Chevonは新時代を切り拓く 満員のLIQUIDROOMで証明した“ライブバンド”としての実力

 「冥冥」というタイトルについて「冥(くら)いところにいる人は、冥いところからしか救えないと思ってる」「私が冥いところからみなさんを明るいほうへ送り出して、私は最後まで冥いところにいる。それはまったくネガティブなことだと思ってない」と信念を言葉にする谷絹。目の前の観客の顔を見据えて語ったあと、極太のリフとともに贈られた「大行侵」は、熱く血が滾るようなエネルギーに満ちていた。

 「ネエ、ドウカ私二救ワレル事デ 私ヲ救ッテヤッテクレ」ーーその叫びは、これから先もバンドの核にあり続けるに違いない。

 「楽しい時間はあっという間って言うけど、あっという間すぎるね」と名残惜しそうにしながら、「あなたたちが今こうやって一堂に集まって同じものに同じ熱量でぶつかっているのは、私たちがいるからであり、私たちがいるのはあなたたちがいるからなんです」と絆を確かめ合い、「あと2曲、当然ブチ上げます。いけますか!?」と「antlion」へ。

 畳みかける高速ラップパートも、ハイトーンシャウトもロングトーンも絶好調に暴れ回り、ここまで数十曲歌ってきたとは思えない気迫に圧倒される。勢いのままに、本編ラストは「ダンス・デカダンス」でフロア全体を躍らせ、ラストスパートを駆け抜けた。

 元気なのはバンドだけではない。本編終了後、観客がアンコールを呼ぶ声が会場を揺らし、そのテンションの高さは、のちに再登場したメンバーが讃えるほどだった。

 R&Bテイストの「スピンアウト」を挟み、熱い夜の締め括りとして届けられたのは「光ってろ正義」。まだまだ先へ突き進む攻勢を歌と音に込める3人に、この日いちばんの盛大なシンガロングでオーディエンスが応える。冥い場所で手を取り合い、音楽で全員が繋がる光景があまりにも美しかった。

 LIQUIDROOMよりも大きなZepp Shinjukuをファイナルとした追加7公演が控えているChevon(Zepp Shinjukuは、定数を大きく上回る申し込みでソールドアウト済とのこと)。「追加公演、もっとカッコよくなって、もっと大きなお知らせを持って帰ってきますので、楽しみにしていてください!」と不敵な言葉を残して、谷絹はステージを下りた。

 華やかなヴィジュアルとパフォーマンス、個性的な楽曲とスキル。たくさんの武器を備えながら、何よりも音楽で救い/救われるという強い想いをエンジンに、Chevonの快進撃は加速していく。時代を切り拓く瞬間を見逃さないでほしい。

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