リアクション ザ ブッタ、刺さる恋愛ソングを武器にメジャーリリース “人に言えない感情”を歌にする喜び

『RO69JACK』優勝曲「君へ」への想い

――そのほかの収録曲についても聞かせてください。本作は結成してからの17年間のベストアルバムということで、バンドにとって、もしくはご自身にとってターニングポイントになった曲を挙げるならどの曲になりますか?

リアクション ザ ブッタ 「君へ」MV / Reaction The Buttha - Kimie (My Dear)

佐々木:最後に収録されている「君へ」。『RO69JACK 14/15』で優勝した曲で、自分たちの音楽や感性を認めてもらえた曲の1つです。僕たちの曲は、自分たちの音楽で大事な人やファンの支えになりたいという気持ちが軸になっているのですが、その根幹の部分が込められている曲でもあります。この曲で『COUNTDOWN JAPAN 14/15』(以下、『CDJ』)に出られたときに「このバンドで、この音楽で、これからもやっていきたいな」と強く思いました。

木田:「君へ」の〈君の答えになり続けるよ〉という歌詞がすごく好きで。ライブでも一番気持ちが入ります。この曲を出したのは初期ですが、そこからずっと活動してきて、〈答えになり続けるよ〉という歌詞の通りにいられているなと思えるんですよ。守り続けられているというか。3月のワンマン(『リアクション ザ ブッタ ONEMAN TOUR 2024 FINAL “Give me more distortion”』)で久しぶりに演奏したんですけど、しみじみしました。

大野:「君へ」は僕の加入前の曲で。初めてこの曲を聴いたときから「この曲はこの先もずっとリアクション ザ ブッタで演奏していく曲なんだろうな」という感覚がありました。ただ、元の曲は僕が叩いていないからこそ、ライブでやるときはいつも試行錯誤していますね。特にこの曲は大事なライブで演奏することが多いので。

木田健太郎(Gt/Cho)

――思いの強い曲でもあると思いますが、そのあたりはどう演奏に反映させていますか?

大野:こういうリズムの曲は、歌詞の気持ちに寄せすぎてプレイがうねると、あんまりよくないかなと個人的に思っていて。歌をちゃんと伝えるためにフラットに演奏するということは意識しています。歌詞としては、それこそ〈君の答えになり続けるよ〉のところが、リアクション ザ ブッタの命題なんだと感じています。

木田:〈君の答えになり続けるよ〉のあとにドンッとスネアが1発入るんですが、そこはライブで毎回命をかけているんじゃないかな。

大野:代弁してくれた(笑)。

佐々木:あの1発ってどういう気持ちなの? 「いいときに叩くぞ」みたいな?

大野:あー、そうだね。「ここやでー!「ぶち抜け!」って感じ。この1発で、その日のライブの良し悪しが決まるくらいの感覚があって。ちょっと早かったり遅かったりすると、それだけで悔しいライブだったなって思ってしまうような。それくらいプレッシャーはありますね。

リアクション ザ ブッタ「仮面」MV / Reaction The Buttha - Kamen (Mask)

木田:あとは、9曲目に収録されている「仮面」もバンドにとってターニングポイントになった曲かなと思います。「君へ」で『RO69JACK』で優勝して、『CDJ』に出演した翌年に出したミニアルバム(『Fantastic Chaos』/2015年)のリード曲で。それまでリアクション ザ ブッタはどちらかというとポップ寄りにいたバンドだと思うんですけど、そのミニアルバムを機にちょっとロックに振ろうという話になったんです。そういう意味では、バンドがロックに変わっていった節目が、この曲だったなと。というのも『CDJ』に出たことで、「またロックフェスに戻ってきたいな」という気持ちになったんですよね。

佐々木:実際にSNSでも反応がよかったりして、結果が出た曲でもあった。そういう意味で、ロック寄りの曲が求められている感じもしました。

木田:何よりロックな曲を増やしたらライブが楽しくなりましたね。ライブを意識して曲を作るようになったのも、そこからかなと思います。

大野:この曲、演奏するのが難しいんですよ。最初、サポートでリアクション ザ ブッタに入ったときに「今、こういう感じの曲を作ってるんだよね」と聴かせてもらったんですけど、「これ、俺やるのか」ってヒヤヒヤした記憶があります(笑)。ライブではガツガツプレイしていますね。男っぽい感じにしていると言うのかな。技術的な話になっちゃうんですけどハイハットで強弱をつけてうねりを生み出したり、ガツっとロックな雰囲気になるような工夫はしています。

恥ずかしいことを歌にする喜びを知った「リード」

リアクション ザ ブッタ「リード」MV / Reaction The Buttha「Lead」MV

――そんな大野さんの感じる、ターニングポイントになった曲は?

大野:「リード」ですかね。「リード」と「ドラマのあとで」は2017年リリースの『After drama』に入っているんですけど、この2曲を初めて聴いたときに「あ、俺ら売れるわ」って思ったんです。もちろんいつも自信作を作っていますし、売れるというのも漠然としたイメージでしかなかったんですけど。でも実際には思った結果が出なくて悔しかった。「これでもダメなのか」っていうショックも含めて、ターニングポイントだったような気がします。今もずっとお世話になっているエンジニアの方とは「リード」で出会っていますし、今の事務所のスタッフと出会えたのも、『After drama』がきっかけだったので、そういう意味でも転機だったのかなと思います。

――その2曲を聴いて「売れる」と思ったのは、どういったところからだったのでしょうか?

大野:「ドラマのあとで」を聴いたとき、ちょうどこの曲の1番の歌詞みたいなことを、当時振られた女の子に感じていたんですよ。だから「俺、佐々木に話したっけ?」って思いました(笑)。

佐々木:ふふふ。

大野:だから「この感情が曲になるんだ」という驚きもあったし、メロディもよかったし。「リード」に関してはやっぱり〈君に愛を吠える犬でいたい〉はキラーワードだなと。曲調的にも、僕たちにとってまた1つの武器ができたなと思いました。

――「ドラマのあとで」と「リード」は、今ではリアクション ザ ブッタの特徴の1つである女々しい男性を主人公にした2曲ですが、佐々木さんとしても、この時期くらいから女々しい男性の恋愛ソングというのは武器や手応えになっていたんですか?

佐々木:というか、自分を出せるようになってきたなという感じでした。カッコつけなくなって、「むしろダサいところを見てください」くらいの。

――そこを出せるようになったのはどうしてだと思いますか?

佐々木:どうしてですかね……「ドラマのあとで」は想像で書いた曲ですけど、「リード」は結構自分をそのまま出したんですよね。「これを歌っていて恥ずかしくないの?」とか言われることがあるんですけど、僕はそれを褒め言葉だと思っていて。「そういうことを歌えているんだ」って。だから人に言えない感情とか、「こんなこと言って引かれるんじゃないか」と思うようなこと、恥ずかしいことを歌にする喜びを知ったのが「リード」だったのかもしれないです。

――実際にメンバーに刺さっているわけですからね。

大野:でも、改めて文字で見るとすごい歌詞だよね(笑)。

佐々木:怖い怖い(笑)。けどこれくらいのことを書かないと刺さらないんだなとも思います。俺は「共感してほしい」というよりも、“刺してナンボ”だと思っているので。

大野宏二朗(Dr)

ワンマンツアーはリアクション ザ ブッタの“ベストライブ”を目指す

――アルバムにはCD限定のボーナストラックとして「ヤミクモ」のライブ音源も収録されています。ライブもリアクション ザ ブッタも魅力の1つだと思いますが、ライブをする上で意識していることや大切にしていることはありますか?

佐々木:僕は「歌詞が聞き取れるように意識して歌うぞ」と思っています。僕自身がライブを観に行って「せっかく素敵な歌詞なのに、聞こえないな」と感じるときがあって。もちろん歌詞がわからなくてもカッコいいバンドはいますけど、僕はせっかく一生懸命書いた歌詞だし、メロディと歌詞でセットで歌なので、そこはライブでも届いてほしいなと思います。

木田:僕は楽器の音を大事にしています。それこそ楽器の音によって歌詞の聞こえやすさも変わってきますし、ライブの迫力も変わってくる。それに、各々が自分の楽器の音にこだわることで個性が出るし、それがバンドでやっている意味なのかなって。

――ご自身のギターの音では、具体的にどういう音を目指しているのでしょうか?

木田:言葉にするのは難しいんですが……歌を支えるギターというのはもちろんなんですけど、それだけだったら他の人でもいいと思っちゃうんですよ。そうじゃなくて、「ギターだけ聴いていてもカッコいい」って、ギターを知らない人にも思ってもらえたらいいなと思いながら音を作っています。その答えはまだ探し続けているんですけど、1つ、“触れそうな音”というのは目指しているところです。弦に触れた音まで聞こえるとか、人間が弾いていると感じられるような手触りのようなもの。ライブでは、日によって違うこともよさなので、そのときの感情みたいなものも出せたらいいなと思っています。

大野:すごく抽象的ですけど、僕は“でっかく構える”というのは大事にしていますね。ライブを観ていて「いいな」と思うバンドって、会場が小さく見えるんですよ。それは人の入りじゃない意味で。じゃあそれって何なんだろうと考えたら、“ライブの大きさ”だった。そのために、僕は緊張しいなんですけど、できるだけ堂々と構えるとか、音がぶわーっと広がるイメージでライブをするとか、そういうことを意識しています。まぁ背が低いからというのもあるのかもしれないですけど(笑)。

――アルバムのリリース後にはワンマンツアー『リアクション ザ ブッタ BEST ALBUM「REACTION THE BEST」RELEASE ONE MAN TOUR “FROM NOW ON”』が控えています。このツアーはどのようなライブにしたいと思っていますか?

佐々木:ベスト盤を携えたツアーなので、リアクション ザ ブッタのライブが初めてという人でも「知ってる、知ってる!」と思えるような曲が並ぶライブになると思います。1回観てもらえたらリアクション ザ ブッタが好きになってもらえるようなライブにしたいですね。“ベストライブ”を目指します。

木田:今まで東名阪でしかワンマンライブをしていなかったのですが、今回のツアーでは初めてワンマンをする土地があるんですよ。これまでは東名阪からなかなか規模を広げられなくて。でも昨年の対バンツアー(『リアクション ザ ブッタ Tour 2023 A/W』)で、北海道や福岡に行ったら、待ってくれてる人がいたという実感があって「これだったらワンマンができるかも」と思ったので、ツアーが決まって嬉しいですし、楽しみですね。

――ベストアルバムをメジャーからリリースという大きな節目になりますが、この先のバンドの展望を教えてください。

佐々木:この先というか……僕はアニメが好きなので、アニメのタイアップ曲はやりたいですね。今回リリースさせてもらうのはソニー・ミュージックレーベルズ内のSACRA MUSICですが、僕が観ているアニメの曲をたくさんリリースしているレーベルなので、勝ち取りたいなと強く思っています。アニメの主題歌をやることで、聴いてくれる人の幅が広がると思うので、ライブのキャパも上げていきたい。僕らの結成の地は埼玉県なんですけど、埼玉にはさいたまスーパーアリーナがあるので、いつかはそこでライブをやりたい。それはずっと思っています。

木田:さいたまスーパーアリーナでのライブは結成当時からの夢で。というのも僕は高校生の頃、さいたまスーパーアリーナの近くでバイトをしていて。公演があるときは、ものすごい数の人がさいたま新都心駅から会場に向かって歩いているのを見ていたんです。だからいつか、その人たちが自分たちを観にきてくれたらいいなって。

大野:あとは、当たり前の目標かもしれませんが、「ドラマのあとで」を超えるような曲ができたらと思っています。それで、リアクション ザ ブッタのことを知らない人はいない、というくらいのバンドになりたいですね。そのきっかけが、もしかしたらアニメのタイアップかもしれないですけど(笑)。

佐々木:ただ、僕としては、再生回数ってそれだけでしかないと思っていて。1曲1曲純粋にいい曲を生み出せていると信じているので、これからもいい曲を生み出していくだけです。

BEST ALBUM 『REACTION THE BEST』

■リリース情報
リアクション ザ ブッタBEST ALBUM 『REACTION THE BEST』
発売日:2024年5月29日(水)
価格:2,800円(税込み)
◎収録楽曲
M1:ドラマのあとで - retake
M2:恋を脱ぎ捨てて
M3:Loopy
M4:リード
M5:一目惚れかき消して
M6:You
M7:Colorful
M8:虹を呼ぶ
M9:仮面
M10:オンステージ
M11:Seesaw
M12:Voyager
M13:君へ
Bonus Track:ヤミクモ(2024.03.17@SHIBUYA CLUB QUATTRO)
※CDパッケージのみ収録
購入:https://lnk.to/0529REACTIONTHEBEST

■関連リンク
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