『尾守つみきと奇日常。』森下みゆ×meiyo 特別対談 それぞれの“当たり前”への肯定、作品に宿るあたたかさに迫る

創作物が誰かの共感に重なり、新しい“当たり前”を形作る喜び

──リアルタイムで、音楽から漫画への逆輸入が起こっていたのも素敵なお話ですね。楽曲はすでに配信も開始されていますが、meiyoさんご自身としては制作を終えてみての感想はいかがでしたか。

meiyo:完成後も歌詞を結構読み返したりして、「ここの表現は大丈夫かな」「ちゃんとできてるかな」って気が抜けなかったですね。本当にこれで大丈夫かな、って。先ほどもお話ししたんですけど、自分の中のマジョリティで誰かのマイノリティを偏見で見ちゃってるかも、って考えたりしたんです。でも、それってたぶん自分で気づくのはすごく難しいんですよ。自分のマイノリティな部分に他者からズケズケと踏み込まれて嫌な気持ちになることもあるので、誰かにとってそういう形になってないかな、というのはすごく気にしました。完成してからもまだちょっと不安です。

──楽曲公開後、すでに多くの反応も届いているかと思います。そういったお声を聞いても、まだやはり不安が拭えない部分もありますか?

meiyo:そうですね。でもすごく「いいな」と思ったこともありました。僕の曲を作った時の心境や原作とはちょっと違う所で、この曲で描いた内容がぴったり合ったという方もいらっしゃったみたいで。たとえばですが、高校生の娘さんがいる方かな? ちょうど娘が今いろんなことにぶち当たっている状況で、何もかもが形成されている途中なんだけど、一番最後の〈少しずつ当たり前になっていく/少しずつ何かになっていく/少しずつ光になっていく/少しずつ大事になっていく〉って歌詞にすごく共感してたって呟きをSNSで見たんです。ああ、それってすごくいいことだな、って思って。

──素敵ですね。曲単体でも誰かの共感や支えになる音楽になっている、という。

meiyo:嬉しかったですね。もちろんそれをきっかけに、漫画にも触れていただけるとさらに嬉しいです。

──森下先生はいかがでしたか? 楽曲の感想などをSNSで見られた時の印象は。

森下:私もいただいたコメントを結構見るタイプなんですが、「ずっとループで聴いてます」みたいな投稿もすごく多くて。今まで漫画を読んでくださっていた読者さんも、一緒に楽しく聴いてくれたのがとても嬉しかったです。先ほどのmeiyoさんのお話も、すごく心に沁みるいいお話だな、って思いながら聞いていました。創作物が誰かの共感に重なって、ちょっと心が落ち着いたり「もう少しだけ頑張ってみるか」って思えるようになるってとってもすごいことなんですよね。『日曜日のメゾンデ』で今回の企画をいただいて、meiyoさんに作ってもらった曲でこういう素敵なことが起きるのがすごく嬉しかったです。

──ありがとうございます。MVについてはいかがでしたか?

森下:MV、かわいかったです!

meiyo:めっちゃかわいかったですよね。

森下:映像があると、また少し違った見え方になるというか。かわいいのはもちろんですが、映像ならではの緩急がある感じもすごく素敵でしたし。それこそ、もともとふるいけさんのイラストも大好きだったので、その絵柄でつみきさんや友孝くんを見れたのがまた嬉しい部分でしたね。ボーカルの礼衣さんの声も透明感があって、儚げなキレイさプラス、力強さを感じて感動しました。すべてのイイとこ取りだな、すごいことになってるな、と思いながら楽しませていただきました。

meiyo:サビに真似したくなる動きが取り入れられてましたよね。もしかしたらSNSで、曲も漫画も知らない人たちが踊ってくれたりするのかな、って想像したらワクワクするというか。それがきっかけで曲をちゃんと聴いてみよう、原作も読んでみよう、って思う人が現れたら、それは本当に最高のことだと思うので。

森下:踊りの部分とか、つい一緒に見ながら頭振っちゃったりしますよね(笑)。友孝くんが巻き込まれてる感じとかもすごくかわいかったです。

──漫画と音楽の各作品からお互いに波及し合う可能性を大きく秘めているのは、『日曜日のメゾンデ』ならではの面白さですね。

森下:一人だと絶対にできないことですよね。いろんな方に素敵な作品を作っていただいて、そこに関わることができて本当に幸せでした。MVもぜひ皆さんに楽しんでいただきたいですし、この「なっていく。」が生活の中でつい聴きたくなる一曲になればいいな、と漠然と思っています。漫画も音楽も、引き続き楽しんでいただけると嬉しいですね。

meiyo:もちろん曲はたくさん聴いていただきたいんですけど、そこから無理やり何かを受け取ろうとしなくていい、と僕は考えていて。それこそ「テンションが上がるから日常で聴いてる」だけでもいいと思うし、好きなように聴いてほしいというのがまず大前提にありますね。そこから漫画を読みながら聴いてみたり、「meiyoはこう考えてたのか~」って思ってもらってもいいし、「でも自分はこういう捉え方をするな」って考えてもいいし。感じ方は無限にあると思うので、それを好きなように自由に楽しんでほしいです。

──まさにこの『尾守つみきと奇日常。』で描かれていることそのもの、というか。

meiyo:みんなそれぞれの考えや当たり前があって、それが「そうなんだね」で共存する。そういう感じでいいんだと思います。

■楽曲配信情報
「なっていく。」

「なっていく。」

原作『尾守つみきと奇日常。』(©森下みゆ/小学館)
2026年3月25日(水)配信リリース
作詞・作曲:meiyo / 歌唱:礼衣
配信リンク:https://orcd.co/nichimezo_day-by-day

■原作情報
森下みゆ『尾守つみきと奇日常。』
『週刊少年サンデー』(小学館)にて連載中(既刊1~9巻)

『尾守つみきと奇日常。』

第1話 試し読み:https://www.sunday-webry.com/episode/14079602755299850599
週刊少年サンデー:https://websunday.net/
サンデーうぇぶり:https://www.sunday-webry.com/

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