急速に存在感を増すOddRe:とは何者? 人を惹きつける魅力の源泉、多くの“君”へと届く新曲「睡る君」に迫る
新曲「睡る君」の“丁寧さ”が際立たせるOddRe:の意思
そんなバンドとリスナー、オーディエンスの関係性を象徴するような楽曲が5月1日にリリースされた「睡る君」だ。2月にリリースされた「Revival」以来のメジャー第2弾配信シングルとなるこの「睡る君」は、80年代のニューウェイブやインディーロックを彷彿とさせるリバービーな音像とシンプルなサウンドデザインがまたしてもバンドの新たな引き出しを感じさせる1曲。シンプルゆえに一つひとつの音が際立ち、そのうえでロマンティックなメロディをなぞるAirAの歌も引き立っている。その魅力はこれまで彼らの名刺となってきた、たとえば「FEVER TIME」や「東京ゴッドストリートボーイズ」、「Revival」のような楽曲とはまた違った一面を覗かせるもので、より幅広い層のリスナーにリーチする可能性を感じさせる。
ただし――今、筆者は「シンプル」という言葉でこの楽曲を形容したし、それは実際に楽曲を聴いての印象なのだが、ではそのシンプルさ故にOddRe:の面白さの一つであるSOIによるトラックメイキングのユニークネスが失われているのかというと、決してそうではない。聴けば聴くほどアレンジのディテールは作り込まれていて、控えめなギターの音色からバックグラウンドで浮遊するシンセのシーケンスまで、一つひとつの音の置き場と鳴らし方に神経が行き届いていることがわかる。最初に聴いたときは、そのメロディの美しさに耳を奪われ、聴いているうちに歌詞が描き出す情景に心を奪われる。そしてその先で繰り返し繰り返し聴いていると、いつの間にか曲の中に仕込まれた数々の音楽的仕掛けにはまっているという、まるで巧妙なトラップのような味わいのある曲なのである。サウンドの展開、リズムの構成、そしてボーカルの表現の繊細な変化。それらが渾然となってひとつのドラマを生み出していく。この曲はシンプルだからこそ、これまで以上に丁寧に作られていったのではないかと想像する。
そう、この曲は一言で言うなら、とても丁寧だ。そしてその丁寧さは、この曲がこれまで彼らが作ってきたどの曲よりも、まっすぐに伝えるべきメッセージを持ったものだからなのではないかと思う。この「睡る君」が描き出すのは、遠く離れた「君」に向けて向けられた思いだ。〈ずっと向こうまで翔ぶ/電波に乗り込む/窓を超えて/街を超えて/ずっと目指す鼓動〉と始まる歌詞は、距離や時間を超えて繋がることのできる可能性を繰り返し訴える。それがどういうことなのか、そしてここで歌われる「君」とは誰なのか。SOIの書く歌詞は決して具体的なことは言わないが、だからこそ受け取った我々はそこにいろいろな関係性を重ねることができる。
人によってはこれをラブソングと受け取る人もいるだろう。離れて暮らす家族のことを思い浮かべる人もいるかもしれない。どう受け取るかは受け取り手の自由だが、筆者はここにバンドとリスナーやオーディエンスとの関係性が写し込まれていると感じた。この曲で歌われる「電波」とは、「音楽」のメタファーだと思ったのだ。〈育つの/いつかをそっと残して/時代を駆けてさ/その鼓動をまだ目指すの〉――そう歌う「睡る君」は、音楽という「波」を通してより遠くの、そしてより多くの「君」と繋がり続けたい、というOddRe:の意思を表明したものに思える。〈時を超えて/肌を超えて/そっとズラす孤独。〉〈分かつ街も超えて今 君へ〉。事実として活躍のフィールドを広げ続けている今だからこそ、そのメッセージはリアリティを持つ。この曲が、自分たちの音楽が自分たちと誰かを隔てるあらゆるものを越えて届いていくことをOddRe:は願っているのである。その願いは間違いなく現実のものになるだろう。体ではなく心を踊らせるこのバンドの音は、今も着実に、その飛距離を伸ばしている。
■リリース情報
2026年5月1日(金)配信リリース
Digital Single
「睡る君」
配信リンク:https://OddRe.lnk.to/nemuru_kimi
■関連リンク
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