リアルピース ソロインタビュー Vol.3:こーた、余命3カ月から日本屈指の支持を手に 「神さまからのプレゼントをちゃんと掴めた」

「持っていたのは20万円の現金だけ」――上京と就職、そして芸能活動へ

――青年期までの自己形成には、友人関係も大きく影響するかと思います。その点でいうと、周囲にもめんどくさがりな友人が多かった?

こーた:自分と似てる部分はあったと思いつつ、真面目な子が多かった気がします。

――失礼ながら、性格が乖離していても仲よくなれるものですか?

こーた:わかんない。でも、人間関係ってそういうもんだと思うんです。というより、理由の伴った関係ほど長続きしない。長続きする関係に、理由は必要ないんです。かっこいいから、かわいいから……そういう理由から始まった関係は、好きになった部分が崩れたら終わり。もちろん、全部が全部ナシではなくて。でも、理由なしで「ずっと友達でいたい」と思えるところまで、関係性を磨いていった方が、俺はいいと思うんだよな。

――大学卒業後は、どのように過ごしていたのでしょうか。

こーた:当時、結婚を考えていた彼女がいたんですよ。でも、「このまま地元にいてもなんにもならない」と思って、ひとり暮らしをしていた家を解約して、東京の賃貸を契約して。とにかく、上京せざるを得ない状況まで追い込んで。上京当日、持っていたのは20万円の現金だけでした。桜新町に住んでたんですけど、2カ月後の家賃を払うまでのあいだに就職をしなければならず。そうしたら、入ったのが1円も給料が支払われなかったブラック企業で。

――「しくじりこーた」で語られていた、例のブラック企業ですね。

こーた:そうです。もちろん退職して、25歳の1年間で、やりたいことを全部やることに決めました。バーテンダー、ホスト、ジムトレーナー、引っ越し業者。飲食店に居酒屋。原宿にあったサーフ系アパレルブランド「BEACHSOUND」や「BANANA7」なんかでも働いてみて。その時、アルバイトのひとつとして始めたのが、芸能です。

――今では本業となる芸能活動ですが、大学卒業時、あるいはその前後ですでに憧れなどはあったのでしょうか。

こーた:それがまったくなくて。単純に、最後まで続いたのがこれだっただけ。最初の仕事は、事務所が開催していた小さなライブステージ。芸歴も経験もない25歳。当時の社長から「お前にはステージ慣れが足りない」と当たり前のことを言われて、10人くらいのお客さんの前で、事務所が作ったグループかなんかのオリジナルソングを歌ってましたね。ひとつ言えるとしたら、この時期はとにかくお金がなかったです。

――たしか、おおかたのライフラインを止められたんですよね。

こーた:あの頃は、窓から射し込む太陽の光加減で何時かわかるくらい、何もなかったっすよ(笑)。わかりやすい“お金ないエピソード”だと、後輩に頼んだ買い物のお釣りを地面に放り投げられて、それを怒らず喜んで拾ったり。「情けない」って言われました。あと、その頃に住んでいた八王子から、稽古場の板橋まで12時間掛けて歩いていったりも。

――はい?

こーた:当時、舞台の稽古が連日で入っていたんですけど、電車賃が片道分しかなくて。稽古場も区民館みたいなところだったので、帰宅以外の選択肢がなく。迷った挙句、終電で一度帰って、深夜に出発する方を選んだんです。家に帰った時点で「マズい、あと30分で家を出ないと!」って終わってる状況だったし、朝8時にどこかもわからない道路の上で「14時の稽古に遅刻します!」と連絡しました。

――おそらく、甲州街道を都心方面に歩いていたのかと。

こーた:もうわけわかんない場所でしたね。当時の先輩からは「場所を聞いてもよくわかんないから、とりあえず死ぬな」とだけ伝えられて。で、いざ着いてみたら「お前、歩いたせいで日焼けしすぎ」ってダメ出しを喰らって、めっちゃ怒られたっす。

35歳のこーたを褒めたい(笑)。「お前、リアルピースの活動めっちゃ頑張ってるな」って

――それほどカツカツだった生活を、どのようにサバイブしたのかが本当に気になります。

こーた:とにかく舞台のスケジュールを入れまくりました。外に出ないと単純にクズになるし、人に会えば「水くれ」っていったら、さすがに水くれるじゃないすか。

――軽くヒモですね。そうした経験から学んだことはありますか?

こーた:「世の中って、ちょろいな」って思えるようになりました。逃げようと思えば逃げれるし、俺の場合は東京でしたことなんて、地元に戻れば関係なくなる。楽な方を選ぼうと思えばすぐに選べるし、逃げ道なんて世の中にはいくらでも転がってるもんですよ。でも……周囲の人間や環境から逃げても、本当に逃げちゃいけないのは、自分自身から。これを念頭に置いておかないと、幸せにはなれないです。

――おそらく最後の部分が、本当の意味での“学び”だったんですね。

こーた:30歳になってから、ほぼすべての時間を使って弱い自分と向き合ったから、今のリアルピースでの自分があると思ってます。向き合うっていうのは、みんなが想像するよりもずっとキツい。いや、本当にキツいんすよ。

――ここでの「向き合う」とは、具体的にどのような行為なのでしょう。

こーた:たとえばそうだな……嘘、ついたことありますか?

――もちろん。

こーた:「お前、嘘ついているよな?」って誰かに言われたら、ドキッとしますよね。で、「やべー」ってなる。その時、「ああ、俺は今嘘ついてるな」っていう状態の自分と向き合うことになる。大切なのはそこからです。そのまま嘘を貫くのか。あるいは、素直に謝るのか。自分で選べるわけですよ。謝ったら、嫌な未来が確実に待ってる。そこでどうするのか? 自分で考えて、自分に問いかけて、すべてを決めるのは自分次第。つまり、嫌なものから目を背けないこと=自分と向き合うことだと思ってます。

――過去の自分を褒めてあげるとしたら、そうした「嫌なもの」と向き合った30代前半の自分自身?

こーた:それで言うと、今。35歳のこーたを褒めてやりたい(笑)。「お前、リアルピースの活動めっちゃ頑張ってるな」って。リアルピースがいちばんキツいですから、なんたって。人生賭けてるし。ここまで楽しい5年間も、ここまでしんどい5年間も、過去35年間で本当に初めて。本気で「日本一になる」と思っているぶん、キツいこともたくさん待ってるんでね。

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