なぜIVE WONYOUNGに憧れるのか？　若者の間で「ウォニョンイズム」が支持される背景

　ここまで多くの支持を獲得する理由について、IVEの楽曲が持つ自己愛に満ちたコンセプトと彼女の自信に溢れたマインドがリンクしているからではないかと著者は考える。IVEの楽曲は、大ヒットした「LOVE DIVE」や「I AM」など、ラブマイセルフ（Love Myself）の精神を感じさせるような歌詞や自己肯定感を高めるメッセージが込められたものが多い。IVEの楽曲がここまで大きなヒットとなったのは、メッセージの部分よりも中毒性のあるメロディやパフォーマンスなどといった音楽そのものとしての魅力が大きな理由になっていると感じるが、そこにインタビューや番組出演などから窺えるWONYOUNGのポジティブな内面が発信されることにより、楽曲が持つメッセージに説得力が増して、結果的により一層ファンを惹きつけているのだろう。

　また、WONYOUNGはこれまでIVEの楽曲である「Shine With Me」「Mine」「OTT」「Blue Heart」の作詞を単独で手がけているが、例えば「Mine」では「恋愛より私、あなたよりme」といった独特な表現を使っており、アイドルの仕事からインスピレーションを受けたと言う「Blue Heart」については「世界中の人々は私たちに対して非常に攻撃的。だから、アイドルの中には自分が強く在るために、温かい赤のハートよりも冷たい青のハートを選ぶ人もいる」（※1）と作詞の経緯を明かしている。彼女がこれまでしてきた経験に基づいた考え方などが垣間見える自作詞楽曲は、リスナーに強い影響を与えている。

　かつては本人の意思とは別に、所属事務所の方針に沿ったイメージを持たれるアイドルもいたが、WONYOUNGのように本人が発信しているメッセージとグループの楽曲が持つメッセージがリンクしていると、享受する側としてはよりその内容に共感できたり鼓舞されるのだろう。

　様々な情報に溢れ、無意識的に自分と他人を比べたり、起こること全てに一喜一憂することが多くなった世の中なだけに、「私に起こるすべてのことは、最終的に私にとって良いことだ」とポジティブに切り替えて自分自身を愛するWONYOUNGの姿勢が与える影響は小さくないのだ。

※1：https://www.nylon.com/entertainment/ive-switch-lollapalooza