リアルピース ソロインタビュー Vol.3:こーた、余命3カ月から日本屈指の支持を手に 「神さまからのプレゼントをちゃんと掴めた」

「すべてが変わった」――恩師との出会い

――私に経験がないので教えてほしいのですが、人は悪い方向に走る時、どんなところから手をつけるのでしょう。

こーた:どうなんだろう。別に「悪いことをしよう」と思ってするわけじゃなくて。ただ、思春期特有の苛立ちや不信感は、大人に向いていたと思います。学校に行っても「こいつだってどうせ親父と一緒なんだ」って根拠なしに思って、意味もなく反抗してた。そこから同じ匂いがする友達と一緒にいるようになって、クズになっていくんですよね。

――そうした経験も、リアルピースの活動には活きていますか?

こーた:言葉遣いとかかな(笑)。子どもたちに対しても、メンバーにするのと同じように「ふざけんじゃねーよ!」とかすぐツッコんじゃう。もちろん冗談で言ってますけど、そういういい意味でのまっすぐさは、中学時代から“自分”を貫いてきたからこそ身についたものだと思ってます。

――なるほど。そこから高校卒業を機に、バスケにのめり込んで。

こーた:っていうより、バスケしかなかった。入学式から卒業式までバスケしか頭にない3年間。24時間バスケット生活って感じでした。

――ある種、入学と同時に“クズ時代”に終止符を打たされたといいますか。

こーた:はい。

――その頃には、父親との関係も良好に?

こーた:ずっと変わらず。でも、寮生活ではなかったので、親父なりにいろいろとサポートをしてくれて。家から学校まで車で送ってくれる日もありましたね。やっぱり、厳しい先生の目は少しでもかいくぐりたくなるじゃないですか。先生にはきっとバレていたけど、たぶん許してくれていたんだろうな。というより、その厳しい先生に出会ってから、すべてが変わったんです。俺の恩師でしかない、バスケ部の黒澤先生。

――黒澤先生との印象的なやりとりがあれば教えてください。

こーた:うーん、“恐怖”ですね。

――あれ、何か人生が変わる言葉を与えられたとかは――。

こーた:いや、“恐怖”。人生で初めて恐怖を与えられました(笑)。

――流れ的にてっきり、感動エピソードを聞かせてもらえるものかと。

こーた:でも、だからこそ恩師なんですよ。あれほどの恐怖を覚えたのも、俺らに対して先生がまっすぐにぶつかってきてくれたから。練習が厳しくてゲロを吐こうが、親の方が先生を信頼してすべてを委ねていたので。結果、厳しさを叩き込まれて今の俺になれました。

――厳しさを叩き込まれた高校時代。卒業時の進路選択は迷いましたか?

こーた:そこまでっすね。バスケが好きだったのと、黒澤先生から日本体育大学を勧められたので、わりとすんなり決めました。

――このタイミングで上京したと。日本体育大学だと、世田谷区深沢でしょうか。私も地元が近いので、あのローソンの近くだなとイメージがわきました。

こーた:大学前のローソン、めっちゃ行ってた(笑)。深沢第一学生寮で2年間お世話になって。今の東京に対する土地勘は、あの周辺がベースでできてます。

「みんなとは逆っすね。俺はきれいな空をわざわざ見に行かないから」

――大学時代もバスケに熱中を?

こーた:それが全然。高校3年間で燃え尽きたのと、大学に入ったらかつての厳しさがなくなったので。いや、ある程度は厳しかったんですけど、高校時代がやっぱり桁違い。大学の方での上下関係とか、自分のなかで「めんどくせえな」で片付けられるレベルだったんです。だから俺は、そこからどんどん東京の楽しさにハマっていって。

――渋谷のクラブに通い詰めるとか?

こーた:渋谷は渋谷でも、ハマったのは……夜空を見上げること。

――また、空……。

こーた:ここでまた、空なんですよ。クラブには全然行かなかったです。空を見て、心を落ち着けたり、自分を鼓舞したり。よく心で泣いてます、一人で……。

――なにかの歌詞じゃないですが、渋谷の空って狭くないですか?

こーた:ふふっ……それがいいんすよ。夜空を見上げても、絶対に「きれいだな」って思わないじゃないですか。そこがいいんです。ビルがあって、星が見えなくて、どこかからの照明が強く焚かれていて。街中で立ち止まるとすぐに人にぶつかるし、でもそういう時に「こんな汚ねえ空の下で頑張ってる俺、最高だな」「すべての中心にいるな」って思える時間が好きなんです。みんなとは逆っすね。俺はきれいな空をわざわざ見に行かないから。ちなみに、新宿とかはダメです。渋谷の汚ねえ空が好き。

――まさか、冒頭の「空が好き」発言がここまでの伏線、あるいは本稿の核心に近い部分になるとは思ってもいませんでした。

こーた:ですよね(笑)。

――あらためての質問になるんですが、こーたさん自身は音楽に救われた経験は何かありましたか?

こーた:ないですよ。音楽は聴かなかったし、映画も漫画もゲームもほぼ通ってないので。

――ここまでの話に、アーティストや映画作品などの固有名詞が登場してこなかったあたり、なんとなくそんな気はしていました。この感じだと『ポケットモンスター』なども通っていないですよね。

こーた:『金』『銀』だけやったなあ。ホウオウとルギアが出てくるやつ(笑)。俺自身、外で遊んで体を動かすのが好きだったから、本当にその程度。

――ヘルシーで素晴らしいです。ちなみに小中高大のなかで、人格形成の面で最も影響を受けた時期を選ぶとすると?

こーた:高校。というより、黒澤先生。あと3年間で出会った先輩や後輩たちも。

――当時の厳しさで、自身を律していると。

こーた:厳しさじゃないです、恐怖心です(笑)。

――失礼しました(笑)。もし、大学生までの自分にメッセージを送れるとしたら、いつの自分にどんなことを伝えますか?

こーた:そうだなあ。中学生の“こうた”へ……「高校に入ると遊べなくなるぞ。だからもっと、女で遊んどけ(笑)」。

――(笑)。でも、そもそも中学生の女遊びって限界がありません?

こーた:(笑)。でも、中学当時、同級生の女バス(女子バスケットボール部)から“さん”付けで呼ばれてて。基本的には、男女とも“呼びつけ”じゃないですか。なのに「こうたさん」だったんすよね。なぜかっていうと……あの、かっこいいじゃないすか、俺って。

――はい。

こーた:だから、女子たちの間で作戦会議をしてそう決めたんだとか。ほかの学校の子たちからもメアドとかたくさんもらいましたけど、あの年代の男子は特に、かっこつけたくなっちゃうし、そのくせ臆病だし、なによりめんどくさがりな部分が出ちゃうんですよね。一人ひとりと向き合うとか、全然できない。思春期だった自分に言ってやりたいです、素直に喜んで遊んどけって。

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