飛躍を遂げるMAZZEL、地道な努力の積み重ねで掴んだ勢い デビュー3周年に振り返る個性豊かな8人の軌跡
SKY-HIが率いるBMSGの8人組ダンス&ボーカルグループ、MAZZELが5月17日にデビュー3周年を迎えた。2023年1月に誕生までを追ったオーディションドキュメンタリー番組『MISSIONx2』がBMSG公式YouTubeチャンネルで配信スタート。KAIRYU、NAOYA、RAN、SEITO、RYUKI、TAKUTO、HAYATO、EIKIがメンバーに選出され、同年5月にシングル『Vivid』でデビューを飾った。ジャズとファンクの要素が入った華やかな楽曲であり、8人の色とりどりの個性が発揮され、MAZZELの未来に期待が膨らむ「Vivid」を収録したこの作品は、Billboard JAPAN週間シングルセールスチャート「Top Singles Sales」をはじめ、いくつものチャートで初登場1位を獲得した(※1)。
「思うように結果が出ない日々」を変える契機になった2025年
そこから3年。2026年4月にリリースされた2ndアルバム『Banquet』はMAZZEL史上最高の売り上げを記録し、複数のチャートで1位を獲得。本作を携えた初の全国アリーナツアー『MAZZEL 1st Arena Tour 2026 “Shall we hit the Banquet?”』のチケットは全公演が完売し、追加公演として国立代々木競技場 第一体育館2DAYSが行われる。MAZZELが今最も勢いのあるダンス&ボーカルグループの一組であることは間違いない。しかし、華々しいデビューの後、メンバーが「思うように結果が出ない日々が続いた」と話している通り(※2)、決して順風満帆な道のりではなかった。
風向きが変わってきたのは2025年だ。2025年第一弾楽曲として、1st EP『Royal Straight Flush』から「J.O.K.E.R.」を先行配信。ポーカーで最も強い役であるロイヤルストレートフラッシュのごとく、大きく異なる個性を持った8人が集まり最強となるMAZZELの面白さを、スリリングな歌&ラップ&ダンスにとじ込め、鮮烈な印象を与えた。SEITOのブレイキンとRANのポッピンというそれぞれの伝家の宝刀を前面に押し出したコレオも、MAZZELの武器を大いにアピールした。「J.O.K.E.R.」の配信から約2カ月後に「King Kila Game」をデジタルリリース。〈王様ダレだ?〉というエッジーなパンチラインがリピートされ、攻撃力全開。でもカラフルというまたもやインパクトの強い楽曲で、MAZZELの独創性をさらに印象付けた。
個々の活躍と抜群のトーク力、ハイレベルなパフォーマンスで勢いを拡大
その頃から、個々の活躍が目立ち始めた。歌だけでなく、トークでもMAZZELの要を担うKAIRYUが『TALK ABOUT』(TBSラジオ)のパーソナリティに就任。NAOYAは映画『君がトクベツ』で演技に初挑戦し、大橋和也(なにわ男子)演じる主人公・桐ヶ谷皇太がリーダーを務める国民的アイドルグループ「LiKE LEGEND」のメンバーの一人として、映画の枠を飛び越え、音楽番組にも出演し注目を浴びる。ジワジワとMAZZELの名前が広がっていく中で、怒涛のスピードでツッコミとボケが交錯するMAZZELの珠玉のトークが存分に味わえるYouTubeコンテンツ「MAZZEL ROOM」(以下、「まぜべや」)の切り抜き動画がSNSを賑わせ始め、MAZZELの支持はさまざまな方面に飛び火していった。
『SUMMER SONIC 2025』や『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2025』をはじめとする夏の大型フェスに複数出演し、歌、ダンス、ラップ、すべてにおいて高い実力と華と個性を備えているグループであることを見せつけたことも大きかっただろう。8月末に行われた『MAZZEL 2nd One Man Tour 2025 “Royal Straight Flush”』のファイナル公演を公式YouTubeチャンネルで生配信し、同時視聴者数は約6万人を記録。注目度の高さをアピールした。その時期のMAZZELを、SKY-HIは「今は試験管に水が溜まっていて、あと一滴何かが加われば一気に溢れ出すような状態」(※3)と表していたが、まさにじわじわと機が熟し、最後の後押しを待つような状態だった。
「まぜべや」でお酒を飲んだ時にNAOYAがつい発した「酔っぱらってぴぴゃ」というユニークな一言の切り抜き動画が拡散され、MUZE(ファンの呼称)内のミームを超えて、広く浸透していった頃、NAOYAはドラマ『セラピーゲーム』(日本テレビ系)にW主演。MAZZELはエンディングテーマ「Only You」を担当。久しくチャートで1位を獲れずに悔しい思いをしていたが、ここにきて念願の1位を獲得した。
種が芽吹き始めた2025年を経て、2026年、MAZZELの勢いは加速していく。2ndアルバム『Banquet』のリリース直前に『THE FIRST TAKE』と『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)にそれぞれ初出演し、メンバーとMUZEの長年の悲願を達成。その勢いのまま、4月末から初のアリーナツアーに突入した。5月に入っても、『The Covers』(NHK BS/BSP4K)、『よるのブランチ』(TBS系)、『The Covers』(NHK BS/BSP4K)、『DayDay.』(日本テレビ系)、『ZIP!』『ヒルナンデス!』(ともに日本テレビ系)、『ハマダ歌謡祭★オオカミ少年』(TBS系)と個々でのテレビ出演が続いており、MAZZELの存在感はより広がっている。
MAZZELの今の状況は、何か大きなきっかけや仕掛けがあったから生まれたわけではない。いくつかの分岐点はあったが、地道かつ着実に目の前のことに真摯に向き合い続けた日々の賜物であろう。高いクオリティと独創性を宿した楽曲とパフォーマンス、8人の個性溢れるトークの面白さ。加えて、何かとカテゴライズされがちな世の中において、何もかもがバラバラの8人が何の枷もなく、自由にありのままの姿で存在し、お互いを尊重し合うMAZZELの姿は多様性そのもの。生きづらさや窮屈さを感じている人にとって、大きな救いとなっているのだろう。だが、MAZZELのスタイルやスタンスはデビュー時から大きく変わったわけではなく、時代がMAZZELを見つけたのだと思う。その証拠に、今になって過去の楽曲の再生数やMVの視聴回数など軒並み伸びているのだ。デビュー3周年を迎え、どんな形でその多彩で味わい深い魅力を拡張させていくのかが楽しみでならない。
※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/125484/2
※2:『日経エンタテインメント!』2026年5月号増刊(日経BP)より
※3:https://rollingstonejapan.com/articles/detail/43379/2/1/1