羊文学を支える、元CHAI・YUNA「やっぱり私は踊らせたい」――“核”を大切に歩み出したサポートドラマーの道

“ソロドラマーとしての核”を作ったReiとの出会い

――YUNAさんがサポートで参加するようになったタイミングから、羊文学は海外ツアーが増えていきました。CHAIで海外ツアーの経験が豊富なYUNAさんがいたことは、塩塚さんと河西さんにとって頼もしかったと思うんですよね。

YUNA:そう思ってもらえていたら、ありがたいですね。

――でも、CHAIと羊文学だとライブの感じもまた違って、CHAIはSUB POPと契約したり、よりインディーな地盤があっただろうし、羊文学はアニメ関連の楽曲がよく聴かれていて、そういうファン層も多いと思う。その違いをどう感じていますか?

YUNA:お客さんの層の違いは面白いですね。羊文学だと『呪術廻戦』(MBS/TBS系)の曲だったり、『【推しの子】』(TOKYO MXほか)の曲だったり、そういった日本のカルチャー/アニメが大好きなお客さんが最前にいて、日本語で歌ってくれて、“好き”っていう気持ちの爆発力がすごいなと思います。CHAIのときはまたちょっと違って、アジアの女の子4人が同じピンクの衣装を着てコンセプチュアルで、蓋を開けてみると演奏バキバキなのを面白がってもらえたり、踊りに来るお客さんが多かった気がするんですよね。ノリノリになって、私たちにお尻を向けて踊ってる人もいたりして(笑)。

――そこは日本と海外のライブ観の違いでもありますよね。

YUNA:そうですね。羊文学のお客さんは音楽好きなのはもちろん、日本カルチャーとかアニメが大好きで、究極の“好き”を見せてくれてるというか、たまにコスプレでいらっしゃってる方もいたり。やっぱり、“好き”っていう原動力は無敵なんだなって、気づきをもらえたりもしますね。盛り上がるポイントもちょっとずつ違って、アニメを通して羊文学を知っていらっしゃる方は、もうイントロですごい叫ぶんですよ。でも、CHAIだと間奏とかギターがすごいうねる場所とかでワー!ってなる。そういう違いも面白いです。

――ドラマーとしてのキャリアを形成するうえで、特に重要だったサポートを挙げるとすれば、誰の名前が挙がりますか?

YUNA:Reiちゃんのサポートをさせてもらったのは大きかったですね。それこそ、Reiちゃんも“好き”を突き詰めてる人というイメージ。Reiちゃんに呼んでもらって、「誰かの後ろで演奏するのはこういうことなんだ」というのを身をもって教えてもらった気がします。キャリアを重ねると、厳しく言ってくれる人がどんどん少なくなる気がしているんだけど、Reiちゃんはいつもちゃんとアドバイスを言ってくれるんです。いつも感謝でいっぱいです。私のソロドラマーとしての核を作ってくれたのはReiちゃんかなと思いますね。

――今後の活動に関しては、どんな展望を持っていますか?

YUNA:もちろんまだまだドラムを叩きたいし(笑)、いろんなアーティストさんとご一緒したいですし、海外のアーティストの後ろでも叩いてみたいなと思っていて。そのためにも、もっともっとスキルアップをしたくて、ちょっと前から行けるときにドラムのレッスンに通い始めたんです。結構怒涛のような日々だったので、やりたくてもつい忘れてしまうことも多かったなかで、今年はもうちょっと視野を広げて、いろんな曲をインプットして、それをアウトプットしたり、自由度を高くしていきたいなって。定期的に「自分らしさってなんだろう?」って、わからなくなる瞬間があるんですよね。

――いろんな人のサポートをしていると、そうなるのもわかる気がします。

YUNA:無理をしてる現場はひとつもなくて、どの現場でも楽しく叩きまくってるんですけど(笑)。でも、定期的に「自分のドラマーとしての良さ」を再確認しないと、わからなくなるときがあるんですよね。自分の大事にしてるもの、自分はどういう部分が強みなのか、そういうことを振り返りながら、新たなスキルも加えつつ、ドラマーとしての核をデカくしていきたいっていう思いが、今後の展望としてはありますね。

大切にする“踊れるか/踊れないか”という意識

――ルーツについて話してもらったように、聴いた人を踊らせるような、体に作用するような、グルーヴ感のある演奏というのが、やはり核にはあるのかなと。

YUNA:そうかもしれないですね。踊れるか踊れないかみたいな、そこはずっと意識している部分で。CHAIで海外でライブをしていたときは、演奏のできが顕著にお客さんの反応でわかったりして、自分が気持ちいいと思えるビートをアウトプットできてないと、お客さんもそりゃノれないよなとか感じたことも結構あって。自分が楽しくて、「好きだ」と思える音、グルーヴ、そこはやっぱり原点だから、定期的に初心にかえることはとても大事ですよね。

――その意味でも、海外の人と一緒に演奏するのはいろんな発見がありそうですよね。

YUNA:前にShao Dowっていうイギリス人ラッパーの日本ツアーに帯同させてもらったことがあるんですけど、それもすごく楽しかったので、いろんな景色を見て勉強したいなと思います。あと、私DJもたまにやったりします。

――それも“踊らせる”ということに紐づきますね。

YUNA:そうですね。去年の12月に京都MUSEでHomecomingsのライブをやったときに、アフターパーティーがあって、ひさしぶりにDJをやったんです。そのときギターのトミー(福富優樹)やSECOND ROYAL RECORDSの小山内さんやカクバリズムのマネージャーさんと一緒にDJさせてもらったんですけど、私だけほとんど全部四つ打ちで(笑)。それこそVulfpeckも流すし、Brasstracksも流すし、アジーリア・バンクスも流すし、Justiceも流すし、全然雰囲気の違うDJをやってて。でも、そこが自分の音楽性がいちばん出るところなのかもと思うと、やっぱり私は洋楽のああいう踊れる感じが好きなんですよね。

――YUNAさんはビートメイクもするんですか?

YUNA:CHAIのときはビートを作って提出してたし、今material clubでもやってはいますね。ライブでSPD-SX(サンプリングパッド)を使ったり、電子的なアプローチのビートを考えるのは好きです。あと、全然ベクトルは違うけど、吉澤嘉代子ちゃんのツアーでギターの弓木(英梨乃)ちゃんに「この曲、YUNAちゃんだったらどうする?」と聞かれたときに、「CHAIだったら踊るかな」って答えたんです。それからワンコーラス振り付けを作って、(関根)史織さん(Base Ball Bear)と弓木ちゃんを無理やり踊らせてしまいました(笑)。やっぱり私は踊らせたいんでしょうね。

――そういう話を聞くと、よりダンスミュージック寄りなバンドで叩いてるYUNAさんもあらためて見てみたいです。

YUNA:ぶち上げ系のバンド、やりたいですね(笑)。

――羊文学、Homecomings、Reiさん、吉澤さんと、YUNAさんがサポートをしている人たちはそれぞれ音楽性やキャラクターは違うんだけど、芯の強さを感じさせる人ばかりで、それはきっとYUNAさん自身もそうなんだろうなって。

YUNA:そう言ってもらえると嬉しいです。確かに私は何にでも食らいついていきたいタイプでもあるので、そうなのかもしれない!

――昔から負けず嫌いですしね(笑)。2月からのHomecomingsのツアーは、ベースに吉澤さんのバンドでも共演している関根さんを迎えた新体制ですが、リハは順調ですか?

YUNA:めちゃめちゃいい感じです。史織さんがバンド感満載でめちゃめちゃかっこよくて、叩きながら見惚れちゃいます。このあいだ、ボーカルのタタちゃん(畳野彩加)がコーラスでサポートをしていたくるりのライブを観に行かせてもらったんですけど、やっぱりタタちゃんも唯一無二なボーカリストで、私も頑張ろうと思いました。今参加させてもらっている各アーティストのみなさんをリスペクトしてやまないし、大好きな方たちなので、「ありがとう」の気持ちでいっぱいです。そしてとにかく私はドラムが大好きなので、これからもいろんなことを挑戦していきたいです。

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