秋元康が手掛ける昭和歌謡リバイバルで目指す日本のトップ SHOW-WAが見つめる夢と現実

自分の人生なんだから自分で選択して、行動すればいい

寺田真二郎

――皆さんそれぞれのきっかけをお持ちですが、なぜ“ボーカルグループ”だったのかな、と。それこそ料理研究家や俳優、モデルなどの活動をされていらっしゃったので、別の選択肢もあったのではないですか?

塩田:僕の場合は歌しかやってきていないので、ある意味ブレていないのかもしれません。ダンスは未経験でしたが、歌には自信があって。これまでオーディションを受けるたびにいいところまで行っていて――その時に手を伸ばせば、がむしゃらに行けば、夢に手が届いたかもしれない。でも、手を伸ばしてこなかった。それなら今回は絶対に手を伸ばそうと思って、この道を選びました。

――意地悪な質問かもしれないですが、ひとりの歌手として歌だけを届け続ける道もありますよね? でも、ダンスもするボーカルグループを選んだのはなぜだったのでしょうか。

塩田:SHOW-WAって、ダンスもしたり、フォーメーションがあったりはしますが、分量的には少なくて。ダンスボーカルグループじゃないんですよね。だからこそ、しっかりと歌を届けられることに魅力を感じたんです。

井筒:僕は小さい頃に観たテレビ番組というのが、教育番組だったんです。小さな子どもたちが歌って踊る姿がキラキラしていて、希望に満ち溢れていて。自分もそういうことをしたいと思っていたので、「何かを届けられる人になりたい」という思いでこの道に進みました。

山本:僕は役者として舞台に立った時の感覚から抜けられなくて。でも、こういう仕事って売れないと何の説得力もないじゃないですか。仕事がなかったらニートと一緒。でも自分ひとりではなかなか力もなくて売れないとなった時に、グループとして仲間と力を合わせて、そこに自分の力が乗っかっていくことでいろいろなことに挑戦できるんじゃないかなと思いました。

――今の山本さんのお話を聞いて浮かんだ疑問なのですが、皆さんは前向きにこの道を選ばれたのでしょうか。それとも背水の陣のような気持ちもあったのでしょうか。

青山:僕は前向きな思いで選びました。あくまでもこれは僕の考えなのですが、世間の言う基準みたいなものって、果たして意味があるのかなと思っていて。たとえば、今僕は36歳で、男性でも女性でもこのくらいの年齢までには結婚しておかなきゃいけない、というようなことを言われているじゃないですか。「いつまで夢を追いかけているんだ」とか。その基準って何なんだろうと思っています。36歳で夢を追いかけてもいいと思うし、60歳だっていい。それに、夢を追いかけるまでのがむしゃらな姿を見せてもいいと思うんです。批判的なことを言う人もいますが、僕からすれば「知ったこっちゃねえ」(笑)。自分の人生なんだから自分で選択して、行動すればいいんです。でも、周りの意見に引っ張られて諦める人が今は多いですよね。

山本佳志

――本当に。私も周りの目を気にして心が折れてしまうタイプで。

青山:そうなんですよね、多いんです。僕もサッカーをやっていた時は、そういう経験がありました。当時、日本代表になれるかもしれないチャンスがあったんです。でも、周りにいろいろ言われて諦めてしまって。掴めそうなチャンスを掴みきれなかったことを後悔することもありました。そういう周りの雑音に振り回されないのが、本田圭佑さんや長友佑都さん。彼らは誰に何を言われてもブレないんですよ。そういう人が夢を掴むんです。それに気づいてからは、僕も「自分がやりたいからやる」という考えをブレさせることのないようにしてきました。いまだに「なんで俳優じゃないの?」「なんで歌うの?」という意見をたくさん言われますが、今の時代はいろんなことがやれますから。歌いながら役者をやるアーティストの方もいますし、いろいろな可能性がある時代。ちゃんと責任と誇りを持ってやる覚悟があるなら、自分を信じて進み続ければいいと思います。

――こういった話を発信するだけでも誰かの背中が押せそうですよね。

寺田:それに、新たにゼロからスタートするわけじゃないんですよね。たぶん、じゅんじゅん(青山)もサッカーをやっていたからグループに参加できているし、僕も料理をやっていたからここにいられるんだと思います。さまざまなジャンルで活躍してきたメンバーが集まったほうが面白いし、周りとは違った戦い方ができる。これまでの経験の延長線上にSHOW-WAがあると思っています。

山本:あとは、「たくさんの選択肢のなかで人がいちばん選ばない道を選んで生きていきたい」という僕のモットーがあって。そういう選択をし続けていたら、こうなりました。

――結成後は、レッスンを重ねたり、イオンモールツアーをしたり、テレビでご活躍されたりしています。さまざまな経験を持つメンバーが集まっていることも然りですが、これまでの活動のなかで見えたSHOW-WAならではの強みはありますか?

塩田:異業種から集まった25歳以上がグループを組んで、しかも歌うのが昭和歌謡。この時点で唯一無二感があると思っていて。しかも、曲のジャンルもほかのグループとは少し違うんですよ。ライトと言いますか。各々が縛られていないのも大きいと思います。グループだと、どうしても役割やキャラクターが決まっていることが多いと思うのですが、僕らはそれもないですし、歌割りも含めて定まっていません。たとえば、けーし(山本)とつっつん(井筒)がMCと進行をやってくれることがたびたびあるんですけど、僕らって全員がボケてしまうんですよ。ボケとツッコミが成立していない(笑)。でも、それが“おじかわいい”という部分につながっていると思います。

向山毅

――グループのコンセプト含め、すべてが唯一無二というか。

塩田:そうなんです。あとは、汗水流してやっているがむしゃらさを隠していないのも一種の武器かな、と。今の時代のテレビだとそういう部分をなかなか見せないですが、『ぽかぽか』と組んだことで僕らは見せられているんですよね。視聴者やファンの方も一緒にSHOW-WAを育てている感覚になれると思います。

井筒:そうだね。異業種から集まったメンバーがいろんなことに取り組んでいる姿をお届けすることで、共感していただけることも多いのかなって。僕らを見て「自分も頑張ろう!」と思えることもあるだろうし、そう思えるグループもなかなかいないと思います。そこも僕ららしさですよね。

――先ほど青山さんがお話してくださったことにも通じますが、全部を見せていくことでプラスになっていく、と。

青山:はい。今の時代って、諦めやすい環境じゃないですか。便利になったからこそ、合わないと思ったらすぐ辞めて、すぐ次に行けますし。だからこそ、一生懸命やることが難しくなっていると思うんです。毎日一生懸命やり続けるって、相当な忍耐が必要なんですよね。でも、それをやることがこのプロジェクト。『ぽかぽか』もそう。雨が降ろうが槍が降ろうが、絶対歌っていますしね。やり切る覚悟を持っているのがこの6人だと思っています。

――なるほど。そんな思いを持ってステージに立たれてきたと思いますが、印象的だった出来事はありますか?

向山:僕たちはカバー曲を中心にライブをしていますが、初めて披露する曲でも合いの手をいただけるんです。曲のパワーを感じますよね。かつての名曲を令和に蘇らせて、ファンの方から合いの手でパワーをもらって、それを歌声に込められるってすごいと感じています。

――最近のK-POP、J-POPでも掛け声がありますし、昭和歌謡でも合いの手がありますし、幅広い層が応援しやすそうです。

井筒:一緒に楽しめますよね。

山本:実際、三世代でいらっしゃるファンの方もいるんです。男性も女性も応援してくださいますし、少しずつ輪が広がっていることを実感しています。

六人六様の姿を歌う「君の王子様」

塩田将己

――皆さんは9月4日に満を持して『君の王子様』でデビューを果たされます。この曲における、自分の“王子様ポイント”を教えてください。

塩田:この曲は六人六様の王子様という設定なんです。僕だったら元気&おちゃらけという部分がありつつ、キメるところはキメる。〈勇気出して飛び込めよ〉という歌詞の部分は乗ることもできるし、フォーメーションでキメることもできる。自分なりの王子様像を表現した時に、笑顔で勢いよくやればお客さんもノってくださいますし、かっこよく締めたい時はフォーメーションに集中してクールにキメられるんです。自分でお客様の空気を作れているところは“王子様ポイント”ですね。

――場を操れるとは、もはや王様ですよね(笑)。

一同:(笑)。

向山:たしかに(笑)。僕は、どちらかといえば正統派ジェントルマンの立ち位置です。Aメロの〈天秤乗せれば どちらか傾くよ〉という部分を余裕を持って歌うようにして、2コーラス目が終わったあとに「僕を選んでくれてありがとう」って言うんです。正統派でいながらも、余裕を見せているのが王子様っぽいなと思っています。

青山:めっちゃ考えて歌ってるんだ。

向山:考えてるよ(笑)。考えてなかった?

青山:「天秤に乗せる」って言っても、どっちかなあ、普通重いほうに傾くよなあ、って(笑)。

青山隼

――(笑)。シングルには、「DESIRE -情熱-」と「め組のひと」のカバー曲も収録されています。たくさんのアーティストがカバーしてきた楽曲ですが、SHOW-WAならではの表現はありますか?

山本:「DESIRE -情熱-」を男性6人組がカバーすること自体が珍しいのかな、と。楽曲のなかでたけちゃん(向山)とまさきち(塩田)がハモるのですが、最初に聴いた時に衝撃を受けて。今まで聴いていたのとは全然違う「DESIRE -情熱-」だって、同じグループの僕でも思いました。ほかの4人も思いっきり楽しんで盛り上がっていますし、それは僕らならではなのかなと思います。

青山:僕ら6人は意外にも控えめというか、内に秘めているものが熱いタイプなんです。性格的にも普段はその熱さを口に出すことがあまりないんです。でも、「DESIRE -情熱-」を歌うと内に秘めている熱さが爆発するんですよ。ファンの方にもそう思ってもらえると思います。実際、「DESIRE -情熱-」をパフォーマンスするのがいちばん疲れるんですよ。

塩田:100%でやりすぎちゃうよね(笑)。

寺田:加減できない。

向山:この曲は、秋元先生が「カバーしてみたら?」って言ってくださって。

山本:そうそう。でね、名古屋の撮影会でたけちゃんはぶっ倒れちゃったもんね。

向山:熱中症みたいになっちゃって(笑)。

――次回からちょっと抑え気味でパフォーマンスしないと危険ですね。

向山:いやあ、抑えられないです(笑)。

井筒:無理だよね(笑)。

――その熱さが音源からも伝わりそうですね。

向山:オケも生っぽくアレンジされているので、そこにも注目していただきたいです。

井筒雄太

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