宇多田ヒカル、Snow Man、BE:FIRST、クリープハイプ、千葉雄喜、THE RAMPAGE……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は、宇多田ヒカル「パッパパラダイス」、Snow Man「BANG!!」、BE:FIRST「Rondo」、クリープハイプ「私の歌」、千葉雄喜「まーいいや」、THE RAMPAGE「MAJI-YABAI」の6作品をピックアップした。(編集部)

宇多田ヒカル「パッパパラダイス」

宇多田ヒカル 「パッパパラダイス」 Music Video

 アニメ『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)エンディング主題歌となる書き下ろし新曲。原作者 さくらももこが宇多田ヒカルのファンだったことから決まったオファーだそう。タイトルは有名な初代主題歌「おどるポンポコリン」(B.B.クィーンズ)から引き継いだものだろうが、そこに「パラダイス」という単語を合わせ、明るくもウォーミーな、現代的ながら幼児も歌いやすい、理想的な主題歌に仕上がっている。宇多田が長らく歌い続ける“喪失の予感”というテーマは〈期待しちゃうとガッカリするかも〉のフレーズに込められているものの、ちゃんとまる子ワールドのポップスとして、子どもの好奇心をくすぐる世界観が成立しているのがすごい。これが職人の仕事。(石井)

Snow Man「BANG!!」

Snow Man 'BANG!!' Music Video

 初のトリプルA面シングルとなる13thシングル『BANG!! / SAVE YOUR HEART / オドロウゼ!』から、こちらはメンバーの目黒蓮が(まさかの!)主役を務める実写映画『SAKAMOTO DAYS』主題歌。めくるめくスピード感と硬派な歌詞のマイクパスで激しいアクション要素を表現しつつ、賑やかなホーンアレンジに少しのコメディ要素を忍ばせる、まさに映画のために生まれた一曲である。ギターの鋭いカッティング、激しく動くベースライン、肉体を鼓舞しまくるドラミング。さらには各ボーカルのキレと、実に効果的な三連符の使い方。ひとつのイメージに向かって全体がぐんぐん高揚していく快感は、一緒に歌ってみると理屈ではなく実感として理解できるはず。うーん、上手い。(石井)

BE:FIRST「Rondo」

BE:FIRST / Rondo -Special Dance Performance-

 9thシングル『BE:FIRST ALL DAY』に収録された「Rondo」は、Chaki Zulu、SKY-HIとともにBE:FIRSTのメンバー全員が作詞作曲に参加。教会音楽を想起させる賛美歌風のコーラスやパイプオルガンの音色がダークゴシックなムードを生み出す中、〈静かに響け Rondo/燃やす本能/踊れ Tokyo〉というパンチラインが響き渡り、心と体を一気に掴まれる。リリックの背景にあるのは、何をやっても何かを言われる現状と〈普通に生きるだけでも試練〉という現実。次々と訪れる壁を越え、ぶち壊しながら進んでいくメンバーの姿を生々しく映し出しながら、極上のHIPHOP/ダンストラックに昇華するタフネスも素晴らしい。シリアスなメッセージとダークな音像が共存するこの曲が日本中で聴かれること自体、とてつもなく大きな意義があると思う。(森)

クリープハイプ「私の歌」

My Song

 5月27日に発売される新作EP『仮のまま定着したような愛情で』からの先行配信。熱い拳よりもふにゃっとした軽さが際立つ、クリープハイプの十八番的なギターロックだ。面白いのは歌詞で、ライブハウスでは人気だが誰もが知るほどの知名度を持たないバンドが大好きな〈私〉が主人公。伸び悩むミュージシャンの葛藤を描いた尾崎世界観の小説『転の声』(文藝春秋)のファン目線バージョンといった趣で、〈もうちょっと 売れてれば良かったのか〉〈ならいっそ アニメ主題歌とか〉など、やけに具体的な描写が笑えるやら刺さるやら。案の定ファンの間では「まさに『私の歌』!」と震え上がる声が上がっているようで、この反応も含めて尾崎世界観らしいエンタメが成立している。(石井)

千葉雄喜「まーいいや」

千葉雄喜 (Yuki Chiba) - まーいいや (Mahiiya) [Official Music Video]

 “千葉雄喜 & BABYWOODROSE”名義のアルバム『Documentary』がリリースされた11日後に届けられた千葉雄貴の新曲「まーいいや」のプロデュースは、ドレイクやトラヴィス・スコットとの仕事でも知られるビートメイカー・Murda Beatz。世界的なプロデューサーだが、こっちもこっちで「今の千葉だったらあるでしょ」とすんなり受け入れてしまう。不穏なエキゾチシズムを感じさせるトラックに乗っているのは、どんな問題が起きても〈まーいいや〉と受け止め、ストレスを溜めることもない、〈どんな環境でも楽しんでく俺〉の生き方。毎日毎日ヤバいことが起きる世界の中でこんなふうになれればさぞかしいいだろうなと思うが、とてもそうはなれない。誰も千葉雄喜にはなれない。(森)

THE RAMPAGE「MAJI-YABAI」

MAJI-YABAI

 パフォーマーのRYUがプロデュースしたこの曲は、ドープな雰囲気から一転、サビに向かって高揚感を増し、パーカッシブなビートへと移り変わっていく色彩豊かなダンストラック。ボーカル、ラップ、パフォーマンスを含め、現在のTHE RAMPAGEのポテンシャルを最大限に引き出す楽曲に仕上がっている。彼らのステージを目撃したオーディエンスが“YABAI”という驚きや興奮に支配されていく様子をリアルに映し出すリリックも完全にライブ仕様。実際にステージに立ち、観客と対峙し続けている人間にしか生み出せない楽曲だと思う。(森)

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