Ado×林響太朗監督×大野瑞樹プロデューサー「ビバリウム」特別対談 初の実写MVはどうやって生まれたのか?
Ado自身の発想から生まれた“AdoがAdoを追いかける”全力疾走100メートル
――でも、林さんがおっしゃったように、ただ体を張ってるわけじゃなくて、すべてに意味があって、ちゃんと楽曲とリンクした、あるいは今のAdoさんとリンクしているっていうのが伝わってくるところでもあって。全力疾走のシーンも、AdoがAdoを追っかけていくという、すごく象徴的なシーンになりましたよね。
林:それで言うと、全力疾走のAdoがAdoを追いかけるシーンは、実は僕らの企画書に最初は入っていなくて、Adoさんがリクエストしてくれたもので。
Ado:そうですね。
林:「入れてほしい」と言ってくれて。イメージの映像も含めて提案してくれて、それが僕らのなかでもすごく腑に落ちたんですよね。あそこがその最後のクライマックスで追いかけていく様子。でも、軽やかにスキップしているようなAdoがいるっていうのがいい対比にもなっていて、すごくよかった。全力疾走と軽やかさっていうの対比がすごく面白く撮れたなと思いましたね。
大野:編集で仮で繋いだものを観てもらって、Adoさんからは「この必死な走り方は大丈夫でしょうか?」という戻しがあったんですけど(笑)、僕らとしては「絶対残したいです」みたいな。
林:いいよね、この必死さが。
大野:「この必死さがいいので、これでいかせてください」っていうラリーはありましたね。
Ado:(笑)。
――それを朝イチでやったわけですね、Adoさんは。
Ado:本当に体力勝負だったな、と。撮影1日目のクローゼットをメインにしたスタジオでの撮影が深夜あたりに終わって、朝早くにまた集合して。なので、「じゃあ、またあとで!」と言って。「また明日」じゃなくて、「またあとで」っていう(笑)。朝練はやったことがなかったけれど、「朝走るのは大変だけど、面白いな」みたいなことをぼやぼや考えながらいました。ヒールで走るのが普通に大変だったというのもあるんですが、走るのが難しいな、と。普通に走るのも変だし、私は私の理想の自分を追いかけるシーンをどう走れば必死に映るのか……私としては「ダサすぎない?」「ダサくないだろうか?」というところが不安で、編集で仮でつないでいただいたものを確認した時に、「これはもしかしたらシーンとしては素晴らしいはずなのに、私はダサくて大丈夫かな?」というふうに心配してしまった部分もあって、「ダサくないでしょうか?」と。でも、皆さんから見たら大丈夫そうで、私も安心して。走ってるシーンは、私も走りながら、これがちゃんと映像になって観る時が楽しみだなと思っていましたね。
大野:あれも100メートルぐらい走ってんじゃないかな。シーンとしては一瞬なんですけど。
林:100メートルありましたっけ?
大野:あるんじゃないかな。助走も含めて10本ぐらい走ってるし。
――本当に朝練じゃないですか、ヒールで100メートルの走り(笑)!
Ado:ヒールで朝練(笑)。
――あれだけライブをやってるからもちろんそうなんでしょうけど、Adoさんが肉体派であったっていうことが、このMVで世に知らしめられたっていうことですよね。本当に挑戦が詰まったMVになったと思いますし、先ほどもAdoさんがちょっと話してくださいましたけれども、今までと全然違う形で作ったMVが完成して。それをこうして世に出すという時に、小説のなかでも書かれていた初めて“歌ってみた”を投稿した時の気持ちにも似たドキドキがたぶん今回もあったんだろうなと想像したんですけど、実際どうでしたか?
Ado:本当におっしゃる通りで、久しぶりにこういう新しい領域に踏み込む時の緊張とわくわくを思い出しましたね。それはすごく感じました。これまでいろんな経験をしても、まだこんなにわくわくできることがあるんだな、と。あの頃のような、本当に未知の領域に踏み込む時の恐ろしさとか未知さとかも含めてのわくわくをまだ味わえるんだな、嬉しいなと、ずっと思ってましたね。
――それぐらいAdoさん自身にとってもそうですし、ファンの皆さんにとってもインパクトのあるものになったと思いますし。「ビバリウム」はもちろん小説、曲、MVを含めてやり切ったということが、今後めちゃくちゃ大きな意味を持ちそうですよね。
Ado:そうですね。今後のAdoとしても、またひとつ基盤を増やしたうえで活動できるわけですから。実際にファンの皆さんとの距離感も、自分自身の部分を肉体を通して見せられた部分もあるので、これまで秘めて隠していたところ――見せたくなかったというわけではなかったのですが――そこをひとつ鍵を解いたというか、ファンの皆さんにお伝えできたかなと思っているので。自分自身にとっても、いい意味でいろいろなことに向き合えるだろうな、と。クリエイティブにも影響するだろうなと思っていますし、今年の活動や今後の未来もすごく楽しみですね。
林響太朗&大野瑞樹が対峙したAdoの姿「正直で真っ向勝負の人」「世界を広げていく」
――林さんと大野さんは、今回初めてこういう形でAdoのMVを手掛けて、Adoというアーティストに対する印象だったり、新しい発見もいろいろあったと思うんですけども、あらためてこのMVを作り終えて、Adoというアーティストはどういうふうに映っていますか?
林:うまい言葉が思い浮かばないけど……正直で真っ向勝負の人なんだなと思いました。真っ向勝負だなということをすごく感じたし、それが歌にも込められているし。もともと知っている楽曲からもそれはなんとなく感じてはいたけど、今回の楽曲で特に感じていて。その正直さというのも、小説のなかでかなりさらけ出していたと思いますし。それは、顔を出す/出さないということではなくて、「人間として見てほしい」というところにフォーカスしているからで、自分の考えとして正直にちゃんと言葉に表される方なんだなというふうにも思ったし。なんだろうなあ、姿勢のいい方なんだなというふうに感じましたね。
Ado:嬉しいです。
大野:僕も本当に今回ご一緒して同じ印象を受けて、本当にスカッとしていて気持ちのいい方だなとご一緒して思いましたし、小説も読ませていただきましたけども、いろんなことがあってもずっと挑み続けてる方だなと思って。今回ももちろんそのひとつだと思うんですけど、そうやってチャレンジしている姿とか、その過程の一部を一緒に体験できて、すごく光栄でしたし。こういう人がどんどんどんどん世界を広げていく、切り開いていくんだろうなということを間近で感じられたのがすごくよかったです。ありがとうございます。
Ado:ありがとうございます。
――おふたりからAdoさんに聞いておきたいこととか、あります?
林:あとは、火のなかに飛び込む。
Ado:あはははは!
林:空を飛ぶ。
Ado:空を飛ぶ!
林:あと、何ですかね。車の上に立つとか。
Ado:車の上に立つ!
林:(笑)まだやれることは、いろいろあります。
大野:用意してあります。
林:ラインナップは各種あります。
Ado:空OK、火OK……いけるかなあ?
――アクションスターになっていくんですね。
Ado:アクションスター(笑)。
大野:企画を作ってた時に――Adoさんにとって、初の実写じゃないですか。なのに、「こんなに盛り込んで大丈夫かな?」みたいな。
林:正直、賭けだったよね(笑)。
大野:「めっちゃ怒られるんじゃないか」っていう。
林:すごく正直に言っておくと、減らされる前提で作ってました。全部いけたら絶対いいけど、「これはちょっと難しい」「水はNGです」とかあるかなって思ってたんだけど、OKしてくれて。めちゃくちゃ嬉しかったですよね。
Ado:ああ、よかったです(笑)。
大野:今だから言えるけど、すごく大人な顔して当たり前のように資料を提出しながらも、内心バクバクして。「これはさすがにダメだろう」みたいな。打ち合わせもして、Adoさんに説明する機会をいただいて、一個一個全部説明して。
林:すべて必然である、という。
大野:「気になるところがあったら言ってください」と。
林:言いづらいよねえ。
Ado:(笑)。
大野:でも、オールOKで。
林:オールOKしてくれたことが、本当に大人だなと思った。でも、それも本当に覚悟を感じたよね。
――やるからには、ですもんね。
林:そうそう。「やるからには!」って感じたんですよね、その時に。
――結果、Adoの歴史のなかでも、今後も含めてきっと残っていく作品になったと思いますし。あとにも先にも初めての実写というのはこれだけなので。そういう意味でも、記念すべき作品になったんじゃないかなと思いますし、これからのAdoがすごく楽しみになりました。あらためて、MVもガンガン観てもらいたいですね。
林:そうですね。
大野:メモリアルでした。
Ado:ありがとうございました。
【Ado×監督×プロデューサー】ビバリウム - スペシャル対談
■リリース情報
Digital Single『ビバリウム』
配信中
配信URL:https://ado.lnk.to/vivarium_songWE
■書籍情報
『ビバリウム Adoと私』
発売中
原作:Ado
著者:小松成美
出版:KADOKAWA
価格:1,870円(税込)
販売URL:https://ado.lnk.to/vivarium_novelID
■公演情報
『Ado STADIUM LIVE 2026』(タイトルは後日発表)
2026年7月4日(土)・5日(日)OPEN 16:00/START 18:00
神奈川・日産スタジアム
Ado アーティストページ:https://www.universal-music.co.jp/ado/
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