乃木坂46 梅澤美波「もう一つの太陽」に見る“卒業ソロ曲”の意味 白石麻衣、西野七瀬、齋藤飛鳥……歴代楽曲を振り返る

 乃木坂46・梅澤美波のソロ曲「もう一つの太陽」のMVが公開された。2016年に3期生として乃木坂46に加入した梅澤は、その長身と大人びた雰囲気で早くから目を引く存在だったが、最初から前に出続けてきたというより、憧れの白石麻衣の背中を追いながら、自分の役割を少しずつ見つけていったメンバーでもある。21stシングルで選抜入りを果たし、福神としてグループの中心に立ち、2023年には乃木坂46の3代目キャプテンに就任。後輩を支え、グループ全体を見渡す立場になったことで、梅澤の存在感はさらに大きくなっていった。

乃木坂46 『もう一つの太陽』MUSIC VIDEO

 乃木坂46に限らず、櫻坂46、日向坂46も含めた坂道グループの卒業ソロ曲には、それぞれのメンバーがグループで過ごしてきた時間や、その人らしい旅立ちの形が描かれてきた。生田絵梨花「歳月の轍」、齋藤飛鳥「これから」、小林由依「君がサヨナラ言えたって・・・」、加藤史帆「どっちが先に言う?」などを振り返りながら、歴代の卒業ソロ曲に刻まれてきたメッセージについて考えたい。

記憶に刻まれる歩み、乃木坂46卒業ソロ曲が紡ぐ物語

 乃木坂46は、卒業を迎えるメンバーに向けて、多くのソロ曲を制作してきた。楽曲の色合いはそれぞれ異なるが、どの曲にも共通しているのは、卒業するメンバーがグループでどのような日々を過ごし、どんな存在として記憶されてきたのかが自然に映し出されていることだ。

 初期の卒業ソロ曲として印象深いのが、深川麻衣「強がる蕾」と橋本奈々未「ないものねだり」だ。「強がる蕾」には、“聖母”と呼ばれた深川のやわらかな人柄と、その奥にある芯の強さが表れている。「ないものねだり」は、卒業を大きく飾るのではなく、橋本が静かに自分の人生へ歩き出していくためにそっと背中を押し出すような楽曲だった。乃木坂46を離れた後の道を自分で選び取る。そんな橋本の強さが、曲の空気にもよく表れていたと思う。

乃木坂46 『強がる蕾』Short Ver.
乃木坂46 橋本奈々未 『ないものねだり』

 西野七瀬「つづく」は、“卒業”をその先へ続く時間として描いた楽曲だ。グループ所属初期は前に出ることに自信を持てなかった西野が、表現の幅を広げ、乃木坂46の中心に立つ存在になっていった歩みが、タイトルの「つづく」と重なる。白石麻衣「じゃあね。」は、グループの象徴として歩んできた彼女が、本人の言葉でメンバーやファンへの感謝を綴った一曲だ。日常の延長にあるような「じゃあね。」という言葉に、白石らしい上品さと親しみやすさが表れている。

乃木坂46 『つづく』Short Ver.
乃木坂46 『じゃあね。』

 生田絵梨花「歳月の轍」は、乃木坂46で過ごした時間を、表現者としての歩みと重ねた楽曲だ。グループ活動とミュージカルで経験を積んできた生田だからこそ、「歳月」という言葉には、華やかな場面だけでは語れない努力や迷いの時間まで感じられる。齋藤飛鳥「これから」は、1期生として長く活動し、中心に立ちながらも自分自身を簡単には語り切らせない彼女の佇まいがタイトルにも重なって見える。最後に「これから」と歌うことで、卒業後の時間へ目を向ける楽曲になっている。

乃木坂46『歳月の轍』
乃木坂46『これから』

 近年では、山下美月「夏桜」も印象深い。エースとしてグループを牽引し、俳優としても活躍の場を広げてきた山下らしく、華やかさと次の場所へ向かう強さが宿る楽曲となっていた。そのほかにも、松村沙友理「さ~ゆ~Ready?」には彼女らしいサービス精神があり、高山一実「私の色」からは、周囲を明るくしてきた高山らしい人柄が伝わってくる。新内眞衣「あなたからの卒業」には、長くグループを支えてきた彼女ならではの落ち着きがあった。乃木坂46の卒業ソロ曲は、メンバーのキャラクターや立ち位置を映す場にもなってきたのだ。

乃木坂46『夏桜』

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