East Of Eden、1周年に向けて磨き上げる挑戦 『Forbidden Fruit -2nd piece-』制作を徹底的に語る

高速リズムや変拍子を乗りこなしていくスリリングさ

――今回収録されている5曲は全体的にスピード感と激しさが強いものばかりですが、特に3曲目「Eden」はその傾向がもっとも強い1曲かなと。

MIZUKI:リズムも速いテンポで「ドットドット」って跳ねている、なかなかないパターンだったのでめちゃくちゃ練習しました。最初はイントロがなかったんですけど、(East Of Edenの多くの楽曲で共作曲&編曲を担当する)Maoさんから「やっぱりイントロも入れようよ!」と提案されて、頭から「ドドドド」とやっています。あと、楽器隊みんなでユニゾンするところがあるんですけど、そこも聴きどころだなと思います。

Yuki:この曲、私がリフを書いたんですけど、最初はテンポもここまで速くなく、リズムも跳ねていなかったんですよ。でも、Maoさんがすごくいい感じに跳ねたアレンジにしてくださって、「このメロディラインでこういうアプローチがあったんだ!」と気づかせてもらえたというか、すごくカッコよくしてもらってめちゃくちゃお気に入りの1曲になりました。East Of Edenの中でも難易度高めになっているので、スリリングといいますか、聴いているほうも「おおっ!?」ってなっていただけるんじゃないかなと思っています。

Yuki

わかざえもん:私はこの曲、結構やりやすいタイプのジャンル感で、楽しくレコーディングできました。何が起こっても進んでいくようなテンポ感で、ライブだとスポーツみたいな楽しさもありますし。

Yuki:実はこの曲、もっとテンポが速くなる予定だったんですよ。

わかざえもん:え、本当に?

Yuki:そうなの。Maoさんから「Yukiさん、このテンポはどう思います?」ってさらに速いアレンジのデモが届いて。それを聴いた時はさすがにせわしないと思って、そのまま伝えたら「やっぱりそうですよね(笑)」ってことで今の形に落ち着きました。

湊:これより速いバージョンがあったんだ(笑)。怖っ!

――バイオリンに関してはいかがでした?

Ayasa:こういうビートってそもそもクラシックにはないアプローチで。サポートとかやっていても、こういう曲にはあまりバイオリンは入らないから、やったことがなかったので、リハでも1人でめちゃくちゃ練習しました。ぶっちゃけますと、最初にこの曲のデモが上がってきた時、普通にボツにしようとしたんです(笑)。

一同:(笑)。

Ayasa:Yukiさんには大変申し訳ないんですけど、さすがにバイオリンがハマるかどうかわからなくて。でも、せわしめな楽器隊に対して、歌心のあるメロディがすごく好きで、聴けば聴くほど世界観が違うというか、それが逆によかったんです。さらに、あかね氏の歌詞もすごく素敵で。ボツにしようとした理由も私の食わず嫌いでしたし、この歌詞があってこの歌があるんだったら自分も頑張ってみようかなと思って。

 で、いざレコーディングの準備に入ったら今までにないぐらい、バイオリンはほぼ空白だったんですよ。Mao氏は入れてほしいフレーズを事前にデモに入れてくれたりするんですけど、この曲に関しては「自由にやっちゃってください」みたいな感じで放棄されていて(笑)。最初はなかなか苦戦したんですけど、今までギターやベースと一緒にリフっぽいフレーズを弾くことがなかったから、そういうのを入れてみようかなと弾いてみたら楽しくなってきて。もしかしたら好き嫌いが一番分かれるかもしれないけど、今の日本でこういう曲をやる女性バンドっていないだろうし、1つの作品の中においてスパイスとしてはすごくいいんじゃないかなと思った曲です。

わかざえもん:ボツになりそうだったという話を聞いて思い出したんですけど、この曲をライブのセトリに入れたのって私のゴリ押しでしたよね。「やりたい!」って言ったら、みんな結構「えっ……」みたいな感じで(笑)。

Ayasa:最初のライブの頃から、この曲の気配はあったんですよ。でも、その時はみんな「いや、この曲をやるんだったら練習する時間がもっとほしい」という感じで。「ツアーではやらなくてもいいじゃない?」っていう思いが今回も私の中にあったんですけど、作品に入れたんだからやったほうがいいんじゃないかと思うようになり、さらにざえちゃん(わかざえもん)もやったほうがいいと後押ししてくれたから、ここで乗り越えようみたいな感じでした。

わかざえもん

――この曲は湊さんが作詞を担当しています。歌詞には過去や今の湊さんにちなんだフレーズやワードが随所に散りばめられていますよね。

湊:そうですね。第二章というテーマは誰にでも当てはまるところがあるし、絶対にそういう内容の歌詞にはしたくて。こうやって集まったからには頑張っていこうよと、自分を鼓舞するような内容にしようと書いてみました。ただ、そういう曲を歌うとなると……私は楽器隊と比べたら比較的まだ余裕があるほうなんですけど、この歌メロは本当に難しくて。ツアーでも、みんなの顔を見て歌えるようにと慣れているところです。

MIZUKI:でもこの前、初めてライブで披露した時、あかねさんはお立ち台のところに座って歌ってましたから(笑)。

Ayasa:すごい余裕がありそうだなって(笑)。

――実際、豊洲PITで拝見したときも、女王の風格すら感じられましたよ(笑)。4曲目は「鈍色のラビリンス」。East Of Edenらしい変拍子がフィーチャーされたスリリングな1曲です。

Ayasa:これもテンポが速いんですよね。ギターも頭からかっ飛ばしてますし(笑)。

Yuki:確かに速いですよね。最初にデモを聴いた時は「これ、イントロはどうなってるのかな?」って思いましたから。で、なんとかタッピングで弾けるようなフレーズに仕上げていったんですけど、実は映像化されている1stライブとは違ったアプローチになっています。変拍子も多いので、これは歌うのも大変だと思うんですけど。

湊:大変だよー(笑)。

Yuki:「お客さんはどんな感じで聴いてくれてるんだろう?」と最初は思っていたんですけど、こうやって音源化されて聴き込めるようになったら「こうなっていたのか!」と理解できるところもあるんじゃないかと。リリース後にお客さんがどんな反応をしてくれるのか、すごく楽しみです。

わかざえもん:これは8分の6拍子でしたっけ?

MIZUKI:頭が8分の6拍子で、Aメロからは4分の3拍子と捉えています。

わかざえもん:私的には前のミニアルバムに入っていた「螺旋回廊」のほうが大変だったかな。歌だけ聴いていたらちょっとワルツっぽいリズムなので、私は比較的やりやすいですし、リスナーとしても聴きやすい曲なんじゃないかな。

MIZUKI:とはいえ、ドラムは変拍子の切り替えのところで意外と「うっ!」って緊張するかも。その切り替えが滑らかにいくように、いつも心がけています。あとテンポも比較的速いので、打数は多くなりますよね。

湊あかね

湊:そういう難しそうな曲を「気持ちよさそうに歌っている」感じに見えるように頑張っています(笑)。

わかざえもん:でも、歌は最初からいけてましたよね?

湊:そんなことない、このBメロが全然意味わからなくて(笑)。

わかざえもん:私、湊さんが歌えるようにってベースラインもいろいろ考えてたけど、最初からちゃんと歌えてたから「じゃあ好きなように弾いても大丈夫だ」と思ってた(笑)。

湊:いやいや、本当にBメロの構成が私的には謎だったんですよ。

Ayasa:3拍子の中でも細かくなるからね。

湊:「えっ、急に?」みたいな。ただ、サビに入っちゃえばそこまで難しいことはないんですけど。

――East Of Edenは変拍子の楽曲もいくつか存在しますけど、そういう曲を歌う時に何か気をつけていることってあるんですか?

湊:イヤモニから流れるクリックを聴き逃さないようにすることです(笑)。そこでリズムを見失ってしまうと本当にわからなくなってしまうので。

――「鈍色のラビリンス」のバイオリンに関してはいかがですか?

Ayasa:私もいざ弾いてみたら、リズムの取り方は自然と覚えられたというか。「伝えたい言葉がこうだったから、たまたま変拍子になった」みたいな感じだから、私的には一番素敵な変拍子のあり方だと思っているんです。バイオリンのフレーズも歌詞をイメージして入れたところもあったりして、弾いていて楽しい1曲です。

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