2025.07.31 19:00

『愛の、がっこう。』主題歌、『グラスハート』出演で話題！　レイニ、アーティスト／俳優活動で深める表現の奥行き

「この声、変えたいなあ」と思ったことはある

レイニ - Spiral feat. Yura (Music Video)

ーーなるほど。ここからは新曲「Spiral feat. Yura」についてお話を伺っていきます。この曲は7月10日からスタートしたテレビドラマ『愛の、がっこう。』の主題歌として、放送翌日の7月11日に配信リリースされたばかり。前作の「ラストレター」もそうでしたが、今回もオンエアでご自身の曲が流れてくるのが楽しみだったんじゃないでしょうか。

レイニ：もちろんです。レコーディングの前に台本を何話分か読ませていただいていたので、「これが映像でどう表現されるんだろう？」と楽しみでしたし、自分の曲もどの場面で、どういったタイミングで流れてくるんだろうとワクワクしていました。

ーー前作「ラストレター」も同じくドラマ主題歌でしたが、前回は「最後の手紙」という具体的なテーマがありました。それに対して、今回の「Spiral feat. Yura」ではドラマのストーリーをなぞりながら、どんな世界観を表現しようと考えましたか？

レイニ：いただいた台本は全話分ではなかったので、ストーリーが最終的にどんな結末を迎えるのかはわからないんですけど、木村文乃さん演じる愛実とラウールさん演じるカヲルの関係性を歌詞やメロディ、バックトラックに合わせて表現することを考えましたし、加えて今回はYuraさんと一緒に歌っているので、そこも強く意識して歌うようにしました。

ーーこの取材時点では第1話が放送されたばかりですが、愛実とカヲルの心の揺れ動きだったり、関係性の変化が「Spiral」という曲タイトルや歌詞で表現されているのかなと感じました。

レイニ：その通りです。ここから物語が大きなうねりの中で進んでいく、そんなことを予兆させる内容ですものね。実は、最初にいただいた歌詞は今とはちょっと違った形だったんですけど、何度かブラッシュアップされたものをいただいて、最終的に今の形になったときは歌詞の世界にグッと入り込んでいける内容になっていて、めちゃくちゃ好きな曲になりました。

ーーこれまでは1曲まるまる自分ひとりで歌っていたわけですが、ほかのシンガーと歌い分けるスタイルはやってみていかがでしたか？

レイニ：僕自身だれかとデュエットするのは初めての経験だったので、自分以外の声が入っていることがとても新鮮で。しかも相手は女性で声質もまったく違うし、出来上がった音源を聴いていても数小節ごとに歌声が変わるから、まったく飽きが来ないんですよ。レコーディングも同じ日に行って、僕が歌ったものにたいしてYuraさんが歌を加えていくような形で。Yuraさん、お若いのにめちゃくちゃ上手なんですよ。なので、自分に歌にYuraさんの声が続いたり重なったりすることで、「もっとうまく歌いたい」とか「Yuraさんの歌に合う形で歌い直したい」と刺激を受けることもたくさんありました。実際、最初に歌入れしたテイクと比べると、完成版の歌はだいぶレベルアップできたんじゃないかと思います。

ーーひとりだけで歌っていると自分の中だけで完結できるけど、そこに違った色が入ることでそこに合わせたり、あるいはさらに違った色も加えたいという欲が湧いてくると。何度か歌っていく中で、ご自身的にどういうところが一番変わったと思いますか？

レイニ：歌詞の一言一句に対する気持ちの込め方から違ったと思いますけど、一番は2人で歌う楽しさがどんどんわかってきて。もちろん自分ひとりで歌うことも楽しいんですけど、自分以外の人と一緒に歌うことってこんなに気持ちが高揚するんだと、改めて気付かされました。そこは今まで歌ってきた中で、一番の衝撃だったかもしれません。

ーーちなみに、一番気持ちの入ったフレーズってどのあたりでしょう？

レイニ：やっぱり〈星一つ見えないこんな夜なら〉から始まる、落ちサビのところですね。バックトラックがちょっと静かになってこのフレーズが始まるんですけど、クライマックスに向けた助走部分でもあるのでより気持ちも入りますし。ここは個人的にもお気に入りのフレーズです。あと、〈螺旋のようにうねる感情の波に〉から始まる行もグッと気持ちが入ってしまいます。

ーー例えば、今おっしゃった〈螺旋のようにうねる感情の波に〉の行とか〈愛は簡単じゃない〉といった歌詞を表現する際、レイニさんは自分の経験を重ねて歌ったりするんでしょうか。

レイニ：僕自身それほど恋愛経験が多いわけではないので、自分の経験を重ねるというよりはドラマの物語に沿って、主人公の気持ちを想像して歌うことで気持ちを乗せられるのかなと。この曲に関しては、そういう気持ちの込め方をしています。でも、〈愛は簡単じゃない〉っていうのは確かにその通りだなと思います。恋愛って複雑ですものね……家族とか友達、ペットに対する友愛の気持ちはわかるんですけど……あと、食に関してとか（笑）。

ーー（笑）。では、曲の中で感情の揺れ動きを表現する際、何か心がけていることってありますか？

レイニ：あまり深くは考えていないんですけど、いつも目をつぶって歌うようにしています。というのも、僕の場合は歌詞を見ながら歌うと、なぜだかわからないんですけどあまり気持ちが乗らないんですよ。カラオケのときもそうなんですけど、文字を目で追ってしまって気持ちが乗り切れないというか。だって、ライブのときは歌詞を見ないで歌うわけですよね。そういうときのほうが感情表現に集中できている気がするので、気付いたらレコーディングでも同じように歌おうと心掛けるようになりました。あと、目をつぶるとその歌詞のシーンを自分の頭の中で思い描くこともできるし、その絵を見ながら歌えますしね。

ーーなるほど。今回、自分以外の方と一緒に歌ったことで、シンガーとしての自分の個性や強みに気付くことはできましたか？

レイニ：ほんの少しですけど、「ほかの人とは違うところがあるのかな？」とは思えるようになりました。それが具体的にどういったところなのかと問われると、明確に言葉にすることは難しいんですが……最終的にそういう部分が、レイニという歌い手のブランドとして確立できていたらいいな、と思います。逆に聞いちゃいますけど、僕の個性や強みってどういうところだと思いますか？

ーー適度な湿り気が備わった天性の歌声だと僕は思っていて、インディーズ時代に発表した楽曲や今回の「Spiral feat. Yura」のようなスローテンポの楽曲では、その声がより映える印象があります。

レイニ：嬉しい。確かにそういうスローテンポの楽曲だと気持ちよく声を乗せられるので、おっしゃる通りなのかもしれませんね。

ーーあと、適度に吐息の混じった歌唱スタイルが気持ちよく響くんですよ。

レイニ：なるほど。こうやって他者から指摘してもらえると気付けることも多くて、ありがたいですね。自分の声の分析って、意外としたことなかったですし。「この声、変えたいなあ」と思ったことはあるんですけど。

ーーえっ、変えたいと思ったことがあるんですか？

レイニ：今はそんなことないですけど、以前は思うように歌えなかったり「なんでこの音が出ないんだ？」って悩んだ時期もあって。当時は苦しそうに声を張って歌うことが多かったから、「じゃあちょっと力を抜いて歌ってみようか」と気持ちを切り替えてからはだいぶ楽になりましたし、今ではこの声含めて気に入っています。

ーーストーリーが進行するにつれて、ドラマのほうもさらに話題になると思いますし、それと同時に主題歌の「Spiral feat. Yura」やそれを歌っているレイニさんにも注目が寄せられるようになると思います。時を同じくして、配信ドラマ『グラスハート』もスタートしますし、2025年後半はいい形で盛り上がりが期待できそうですね。

レイニ：そうなるといいなあ。実は、ここからいろいろなことが予定されていて。僕は8月24日が誕生日なんですけど、当日はYouTubeで配信ライブをすることが決まっているので、「Spiral feat. Yura」も歌えたらいいなと思っているところです。あと、発売時期はまだ決定していないんですけど、1stアルバムに向けていろいろと楽曲制作の準備も進めているところでして。「もっとこういう曲が欲しい」とかスタッフと話している段階なので、まだ具体的に話せることは少ないんですけど、まだ挑戦したことないタイプの楽曲にも取り組んでみたいと思っています。で、それが完成したら次はワンマンライブを開催したいなと。そういう意味では、今年1年は次に向けて下地をしっかりと固める期間にできたらなと思っています。