マイケル・ジャクソン「Beat It」40年以上の時を経て再びチャートへ 時代を超えて愛されるポップソングの力

Viral Hits Focus

 話題のバイラルヒット曲を毎週収録するSpotifyによる日本向けエディトリアルプレイリスト「Viral Hits Japan」(※1)。同プレイリストより、本記事ではマイケル・ジャクソンの「Beat It」をピックアップする。

 1982年発売のアルバム『Thriller』に収録された「Beat It」が、40年以上の時を経て再びチャートを駆け上がっている背景には、6月12日に公開された映画『Michael/マイケル』の存在がある。本作は、The Jackson 5時代からソロアーティストとして『Thriller』を生み出すまでの歩みを描いた作品。マイケル・ジャクソンを甥のジャファー・ジャクソンが演じたことでも話題を集めた。公開日からの3日間で動員67万2,056人、興行収入10億9,002万3,220円を記録(※2)。日本において、動員、興行収入ともに2026年公開の邦画/洋画実写映画の1位となった。

映画『Michael/マイケル』日本版本予告

 「Beat It」は、マイケルの歴史的アルバム『Thriller』から、「The Girl Is Mine」「Billie Jean」に続いてシングルカットされた3枚目のシングルである。『Thriller』は収録9曲中7曲がシングルヒットするという前例のない成功を収めた。同作はそれまでよりもさらに幅広いリスナーへ届けることを目指したアルバムでもあり、その姿勢を象徴したのが、ポール・マッカートニーとの「The Girl Is Mine」、そしてエディ・ヴァン・ヘイレンを迎えた「Beat It」である。R&B、ポップス、ロックという異なる音楽文化を一枚のアルバムに融合させたことが、『Thriller』を時代の枠を越えた作品へ押し上げた。その中でも、ジャンルの垣根を最も鮮やかに越えた楽曲が「Beat It」だったと考える。

 「Beat It」を世界的ヒットへと導いた要素のひとつがMVだった。MVは、ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』をモチーフにしていると言われ、抗争を繰り広げるストリートギャングたちが、暴力ではなくダンスによって対立を乗り越える物語になっている。当時中学生だった筆者は、このMVを通して、人は人種を越えて歌やダンスでひとつになれるのだというメッセージを受け取った。

Michael Jackson - Beat It (Official 4K Video)

 「Beat It」は、イントロのギターリフだけで楽曲を認識できる強烈なフックを持ち、展開に一切の無駄がない。また、ロック、ポップ、R&Bという複数のジャンルを横断するサウンドは、ジャンルを横断した楽曲が並ぶ現在のプレイリスト文化とも相性がよく、世代やジャンルを越えて受け入れられる普遍性を備えている。

 映画が「Beat It」を再び世の中へ届けるきっかけになったことは間違いない。しかしそれ以上に、40年以上前の楽曲がヒットチャートへ戻ってきた理由は、作品そのものの完成度にある。時代が変わり、ヒットの生まれ方が変わっても、優れたポップソングは何度でも新しい世代に発見される。「Beat It」の再浮上は、そのことを改めて証明する出来事と言える。

※1:https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DWZZbpkxU5t9L
※2:https://www.sonymusic.co.jp/artist/MichaelJackson/info/584237

Vaundy、SUPER BEAVER、西野カナ、クリープハイプ、乃紫、ROIROM……注目新譜6作をレビュー

毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はVaundy「気ま…

INI、ROIROM、JO1……アーティストの物語と楽曲の相乗効果 ボーイズグループによるチャートアクションの変化

Spotifyの「DailyViralSongs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotif…

関連記事