モーニング娘。’26、最後まで貫いた牧野真莉愛という生き方 “好き”に一途に、らしさ全開で駆け抜けた卒業公演

 モーニング娘。’26の春ツアーファイナル『モーニング娘。’26 コンサートツアー春 〜Rays Of Light - Final〜 牧野真莉愛 卒業スペシャル〜』が、6月24日に日本武道館にて開催された。2014年に12期メンバーとして加入してから約12年。牧野真莉愛がモーニング娘。として最後に示したのは、どこまでもまっすぐで、どこまでも明るく、自分の好きなものも、モーニング娘。への愛も、最後まで全力で貫くアイドルとしての生き方だった。

 SEが鳴り響くと、メンバーはラメがきらめく華やかな衣装で登場。1曲目の「THE マンパワー!!! (updated)」から力強く拳を突き上げ、武道館の空気を一気に掴んでいく。続く「One・Two・Three (23 Ver.)」「そうじゃない」ではセンターステージへと移動し、序盤からグループ全体の熱量を見せつけた。特に初のセンター曲となった「そうじゃない」は、牧野にとっても大きな意味を持つ楽曲だ。ソロダンスを含め、強いまなざしでステージに立つ姿からは、最後までモーニング娘。として歌い踊ることへの誇りが伝わってきた。

 最初のMCでは、椎間板ヘルニアで春ツアーを欠席していた野中美希がステージに立てた喜びを伝えたほか、18期生の安田美結、鈴木もあ、石川華望が初お披露目された。自己紹介では、それぞれ好きな給食のメニューを発表。安田はフルーツポンチ、鈴木は揚げパン、石川はココアパンと答え、初々しい空気で会場を和ませる。同期のお披露目となった杉原明紗は「同期ができて嬉しい気持ちでもありますし、切磋琢磨して頑張っていきたいなって思います」とコメント。牧野の卒業という大きな節目に、新たな世代のスタートが重なったことも、この日の武道館を特別なものにしていた。

 ライブ前半で印象的だったのは、卒業公演でありながら、牧野だけにフォーカスを寄せすぎるのではなく、あくまでモーニング娘。’26のライブとして強度を保っていたことだ。「なんちゃって恋愛」「気まぐれプリンセス (23 Ver.)」「3、2、1 BREAKIN’OUT!」では、切なさ、華やかさ、勢いを曲ごとに切り替えながら見せる。「3、2、1 BREAKIN’OUT!」で杉原がソロダンスを披露すると、会場からは大きな歓声が上がった。新メンバーや若手メンバーの見せ場がしっかりと用意されていたことにも、グループの現在地が表れていた。

 スタンドマイクを使った「Hey! Unfair Baby」ではクールな表情を見せ、「わがまま 気のまま 愛のジョーク (23 Ver.)」では岡村ほまれが「武道館、声出していくよ!」と煽る。そこからダンスインターを挟み、「ザ☆ピ〜ス! (23 Ver.)」「LOVEマシーン (updated 23 Ver.)」「そうだ! We’re ALIVE(updated 23 Ver.)」「恋愛レボリューション21 (updated 23 Ver.)」と、モーニング娘。の歴史を象徴するメドレーに突入した。

 ユニットコーナーでは、メンバーシャッフルによる楽曲も披露された。小田さくらと牧野による「Style of my love」は、長い時間をともに過ごしてきたふたりだからこその空気があった。櫻井梨央、井上春華、弓桁朱琴によるプッチモニの「バイセコー大成功!」ではフレッシュな魅力が弾け、岡村ほまれと山﨑愛生によるミニモニ。の「CRAZY ABOUT YOU」では、楽曲の持つシリアスさを今のメンバーの色で表現していた。

 VTRでは「MARIA MAKINO MEMORIAL」と題し、13歳で加入した牧野のこれまでの軌跡を振り返る映像が流れた。そこから「雨の降らない星では愛せないだろう?」「Chu Chu Chu 僕らの未来」「よしよししてほしいの」「私のなんにもわかっちゃない」「勇敢なダンス」「Wake-up Call〜目覚めるとき〜」「What is LOVE? (23 Ver.)」と、ライブは一気に後半戦へ。グループのスケール感、鋭さ、かわいらしさ、身体性が次々と押し寄せる構成で、武道館の熱気はさらに高まっていく。

 そこから「Fantasyが始まる」「私のラミンタッチオーネ(Lamentazione)」「Are you Happy?」「明るく良い子」と続き、初披露の新曲「Lonely...But not Alone」へ。疾走感のあるサウンドが印象的なアッパーチューンで、終盤の武道館に新たな熱を生み出していた。なかでも〈きっと私の明日は素晴らしい〉というフレーズは、モーニング娘。としての時間を走り抜け、この日新たな一歩を踏み出す牧野の姿とも重なって聴こえた。

 本編終盤のMCでは、メンバーから牧野へメッセージが送られた。春ツアー全公演に帯同した杉原は、先輩たちと距離が縮まったことを振り返りながら、「18期メンバーも揃ったので、これからもずっと見守っててください」とコメント。弓桁は「牧野さんの言葉に助けられて3年間やってこれたなと思っています」と感謝を伝え、「今度は自分が伝えていく側になれたら」と語った。井上、櫻井、山﨑、岡村の言葉からも、牧野が後輩たちに残してきたものの大きさが伝わってくる。明るく華やかな存在でありながら、常に自分を持ち、モーニング娘。としての姿勢を見せ続けてきた牧野の姿が、メンバーそれぞれの言葉から浮かび上がっていた。

 なかでも胸を打ったのは、小田の言葉だった。涙を流しながら「私と真莉愛ちゃんは、私のアイドル人生のなかでいちばん一緒に過ごした人だね。楽しかったね」と語りかけた小田は、牧野を「少年誌の主人公です」と表現する。キラキラした姿の裏で、ずっと戦いながら生きてきた人。長い時間をともに過ごしてきた小田だからこその言葉は、牧野の明るさの奥にある強さまで照らしていた。椎間板ヘルニアでツアーを欠席していた野中は、「大好きなモーニング娘。としてパフォーマンスができて、本当に嬉しかったです」と、この卒業公演に参加できた喜びを語る。さらに武道館でやりたいこととして、牧野の決めポーズ「まりあん LOVEりんですっ」を披露し、会場を温かな空気で包んだ。

 本編ラストの「ENDLESS SKY」では、牧野との思い出の写真がスクリーンに映し出されるなかで、メンバーが歌声を重ねた。これまでの時間を振り返るような演出と、空へ視線を向けるような楽曲の広がりが重なり、感動的なシーンとなった。

 アンコールでは、ピンクのペンライトに包まれた会場に「真莉愛」コールが響き渡る。白と赤のドレスをまとった牧野は、「モーニングコーヒー」のBGMに乗せて登場。これまでの活動を噛みしめるように客席へ手を振ると、モーニング娘。OGの飯田圭織が花束を持ってステージに現れた。モーニング娘。の歴史が現在へとつながる感動的な場面に、会場からは大きな拍手が起こる。さらに、北海道日本ハムファイターズに縁のある木田優夫、山﨑福也からのメッセージも届けられた。

 そしてマネージャーから牧野へ手紙が手渡される。差出人は、牧野が“新庄つーたん”と慕う新庄剛志だった。「ここから真莉愛ちゃんが主役の新しいシーズンです。失敗してもいい、空振りしてもいい、思いっきりバットを振ってください。その先には必ず真莉愛ちゃんらしいホームランが待っています」。野球を愛し、自分の好きなものをまっすぐに言葉にし続けてきた牧野にとって、これ以上ないメッセージだった。

 卒業ソロ曲として披露されたのは「あっと驚く未来がやってくる!」。牧野は「今日まで、こんなどうしようもねえ自分を愛してくれてありがとう」とつぶやくと、鐘の音が鳴り響き、一度ステージをあとにした牧野が勢いよく再登場する流れには、最後まで牧野らしいドラマと明るさがあった。続く「青空がいつまでも続くような未来であれ!」ではメンバーも合流し、〈LALALALA〜〜〜〉の合唱が武道館いっぱいに広がっていく。

 ラストは「ブラボー!」。幸福感に満ちたパフォーマンスで、モーニング娘。’26はこの日のライブを締めくくった。さらに終演後、再度のアンコールに応えてステージに現れた牧野は、大好きな『ONE PIECE』の名言になぞらえて「クソお世話になりましたー!」と叫ぶ。感謝を湿っぽく伝えるのではなく、自分の好きな言葉に乗せて全力で届けるところまで、あまりにも牧野真莉愛らしい。

 小田が語った「少年誌の主人公」という言葉は、この日の牧野を表すうえでとても腑に落ちるものだった。明るくて、まっすぐで、好きなものを好きだと言い続ける。ときに不器用でも、戦いながら前に進み続ける。牧野の卒業は、モーニング娘。におけるひとつの大きな章の終わりであると同時に、18期生のお披露目や新曲「Lonely…But not Alone」の初披露が示していたように、グループの新しい始まりでもあった。

 牧野真莉愛は最後まで、牧野真莉愛だった。ピンクの光に包まれた日本武道館で、彼女は笑顔でモーニング娘。としての時間を走り抜けた。

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