majikoの中に存在する無垢と不純 『惡の華』『メイドさんは食べるだけ』対極的な作品で出会った感情

『惡の華』の衝撃を曲に昇華した「クライクライ」

ーー続いては「クライクライ」について。majikoさん本来の世界観が強く表れた楽曲なのかなと思いますが、まず『惡の華』の原作コミックに対してはどんな印象がありますか?

majiko:ヤバいマンガだなと思っていました。共感性羞恥じゃないけど、「うわ、うわ」って抉られる感じがあって。学生時代に闇の時期を経験した身としては、「あの感覚を表現してる。すごい!」という驚きがありました。実写ドラマ化が発表されたときもビックリしたし、あのちゃん、鈴木福くんの配役もピッタリだなって。

majiko – クライクライ Music Video

ーーそれだけ思い入れがある作品に対して曲を作るのはどうでした?

majiko:リーガルリリーの「ハナヒカリ」(映画『惡の華』主題歌)もそうですけど、『惡の華』には攻めた曲が合うなと思っていて。私なりの解釈でこの作品の世界観に似合う2曲を提示させてもらって、選んでいただいたのが「クライクライ」だったんですよね。最初のデモ音源からはかなり変化しているんですけど、監督が仰っていた「静かなシャッター通りに咲く一凛の花のようなイメージを大事にしたい」というのもすごくわかったし、それは私が表現しようと思っていたこととも重なっていて。〈ねえねえ、教えて/これでほんとうにいいの?〉という冒頭のところは、原作を読んでいるときにいちばん衝撃的だったシーンの一つを思い浮かべながら書いたんですよ。

ーー〈ああ、なんだって なんだって/感謝をしなきゃ/「価値のある痛み」/贅沢だ 贅沢だ〉というフレーズも刺さりました。

majiko:学生の頃にモヤモヤしたことを書いてみようかなと思って。何があっても「感謝しなくちゃね」で済まされる感じがあって、それに対する皮肉めいた感情を持っていたんですよ。「全部感謝だね、ハハハ」みたいな気持ちを歌詞にして高音で歌ってみました。あの頃は漠然とした不安と無敵感の両方があって。今思うと表面しか見えてなかったのに、真理に触れてる感じがあったというか……。そういう危うさみたいなものを表現できたらいいなとも思ってましたね。

ーー思春期特有の危うさは、おそらく今もmajikoさんのなかに存在してる気がします。それを上手くコントロールしながら制作しているというか。

majiko:そうかもしれないですね。久しぶりに曲を書こうとすると、自分の感情に振り回される感じがあって。表現を突き詰めていくなかで、しっかり手綱を握るような状態になってくるんですよ。それが自分の表現の深みにつながっていけばいいなと思ってます。

ーー徳澤青弦さんのストリングス・アレンジもすごいですよね。

majiko:そうなんです! アレンジしていくなかで、水みたいなイメージの弦が欲しいなと思って。私の打ち込みでは限界があるので、徳澤さんにお願いさせてもらったんですけど、編曲も演奏も「それです! 解釈一致です!」という感じでした。あと、この楽曲には絶対に歪みが必要だと思って。「怖くて美しい」というバランス感が合うと思ったし、ディストーション感がほしかったので、だったらエンジニアは井上うにさんしかないなと。

ーー楽曲全体にきれいな歪みがかかってる印象があって。

majiko:そうそう。初めてご一緒したんですけど、本当にすごかったですね。私が弾いたギターの音も入ってるんですけど、それ、自分の家で録ったやつなんですよ。「たぶんシールドが壊れてて、無理に音量を上げてるんだけど、それがいい」と言ってくれて。ボーカルのテイクも、自分の家で録ったものをそのまま使ってもらってるんですよ。もともとはデモ音源に入れていた仮歌だったんですけど、うにさんは最初から「これがいい」と仰ってて。確かに仮歌を録ってるときって、神聖なゾーンみたいなところに入ってたんです。レコーディングで録り直すと、仮歌の模倣みたいになりそうだったし、うにさんも「(撮り直せば)もっと上手く歌えると思うけど、デモの歌のほうがいい」と言ってくれて。しかもそのテイク、ロー(低音)が出なくなってる壊れかけのマイクで録ってたんですよ(笑)。今は買い換えてるんですけど、前のマイクの最後の輝きみたいなものを入れられたのもよかったのかなと。

ーーmajikoさんらしさを強く出しつつ、新たなトライもあって。

majiko:いい曲が出来たと思います。試写会で3話まで観させてもらったんですが、エンディングで「クライクライ」が流れたときに、「ちゃんとこの曲の居場所がある」と思って。そういうふうに使ってもらえて「ウウウ……」ってなったし、自分の感覚がドラマの監督さんやスタッフの皆さんに伝わっていたのがうれしくて。上手く言えないですけど、「分かってくれる人、いるじゃん!」って思えたし、周りの方々から自信をもらっているんだなって改めて感じましたね。

ーー「リボン」と「クライクライ」という両極端の楽曲のなかで、majikoさんの創造性がフルに発揮された。リスナーとしても、そんな手ごたえがありました。

majiko:うれしいです。やっぱり経験しないとわからないことがたくさんあるんですよね。作詞・作曲はもちろんですけど、アレンジを含めた全体のバランス感は自分の主観だけでは捉えきれないし、いろんな人の意見やアイデアも取り入れて。そのうえで「私はこういう表現をしたいです」と自信を持って提示できるようになれたらいいなと思ってます。そのためにはいろんな音楽を聴かなきゃいけないし、その場所がジムなんですよ。

ーーなるほど、ジムは音楽を聴く場所でもあるんですね。

majiko:そうなんです。自分を清める場所でもあるし、インプットの場所でもあるので。……いい話だ(笑)。

ーー(笑)。この後は海外での活動が続きます。

majiko:ゲーム「原神」(オープンワールドRPG)のイベントでアメリカとヨーロッパに行かせてもらって、その後、台湾でワンマンライブ(5月16日・台湾Legacy TERA)があります(4月初旬取材時)。まずはそこに集中ですね。がんばります!

■リリース情報
「クライクライ」
配信リンク:https://lnk.to/Kuraikurai

「リボン」配信中
配信リンク:https://lnk.to/Ribbon_Full

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