで聴くとすぐさま1曲目からリピートし直したくなるほど、聴き手を魅了するポイントが凝縮された本作は、彼らがデビュー以来変わらず大切にしてきた「たくさんの人に届く音楽を作る」という姿勢を改めて示す作品であるが、その制作過程には新境地や試行錯誤もたくさん詰まっている。初の単独武道館公演の成功を経て、秋からは初のライブハウスツアーを控えるPenthouseの浪岡真太郎(Vo/Gt)、大島真帆(Vo)、大原拓真(Ba)の3人にインタビューを行った。(伊藤亜希)
「1800曲分アイデアがある」(浪岡) 膨大なストックから生まれた「恋する神様」
――『Neon Garden』を聴かせていただきました。アルバムが終わると、すぐもう一度最初から聴きたくなる作品ですね。
大島真帆(以下、大島):嬉しい!
――その理由の一つに曲順があるのかなと思いました。既発曲も多く収録されていますが、どのように決めていったんですか?
浪岡真太郎(以下、浪岡):何気なく音楽を聴いてる人って、アルバム3曲目ぐらいまで聴いて、自分の肌に合わなかったらその先は聴かないだろうなって。だから最初の3曲は、キャッチーな「恋する神様」、クールな「一二三」があって、ちょっと洋楽っぽい「Minute by Minute」がある。どこかに引っかかってもらって、取り込めたらいいなという感じですね。
大原拓真(以下、大原):飽きないように、同じような曲が続かないようにっていうのは、いつも意識してるんです。
大島:英語詞の曲が続きすぎないようにとかね。
――新録曲を中心に伺っていきたいのですが、アルバム最後を飾る「Drop It Down」がすごく印象的でした。また1曲目から聴きたくなると同時に、Penthouseがここまでストレートなファンクをやること自体も新鮮で。
大島:確かにPenthouseでは今まであまりなかったかもしれないですね。
浪岡:僕らが所属していた大学のサークルでは、ファンクって結構人気のジャンルだったので、「いつかこういう曲をやってみたい」というのはずっとあったんです。僕が好きなLawrenceというバンドが、Tower of Powerの「What Is Hip?」からインスパイアされたような曲をやっていて。それを聴いた時に……ちょっと大きく言っちゃうんですけど、Penthouseと同じようなことを海外でもやってる人がいるんだって思ったんですよ。すごく嬉しかったんです。「僕らもやろうかな」「やっていいんだな」って思えた。それで「Drop It Down」を作りました。もちろん、自分が今やりたいことはやりつつ、やっぱり最終的には、みんなに気に入ってもらえる曲を頑張って作るっていうところを意識しています。Penthouseはそこからスタートしているので、その考え方は今も変わらないですね。
――1曲目の「恋する神様」は、どのように生まれた曲だったのでしょうか。
大原:浪岡はかなりデモをストックしていて、その中からメンバー全員で「これをやろう」と決めていくんです。「恋する神様」は、聴いた瞬間から個人的に感触がすごく良かったんですよ。「これはめちゃめちゃポテンシャルのある曲だな」と思って、「近いうちにやりたいよね」って話をしていました。アルバムを作ることになった時に、「じゃあリード曲に据えよう」という流れになりました。
大島:結構、過去にも大原さんが「これいいね」って言った曲が、我々の認識ではわりとヒットすることが多かったんですよ。
浪岡:大原さんの感覚が、大衆に一番近いんです。
大島:それはメンバーの共通認識でもあって。今回も「リード曲どうする?」って話になった時、他にもいい曲はあったんですけど、「大原さんがいいって言うなら、その感覚を信じよう」って。
大原:(笑)。今のは2人ともいい感じに言ってくれてますけど、実際は僕がかなりゴリ押ししたんですよ。「これやりたいです!」って(笑)。
浪岡:僕も結構気に入ってました。よくできた曲だなと思っていましたし。
大原:浪岡は、自分の音楽的なこだわりをちゃんと持ちながらも、現代の感覚に合うものを取り入れながら曲を書いてくる人なんです。だから意外ではなかったんですけど、Penthouseの曲としてはかなり口ずさみやすい曲になったなと思いました。「Penthouseにもこういう方向性があるんだ」っていう発見でもありましたし、デモの段階から〈恋する神様〉というフレーズだけは入っていたんです。その言葉自体がすごくキャッチーだったので、「このワードからどういう世界が広がるだろう?」と考えながら歌詞を書いていきました。
――実は、その〈恋する神様〉という言葉を浪岡さんが出したと聞いて、少し意外だったんです。浪岡さんのイメージって、すごくストロングスタイルじゃないですか。
大島:確かに、ストロングスタイル・浪岡(笑)。でも浪岡は、令和という時代にたくさんの人が聴いている音楽を誰よりもちゃんとキャッチアップして、それを自分の作品作りにも活かしていこうという気持ちがある人なんです。Penthouseがもっと大きくなるために、たくさんの人に聴いてもらえる音楽を常に生み出そうとしている。その中の一つとして〈恋する神様〉というフレーズが生まれたんだなと思いましたし、「めっちゃいいな」と思いましたね。
――浪岡さんは「恋する神様」を作った時のことは覚えていますか?
浪岡:いつも曲を作っているので(笑)。でも、おそらく2~3年前には、なんとなくあった曲ですね。
大原:そうなの?
浪岡:毎日メロディを作ってストックしているんですけど、この曲は番号でいうと700番台くらいなんですよ。今、1800曲分くらいアイデアがあるうち、結構若い番号なんです。だから2~3年前にはできていたと思います。ただ当時は、キャッチーなメロディだけど、アレンジし切れない気もしていたんです。僕はアレンジがキャッチーさを強くする決め手だと思っているので。メロディはシンプルだから、それをどう埋めるかが難しかった。最近になって編曲もだいぶできるようになってきたからこそ、ようやく上手くまとまったんじゃないかなという気がしています。