Blue Mash、今を生きる人の心を打つためにーー“青さ”を凝縮した『泣くな、青春』でいざメジャーへ!
大阪・寝屋川発の4ピースロックバンド、Blue Mashがついにメジャーデビュー作品となる、1stフルアルバム『泣くな、青春』を完成させた。2018年に優斗(Vo/Gt)を中心に結成され、その後メンバーチェンジを経ながら、現在のラインナップに落ち着いたのが昨年のこと。その後、メンバー揃って上京も果たし、バンドは新たなフェーズに突入した。
『泣くな、青春』にはシングルとしてリリースされた「セブンティーン」「泣くな東京」、さらに「愛すべき日々」「海岸線」という彼らの代表曲の再録に加え、最新曲を6曲収録。どれもがタイトルのとおり、青春の生々しい感情を浮かび上がらせる。それ自体は彼らがずっと歌い続けてきたことだが、それを今のBlue Mashだからこそ鳴らせるサウンドに乗せることで、このアルバムは彼らの原点にある思いと、未来へと進んでいく意志の両方を確かに感じさせるものになった。メンバー4人に、これまでの歩みも含めてバンドの現在地を語ってもらった。(小川智宏)
今のBlue Mashに至るまでの紆余曲折
――優斗さんがバンドを組んだのが2018年で、そこから紆余曲折を経て、メンバーチェンジもありながら8年やってきたというのがBlue Mashのヒストリーですよね。その歩みを振り返ったときに、今一番どんな思いが強いですか?
優斗:自分のなかでは、先々の目標をずっと見据えて、だいたい3年スパンくらいでやってるんですね。でも結局、差し当たって次のライブでどういうライブをするかっていうのが一番大事になってしまうんですよね。だから次のライブのことを考えてたらそれだけで時間が進んでたような気持ちですね。
――2021年にげんげんさんが入って、2022年に荒川さんが加入して、マサヒロさんが去年正式メンバーになって。ようやくこの4人のラインナップになったわけですけど、この4人になって、Blue Mashとして何が変わりましたか?
優斗:マサヒロが入るときに、「これが最後のメンバーチェンジになる」と思ったんですよ。だから、そのままやれててよかったって感じです。
げんげん:この短いスパンで変わったら問題があるやろ(笑)。
――でも実際、今まで散々メンバーが変わってきたわけだから。
優斗:野球できるくらい変わってきたんで。
マサヒロ:一つのチーム作れるくらい。
優斗:過去の人たちも含めてバスケやったら、対戦できます(笑)。
げんげん:僕、一番最後に入ったはずなのに、いつの間にか一番最初に入ったメンバーになってますからね。
優斗:あのね、入るときはみんな最後に入る。
マサヒロ:それはそうやな。
げんげん:いや、でもピースとしてはラストピースのはずやったんですよ。それが全部入れ替わって、ファーストピースになった(笑)。高校生のころ、始動直後ぐらいのBlue Mashのライブを何回か観に行ってたんですよ。そのときはスリーピースバンドだったんですけど。その頃から、ほかのバンドとはちょっと違うものを持ってるなって思ってて。それでかっこいいなと思ったんですよね。で、紆余曲折あって入るってなって、そこからはずっと大変なことが続いてる。
マサヒロ:でもなんか、ずっと目の前のことをやり続けてるというか。目の前に何があるのかは変わってるんやけど、それをずっと続けてるみたいなのはあるよな。ひとつ終えたらまた次があって、みたいな。
げんげん:マリオみたいな感じ。
マサヒロ:わかるわかる。一個ずつ進んでいってるみたいな。
荒川:自分も最初は、げんげんが入って最後のピースが揃った状態のライブを観ていて。で、ベースが抜けるってなって、急に3日前とかに「ライブ出てくれへんか」みたいに誘われて。そのときは自分もバンドやってたけど、「このバンドに入りたい」っていう気持ちしかなかったですね。特に「でっかいところでやるんやろうな」とかはあんまり描いてなくて、入りたいっていう思いだけで入って。でも目の前のことをやっていくうちに思いは強くなっていってる感じです。
楽曲制作に変革を与えたできごと
――優斗さんのなかでは、メンバーが変わっていくなかで、バンドをやる上での意識とかが変わってきたところはあるんですか?
優斗:去年の4月にメンバー全員で上京したんですけど、それも、そもそもメジャーデビューするって決めたのも、全部「このメンバーにメシを食わせないといけない」という自覚がやっと出てきたからなんです。数年前の自分だったら、メジャーデビューってたぶんありえなかったと思う。すごく現場主義というイメージでやってたので。でもそれが変わったのは、そういう意識なのかなとは思います。
――その意識の変化はいつ頃から起きてたんですか? 一昨年リリースしたEP『大都会に告ぐ』とシングルの「マーガレット」あたりから、Blue Mashの楽曲がより開けたものになってきたような感覚があったんですけど。
優斗:ああ、でもそれはパソコンが使えるようになったっていう……。
――どういうこと?
優斗:いや、MacBookを使用したDTMによる音楽制作ができるようになったんです(笑)。
げんげん:俺がさせたんです。それまではレコーディングでエンジニアに「こんな曲です」って送るときも、ライブ映像を送ってたんですよ。でもたぶんみんな、デモっていうのがあるじゃないですか。それを僕らも作るようになったっていう。
優斗:その存在を知ったのが「マーガレット」ぐらいでした。21歳か22歳くらいのときにそれを知って。衝撃を受けましたね、当時。MacBookが発売されたときにApple Storeに並んでる人ってこういう気持ちやったんやと思って。
――ちょっと違うと思うけど(笑)、「こんなのができるんだ!」っていう。
優斗:そうそう、足りないのは才能だけだ、みたいな。それが大きい。音楽の知識が増えたとか、いろいろ使えるようになったとかよりも、「足りないのは才能だけだ」って気づいたという。能力があれば、たぶんこの世の音楽全部作れるじゃないですか。もっといっぱい頑張らないといけないって、たぶん思った。パソコンを導入したことによって、自分の不束さがわかったというか。でも、俺はそれに最近気づいたっていうのがよかったと思ってて。バンド始めたときにDTMを使って制作していたら、こういうバンドになっていなかった気がするんですよ。シンセサイザーを入れてみようだの、もっとストリングスを入れてみようだの、ドラムは生音じゃない方がいいだの、そういう話になってきてたような気がする。
げんげん:あくまでDTMっていうよりも、作曲を清書するみたいな感じやからな。
優斗:その能力はついたんで。それはよかったかな。
――それをメンバーと共有しながらやっていけることで、コミュニケーションもスムーズになっていくでしょうしね。
優斗:そうですね。
新鮮さに溢れた『泣くな、青春』の収録曲
――今回のアルバムを聴かせていただいて、そこがかなり整理されている印象を受けたんです。ちゃんと全員が同じ方向を向いて音を鳴らしてるっていうのが伝わってくるアルバムになったなって。
優斗:ありがとうございます。
――今回のアルバムには収録されていないけど、昨年「ロックバンド症候群」っていう曲を出したじゃないですか。あの曲は過去の曲の引用をしたりして、改めて自分たちとはどこから来てどこに行くのかみたいなことを表現した曲だったと思うんですけど、ああいうものをあのタイミングで作ったのはどういう理由だったんですか?
優斗:あれは上京一発目にリリースした曲なんですけど、当時何にも曲ができなかったんですよ。引越しとかでテンション上がっちゃって、音楽を作ることをやめていたんですよね。たまにあるんですよ、3カ月一回も家でギター弾きたくない、みたいな。
マサヒロ:3カ月も?
優斗:でも「ロックバンド症候群」っていう言葉とメロディだけはずっと鳴ってたんですよね。上京してきた直後ぐらいからずっとあって、これをなんとか曲にしたいと思って作りました。
――Blue Mashとしてここからもう一回勝負するぞ、みたいな強い意志をめちゃめちゃ感じたんだけれど、そこまでの思いではなかった?
優斗:でも、当時の自分はこれを書かなきゃ死ぬって思ってたんだと思います。今これを書かないとおもしろくないなって。
――それをアルバムに入れなかったのも当然意図的なんだろうなと思うんですけど。
優斗:まあ、もういいやろと思って……昨今、サブスクリプションで先に3カ月連続配信とかやった後に、2カ月後にEP出します、みたいなのあるじゃないですか。で、5曲入りEPのうち3曲はもう出てる曲だったりして、もう一曲もショート動画が出ていて、純粋な新曲は一曲しかありませんっていう。そういうのはちょっとつまらないなと思っていて。これはほかのバンドがどうこうというよりは、Blue Mashの場合はということなんですけど、自分らでやるならおもしろくないなと思っていて。だからできるだけ新曲を増やしたくて、自分のなかでドラフトにかけたところ、「ロックバンド症候群」と、その後の「僕は嘘つき、君は沙希」は落ちたって感じですね。
げんげん:優斗のなかではたぶん、できた瞬間に聴かせたいっていうのがあるんやとは思う。やっぱり新鮮さがなくなるじゃないですか。でも今回は新曲が多いから。もう録って出したい、みたいなテンション感になってる。俺ら、曲ができるのレコーディングのギリギリになることしかないんですよ。今回のアルバムも曲ができて1カ月後にレコーディングです、みたいな感じやなくて、録りながら作ってる感じなんです。だからめちゃくちゃ新鮮やと思うんですね。今回のレコーディングも合宿してやったんですけど。僕だけ大体別で録るんですよ。ベーシックを録ってる間に俺がリードギター考えて、みたいな。だからほかの3人とレコーディングスタジオで会うことはめちゃくちゃ少なかったです(笑)。
優斗:同じAirbnbの部屋に宿泊したんですけど、げんげんが部屋でギター考えてるときは俺ら3人、スタジオ行ってましたからね。
げんげん:めちゃくちゃ会わへんかった。一番最後だけっすね。全員が揃ったのは。