STARGLOW「Moonchaser」、バイラルチャートイン　新人らしからぬ高いポテンシャルを示す1曲

　Spotifyの「Daily Viral Songs（Japan）」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの10月8日付のTOP10は以下の通り（※1）。

1位：レゼ（上田麗奈）「ジェーンは教会で眠った」
2位：米津玄師「IRIS OUT」
3位：米津玄師&宇多田ヒカル「JANE DOE」
4位：Number_i「Numbers Ur Zone」
5位：STARGLOW「Moonchaser」
6位：君がそうなら僕はこう「恋するあなたは美しい」
7位：kensuke ushio「in the pool」
8位：cape, JXNDRO, Sayfalse「MONTAGEM RUGADA」
9位：RAYE「WHERE IS MY HUSBAND!」
10位：セカンドバッカー「犬とバカ猫」

『THE LAST PIECE』から生まれたSTARGLOWのプレデビュー曲

　今回はSTARGLOW「Moonchaser」をピックアップする。STARGLOWは、SKY-HI率いるBMSGが主催するオーディション『THE LAST PIECE』から誕生したグループだSTARGLOWとしてのデビュー権を獲得したメンバーは、RUI、TAIKI、KANON、GOICHI、ADAMの5人。RUIとTAIKIは、BE:FIRST誕生のきっかけとなったオーディション『THE FIRST』（日テレ／Hulu）に、KANONはMAZZEL誕生のきっかけとなったオーディション『MISSIONx2』に、参加している。BE:FIRSTやMAZZELをはじめとするグループ／アーティストの背中を見続け、SKY-HIが築き上げてきたBMSGイズムを理解しているメンバーが揃ったと言えるだろう。

　「Moonchaser」は、STARGLOWのプレデビュー曲となる。ダンサブルなアップチューンで、緻密なボーカルワークと大胆な展開が印象的な、実にドラマティックな楽曲だ。メロディアスな歌の中にキレのあるラップのブロックを配置するのは、BMSG発のボーイズグループの得意技だが、それを踏襲しながらも、歌のブロックでラップ的なアプローチを織り交ぜてくるあたりに、メンバー全員にボーカリストとしての可能性が見えてくる。

メンバーの“声”を届けるようなアレンジ

　トラックは、序盤は音が少なめ、後半に向けて音圧をあげていくような構成。ビートはUKガラージやR&Bの影響を感じさせ、キックを軽やかに配置し、シンセのアタックを抑えめにすることで余白を際立たせている。特に冒頭から1番の余白の多さ、音圧の抑え方は、メンバーの“声”をしっかり聴かせるためのアレンジであるようにも感じられる。この余白で、それぞれのメンバーの発音の時の息遣いやニュアンスなどのスキルが浮かび上がり、聴く者がマイクリレーするボーカルに集中できる環境を作り出している。BPMは速いが、歌にドタバタした印象を感じないのは、トラックの構成、そして個々のメンバーに安定したピッチとリズム感があってこそ。歌詞は日本語と英語が混在しており、エンディングに向かい英語が続く場面では、ユニゾンやハーモニーを畳みかけるように展開され、バックトラックと歌声両方の音圧が上がることで存在感と勢いを出している。

　歌詞は前述のとおり日本語と英語が混在したスタイルで、手の届かない理想や再び立ち上がる意志が、星などをモチーフにして描かれている。特に〈不可能すらも愛しい／笑えばいい／今そこに行く〉というワンフレーズは、STARGLOWが歌ってこそ説得力を持ち、共感に変化するパンチラインだ。また本曲のパフォーマンスも印象的で、動で滑らかさを、静で力強さを出す見事な表現力を見せている。STARGLOWは、オーディション発の“物語を背負った新人”という枠を超え、高いポテンシャルで勝負できる実力派としてのスタートを切った。彼らが星のように輝く軌跡を作るのは、これからだ。

※1：https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-10-08