BE:FIRST、「Secret Garden」は今だからこそ歌える一曲? メンバー同士が引き出し合うスキルとセンス
BE:FIRSTが新曲「Secret Garden」を8月25日にデジタルリリースした。同曲は2025年ユニリーバキャンペーンソングであり、BMSGのオーディションプロジェクト『THE LAST PIECE』6次審査の課題曲。9月17日リリースの8thシングル『空』、10月29日リリースのベストアルバム『BE:ST』にも収録される。
「2010年代R&Bをルーツに持つ彼らが、そのサウンドを現代的に昇華させたトラックの上で、恋愛をメタファーに音楽へのリスペクトと深い愛情を歌い上げた渾身のR&Bチューン」(※1)であるという同曲。アメリカ・LAでのコライトキャンプにて制作されたうちの1曲で、デヴィッド・アークライト、マイショーン・ラトリフ、ベン・サママを迎えて制作されたそうだ。
その「Secret Garden」のMVが8月25日に公式YouTubeチャンネルで公開され、話題になっている。MVは「BE:FIRSTの創り出す音楽によって、現実から人々が“Secret Garden”へ誘われていく」というコンセプトで制作されており、振り付けはメンバーのSOTAと、彼とも親交があるダンサーのジュリアン・デグズマンが手がけている。
HIPHOPスタイルの楽曲が多いBE:FIRSTにとって、「Secret Garden」は新境地と言えるのではないだろうか。例えばR&Bという部分に注目すると、2ndアルバム『2:BE』収録曲「Guilty」が挙げられる。同曲は「オーセンティックなR&Bダンストラック」(※2)として、ドラマティックで大人な雰囲気が特徴。メロディラインも音数が多くアップテンポで、ラップパートも溶け込んでいる。「Secret Garden」もそれに通ずる部分はあるが、曲調も相まってより余裕があるように聴こえる。いい塩梅のチルさが漂うことでメンバーたちの歌声が伸びやかになっている印象だ。それでいてリズムが複雑な部分もあり、音楽的センスの高さを感じることもできる楽曲ではないだろうか。
また、メンバー一人ひとりの歌声も余すところなく感じられるのも、同曲の特徴だろう。歌い出しを担当するのは、MANATOだ。MANATOはグルーヴィーな歌声が特徴で、かつ持ち前の英語力を活かして〈Escape to the Secret garden〉という冒頭のワンフレーズで洋楽の雰囲気を加えている。RYUHEIは色気と安定感がある歌声。語尾の切り方、伸ばし方を自在に操り、グルーヴを生み出している。高音が印象的なJUNONはMANATOからファルセットのバトンを受け継ぎ、透明感溢れる歌声を披露。一方で、じんわりとリスナーの耳に響いてくるような中音域の歌声でも魅力を発揮する。LEOの歌声はとにかく優しくてまっすぐ。人柄が表れているかのようで、同曲に温かみと深みを添えている。SHUNTOは唯一無二の歌声を自在に操り、柔らかく伸びるような声で魅了している。一方、ラップでは個性を出したり、掛け合いのSOTAに寄せたような声色を披露したり。彼のスキルの幅広さも感じさせる。そして、SOTAは主にラップを担当。SOTAのラップが聴こえるとBE:FIRSTの楽曲としての色が一気に濃くなる。BE:FIRSTに欠かせない存在であることを証明しているかのようだ。それぞれ個性がある歌声にもかかわらず、誰かが浮いてしまうことなく混ざり合うのは、彼らだからこそなせる技ではないだろうか。
「Secret Garden」は、デビュー当初のBE:FIRSTにはもしかしたら歌いこなせなかった楽曲かもしれない。しかし、今これだけのクオリティに仕上がったのは、デビューから約4年で様々な経験を積み重ね、グループが成長してきたからだろう。BE:FIRSTが進化し続ける限り、楽曲も無限に広がっていくはずだ。
※1:https://avexnet.jp/news/1026908
※2:https://avexnet.jp/news/1018708