諦めの悪さは、最高の武器だーーAぇ! group渾身の“今”が詰め込まれた『Runway』、再び飛び立つ覚悟と愛

 Aぇ! groupは、強い。思わず、そう言わずにいられないアルバムがリリースされた。2月25日発売の2nd アルバム『Runway』は、新体制での初アルバム。Aぇ! group渾身の“今”が詰め込まれた1枚だ。

もう一度、飛び立とうーー「Again」に滲む覚悟

 リード曲は「Again」。 
〈またここから走れるように/いつか高く飛べるように/もう一度前を向くよ/諦めの悪い僕らを笑ってよ〉と、思いの丈を絞り出すように歌う姿と歌詞は、かねてよりAぇ! groupを見つめてきたファンであれば、思わず胸が熱くなるものだ。誰の人生にも訪れる「またここから!」「もう一度」と顔を上げたあの感覚を思い出す、そんな前向きなサウンドが涙腺を刺激する。そして、覚悟を感じさせる表情に、新たに心を掴まれる人も少なくないはずだ。

Aぇ! group 「Again」 Official Music Video

 実際、2月16日にオンエアされた音楽番組『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)では、互いに肩を組み、目を合わせながら歌う姿に、ファンのみならず多くの視聴者からも激励の言葉が寄せられ、SNSは大いに盛り上がった。発売に先駆けてAぇ! groupのYouTubeチャンネルで公開されたMVのコメント欄では「◯◯担です」と他アーティストのファンからも「頑張りましょう」「応援してます」という温かな声が続々と寄せられている。

 アイドルには、時に大きな節目をともに乗り越える曲との出会いがある。「Again」はまさにそんな1曲だ。澄み切った青空を飛行機が飛び進むシーンで幕を開けるMVは、これまでの葛藤や悔しさもすべて自分たちの歩みとして受け止め、再び飛び立とうという彼らの心の風景そのもの。そして、そのビジュアルイメージをそのままに清々しい一面広告が、1月6日の読売新聞朝刊を飾った(※1)。

 「どこまでも広いこの空の下で、待ってくれてる人がいる。聴いてくれてる人がいる。今、僕らにできること。この足で滑走路を走る。この声で、未来という空を切り拓く。次の目的地に向けて、もう一度、飛び立とう。」ーーそう添えられたコピーにも、Aぇ! groupのまっすぐな思いが滲む。

涙だけでは終わらない、笑顔を届ける職人集団

 そんな展開を見せる一方で、エンターテインメントの精神を決して忘れず“笑わせずにはいられない”のがAぇ! groupらしさだと言えよう。YouTubeチャンネルに投稿された「Aぇ! group『Runway』Album Track Guide Movie」は、まるでフライト中に機内で流れる案内動画のような芸の細かさ。アルバム鑑賞中の気持ちとフライト中の注意事項とを引っ掛けて説明する面白さはもちろんだが、懐かしさを感じるあえての画質やナレーションのテンションなど、細部まで徹底した“っぽさ“を追求している仕事の細かさにも、思わず顔が綻んでしまう。

Aぇ! group『Runway』Album Track Guide Movie

 そう、Aぇ! groupは関西出身という誇りを胸に、バラエティにも全力を見せる笑いの職人集団でもあるのだ。歌って、踊って、喋って、演じて、笑わせて……。このアルバムを聴けば、その引き出しの多さに驚かされる人も多いはずだ。真正面から彼らの思いをぶつけてきた「Again」で飛び立つと、次に聴こえてくるのはイントロからとにかく気持ちのいいリズムと語感が、言葉のマッサージのようにツボをついてくる「UP-DOWN TOWN」へ。曲中、演技力の高い掛け合いにも唸らさせるが、冷静になると「じゃんけんをしてるだけの曲!?」なんて笑えてくるところも、また楽しい。

 そんな盛り上がりを受けて、ついにこちらまで身を揺らさずにはいられなくなるのが「be together」。新しいはずなのに、心はもうずっと前から知っていたような、嬉しい感覚に陥るディスコサウンドだ。続く「青春讃歌」も、誰もが心の中にある青春のど真ん中を貫いてくる。2000年代のバンドソングを思い出させる甘酸っぱさと切なさが漂うのは、Aぇ! groupのがむしゃら感溢れる歌声のなせる技だろうか。

 アルバムの後半にかけて、感情の乱高下はさらに加速する。滑らかなラップで引き込まれる「JACKPOT」は、まさに“ステージソング”と言いたくなる作品。ド派手な特殊効果演出のなか、狙い澄ました眼差しでスクリーンに抜かれる彼らの表情まで目に浮かぶようだ。かと思えば、切ないピアノの旋律から始まる「哀結び」は、美しいファルセットに鳥肌が立つ。盛り上がっていたステージのイメージと一転して、白い息が見えるような寒い日に、ひとり歩きながら聴きたくなる。そんな対照的なシーンが脳裏に浮かぶ。

 〈ファッション・キラ/ファッション・キラ/ファッション・キラ Killa Killa Killa〉と、一度聴いたら頭から離れない中毒性の高い「Fashion Killa♡」は、〈誰がどうで、なにをいおうと/君はすごく素敵なんだよ〉という歌詞によって自然と自己肯定感が引き上がる。MVのほか、ダンスプラクティス動画も公開されているが、その力の入れ具合にも口角は上がりっぱなし。

Aぇ! group 「Fashion Killa♡」Official Music Video
Aぇ! group - Fashion Killa♡(Dance Practice)

 そんな自分のことを好きになった気持ちを、さらに盛り上げてキラキラとさせてくれるのが、続く「Can’t Stop Lovin’」。王道のアイドルソング然としたサウンドで、思わず何かを始めたくなるほど心が弾むのを抑えられない。一方、心が曇り模様の日は「僕の一番弱いところ」がよく似合う。難易度の高さを感じさせる抑えめの低音から始まり、上昇気流に乗ったように〈離れていても〉と歌い上げるカタルシスは、聴き手の顔をそっと上向かせる力を持っている。

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