乃木坂46「君ばかり」に宿るバナナマンとの絆 “公式お兄ちゃん”として長年築いてきた揺るぎない関係性
乃木坂46の41stシングル『最後に階段を駆け上がったのはいつだ?』収録の「君ばかり」が、ファンのあいだで大きな話題を呼んでいる。作詞作曲を手がけたのは、バナナマンの2人が扮するフォークデュオ・赤えんぴつのおーちゃん(設楽統)。歌唱するのは41stシングルの選抜メンバーで、赤えんぴつが乃木坂46に楽曲提供を行うのは今回が初めてだ。
バナナマンと乃木坂46の関係を思えば、このコラボは不思議なものではない。結成初期からグループの成長を間近で見守ってきた存在であり、ときに笑いを交えながら背中を押し、ときに卒業の節目を送り出してきた、まさに“公式お兄ちゃん”と呼ぶべき関係値。1期生、2期生がグループの中心にいた時代から現在に至るまで、その関係性が更新され続けていることは、乃木坂46というグループの歴史を振り返るうえでも重要な要素なのだ。
そうした関係性がよく表れているのが、ライブでの共演だ。象徴的だったのは、2017年の『乃木坂46 真夏の全国ツアー2017』で、日村勇紀扮する“ヒム子”がサプライズ登場し、メンバーとともに会場を盛り上げた場面。番組で積み重ねてきたやり取りが、そのままライブの高揚感へとつながった瞬間だった。加えて、10周年の節目となった『10th YEAR BIRTHDAY LIVE』や最後の1期生となった秋元真夏の卒業コンサートなど、乃木坂46にとって大切な公演にもバナナマンは足を運んできた。ステージに立って盛り上げることもあれば、客席から見守ることもある。そうしてグループの節目に自然と立ち会ってきたことも、バナナマンと乃木坂46の関係を語るうえで欠かせない。
さらに、2024年2月の『赤えんぴつ in 武道館』に乃木坂46がゲスト出演したことも印象深い。これまでのように、バナナマンが乃木坂46の番組に関わるだけではなく、今度は赤えんぴつのステージに乃木坂46が立ったからだ。番組での共演を超え、互いの表現の場で邂逅するにまで発展したことが、ここではっきりと示された。そう考えると、「君ばかり」が生まれたことも、長く続いてきた関係性の先にある、ごく自然な流れだったと言えるだろう。
『乃木坂46公式書籍 10年の歩き方』(KADOKAWA)の中で日村は、ライブで見せる眩しいほどの輝きと、カメラが止まった瞬間にふと“普通の女の子”に戻る姿、そのギャップこそが乃木坂46の魅力だと語っていた。ステージの上の華やかさだけでなく、その前後にある素の表情まで見てきたからこそ、バナナマンは乃木坂46のきらびやかさと親しみやすさ、その両方を理解しているのだろう。「君ばかり」に漂うやさしさや淡い切なさは、まさにそうしたまなざしの延長線上にあるように思える。
この楽曲については、『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)内の「乃木坂LOCKS!」で賀喜遥香が、おーちゃんがレコーディングにも立ち会い、セリフのパートにもアドバイスをしてくれたと明かしていた(※1)。さらに設楽も『バナナマンのバナナムーンGOLD』(TBSラジオ)で、「(乃木坂46チームから)『曲書いてくださいよ』と言われた」「これ作った時にライブでお客さんの前でやった時のこともちょっと考えた」「セリフ言ったり、口笛みんなで吹いたりしたら楽しいかなって」と語っている。つまり「君ばかり」は、音源として完成させるだけでなく、ライブでファンと一緒に育っていくところまで見据えて作られた曲だということだろう。レコーディングの現場にも立ち会い、なおかつライブでどう響くかまで想像できるのは、長く乃木坂46を見てきたバナナマンもとい赤えんぴつだからこその視点である。
「君ばかり」は、これまで築かれてきたバナナマンと乃木坂46の関係を踏まえながら、今のグループにもしっかりとつながる1曲になっている。これまで番組やライブの中で育ってきた関係が、そのまま楽曲の魅力となっていることが、メンバーの歌声を通してあらためて伝わってくる。今後もしライブでこの曲が披露され、設楽の言うようにセリフや口笛が会場全体に広がる瞬間が訪れたなら、「君ばかり」はさらに強く、乃木坂46とバナナマンの関係性を象徴する楽曲になっていくはずだ。
※1:https://www.tfm.co.jp/lock/nogizaka46/52816