おいしくるメロンパンが“花”をモチーフにし続ける理由とは ナカシマ、覚悟と変化の新曲「ツツジの枯れる頃には」を語る
「ちょっと覚悟をした」――新曲に起こった変化の理由
――3rd mini album『hameln』には、「dry flower」という曲が収録されています。ドライフラワーは生花とは違って、成長や変化することがありませんよね。
ナカシマ:そうですね。これから成長することもないし、完全に散ることもできない。〈思い出にすらなれない夏は/永遠になった〉という歌詞があるんですけど、その状態で止まってしまうことには、美しさも悲しさもあるなと思って。ドライフラワーというものを、記憶や思い出と結びつけて書いた曲ですね。今話しながら思ったんですけど、花の曲と一言で言っても、曲によってフォーカスしている点が全然違いますね。見た目だったり、特性だったり、枯れていくことだったり。
――そうですね。花というモチーフが意味するものは曲によって違うけど、どの曲も、自分の内側と向き合うための歌であるように感じました。
ナカシマ:確かに。
――そういった意味で、新曲の「ツツジの枯れる頃には」はちょっと異質で。内側で感情を煮詰めるのではなく、“私”が“君”に語りかける構造。外向きのエネルギーを感じました。ご自身でも、これまでの楽曲との違いは感じましたか?
ナカシマ:感じました。「今までより力強さがあるな」と。作っていたときは意識していなかったけど、前作(『bouquet』)から自分のなかで変化を感じていて。「聴く人のほうにもうちょっとだけ踏み込んで手を引っ張ってあげよう」みたいな気持ちが歌詞に出ているというか。「僕はこういう想いだよ」というものを、しっかりぶつけるような曲を作れるようになったんだなと思います。
――「作れるようになった」ということは、今までもどこかでそういう曲を作りたいという気持ちがあったということですか?
ナカシマ:いや、「書きたい」という気すら起きなかったけど、最近は「書きたい」という気持ちになれているという感じです。
――恐れがなくなった、というわけでもなく?
ナカシマ:「ちょっと覚悟をした」という言い方がいちばん近いかもしれません。これというきっかけがあったわけではないですけど、10年やってきて、「これだけたくさん曲を作ってきた」、「聴いてくれる人がこれだけたくさんいる」という積み重ねのなかで、少しずつ変わっていったのかなと。メジャーデビューもしたし、「一生音楽をやっていくぞ」みたいな。
――おいしくるメロンパンは粛々と活動を続けている印象があったので、メジャーデビューしても大きな変化はないだろうと思っていたのですが……そんな変化があったんですね。
ナカシマ:まあ、作風が大きく変わるとか、目に見える変化はないですけどね。心境には多少影響がありました。とはいえ「誰かに影響を与えたい」、「自分の価値観を理解してほしい」とはあまり思っていない。結局は自分のなかで完結しているから、どう受け取られるかは自分に関係ないことだという想いは変わらず、ずっとありますね。ただ、ちょっとスタイルを変えることによって、新しいものができたら面白いなというテンションです。
「春=不穏というイメージが僕のなかにはある」
――そして「ツツジの枯れる頃には」では、既成の価値観や同調圧力から、自分を解き放つことについて歌われているように感じました。
ナカシマ:世に言う“正解”というものが本当に正しいのか、常に考えないといけないなという思いで書いた曲ですね。それは常日頃から思っていることです。周りを見渡してもそう思うし、自分に対してもすごく思う。確かに今までとは違う曲だけど、自分に対して書いている部分も大きいですね。
――〈プリントで配る神様に/背を向けて〉という比喩が印象的でした。ナカシマさんは学生時代、どんな生徒でしたか?
ナカシマ:わりとやんちゃだった気がします。よくサボっていましたし。毎日配られる宿題のプリントを、1年間、一度も提出しなかったんですよ。でも、捨てずに全部取っておいたんです。なんで取っておいたのかよく分からないですけど、「捨てるのはさすがに申し訳ない」と思ったんですかね(笑)。一度も提出せずにいたら、学校から親に電話がかかってきて。「もしかして、あんたがずっと溜めていたこのプリントって宿題だったの?」みたいな感じでバレて。「ちゃんと提出しなさい」と言われて、ずっと問題を解いていた記憶があります。だから、あまりいい子ではなかったと思いますね。
――当時のナカシマさんは「ルールってめんどくさいな」、「居心地が悪いな」という気持ちがあったんでしょうか?
ナカシマ:ありました。そういう感覚を持っていた人は少なくないと思うし、今の時代はまた別の形で外に現れているなと思います。ネット上でも、特定の価値観に同調する空気がどんどん強くなっている気がするし。
――そうした感覚がこの曲のテーマにも繋がっている気がしました。ツツジを登場させたのはなぜですか?
ナカシマ:まず、ツツジといえば学校というイメージが僕のなかにはあって。通学路や学校にたくさん咲いていて、よく蜜を吸ったりしていたんですよ。あと、ツツジには“節度”や“慎み”という花言葉があるので、「ツツジの枯れる頃には」という言葉に「規則が破られる」という意味も込められそうだなと。 “正解とは限らないもの”の象徴として、ツツジを登場させました。
――演奏も曲の構成もスリリングですよね。スピード感があって、ひとところに留まらない。
ナカシマ:この慌ただしくて居場所がない感じが、歌詞にもマッチしているなと自分でも思います。ただそこにあるというよりは、ちゃんと訴えかけるものがある曲にできたなと。全体を通して、不穏にしたいなと思っていました。春の曲だからといって、爽やかじゃないといけないということはない。むしろ春=不穏というイメージが僕のなかにはあって。もちろん晴れ晴れした気持ちで春を迎える人もいると思うけど、いろいろなことが一気に起きる時期だから……子供の頃からなんとなく不安を感じていたのかな。なので、けっこうアンバランスな構成になっていると思いますね。ビートはどんどん変化していくし、ギターの歪み感もセクションごとに全然違う。
――『bouquet』の次のアルバムに向かうフェーズに差し掛かっているかと思いますが、最近はどんなことを考えながら曲を書いていますか?
ナカシマ:あらためて自分の曲を聴き返してみると、現実とファンタジーを行き来していて。どちらかにずっといるというよりは、グラデーションのなかにいるんですよね。どこにいるかはそのときの気分によって違ってくるんですけど、『bouquet』は「等身大のものを作ろう」と言いながら制作していたから、わりと現実寄りだったなと感じていて。その反動で今は「次はもっとファンタジーの方向に行きたい」という気分になっています。その移り変わる瞬間、動き自体を作品に落とし込めたら面白いなと。そういう感じで作っていますね。
――花にまつわるお話をしてきた流れで、最後に、最近興味のある花があれば教えてください。
ナカシマ:ヒヤシンスですかね。今、球根からヒヤシンスを育てているんですよ。1、2カ月くらいで花が咲くらしいんですけど、4カ月くらいずっと小さい芽が出たままで止まっていて。ちゃんと水も変えているのに。だから最近は「咲いたら嬉しいな」という気持ちでヒヤシンスのことばかり考えています。
■リリース情報
デジタルシングル「ツツジの枯れる頃には」
配信中
配信リンク:https://tf.lnk.to/azalea
■公演情報
『おいしくるメロンパン Chronicle Tour 2026 〜リフレイン・ブルー〜』
2026年7月14日(火) 東京・ZeppShinjuku (TOKYO)
2026年7月23日(木) 大阪・BIGCAT
<プレイガイド先行>
2026年4月9日(木)18:00〜4月19日(日)23:59
ローチケ:https://l-tike.com/oisiclemelonpan/
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