ももクロ、ヒプマイ、ドレスコーズ、イヤホンズら大集結 EVIL LINE RECORDS設立10周年の祭典
暫しの休憩をはさみ、後半戦がスタート。休憩後のテンションをぐっと盛り上げたのはサイプレス上野とロベルト吉野。吉野のスクラッチが会場に響き渡ると大歓声が起き、そこに上野のラップが鮮やかに乗った「Intro」そして「ぶっかます」へ続く。鎮座DOPENESSを呼び込み「RAW LIFE feat. 鎮座DOPENESS」と、HIPHOPへの愛情を惜しみなく展開していくと呼応するように観客も声を上げる。さらに「おもしろおかしく」で音楽の楽しさをあらためて提示、最後はピースサインを残しステージを去っていった。ベテランらしくシンプルで至高のライブパフォーマンスを見せ、HIPHOPの楽しさの原点を体感させてくれたステージだった。
大歓声のなか登場した特撮。「オーバーザレインボー~僕らは日常を取り戻す」の〈僕ら日常を取り戻せる〉〈そこから再び夢を抱け〉〈好きな人に 会いに行こうぜ〉と、まっすぐでありながらも強く真に迫る言葉の数々は、この日集った音楽ファンの心を撃ち抜いたことだろう。TVアニメ『さよなら絶望先生』(TOKYO MXほか)のOPテーマ「人として軸がぶれている」、人気曲「綿いっぱいの愛を!」を立て続けに披露し、衝撃的な音圧と激しさのなかに繊細さを携え、ロックの持つ力をあらためて示す。この凄まじいパワーをさまざまなファン層にぶつけることができるあたりは、長年ロック界に君臨するベテランの成せる技と言えるだろう。
特撮×ドレスコーズ×イヤホンズのコラボ曲は「雲雀の舌のゼリー寄せ」。ステージ上段にイヤホンズ、下段に特撮とドレスコーズ・志磨が登壇。ユーモアあふれる歌詞と女性声優陣の軽快な合いの手、唯一無二のロックスターふたりの競演に大迫力の演奏と、見どころ満載のコラボとなった。
いよいよライブも終盤へ。『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』から各ディビジョンのリーダー6名が集った“Division Leaders”のパフォーマンスだ。各キャストが演じるキャラを意識した衣装に身を包んだ6人が登場するとフロアが大きく揺れる。「UNITED EMCEEZ -Enter the HEXAGON-」でキャラクターの個性やディビジョンの特性を魅力的に表現すると、大歓声が巻き起こる。「ヒプノシスマイク SPメドレー」では、「CLOSS A LINE」「Hang Out!」「SUMMIT OF DIVISIONS」といった人気曲を集め披露。『ヒプマイ』楽曲の楽しさを伝えるメドレーとなった。
モニターに「VS」の文字が映し出されると、七人のカリスマ声優がステージに再登場。事前に告知されていたコラボレーション「ヒプマイvsカリスマ Battle Anthem -EVIL A LIVE 2024-」で、“ヒプカリ”のバトルがスタートする。「反逆のカリスマ」猿川慧のターンになると、カリスマメンバーがヒプマイメンバーに迫っていき、そこから飴村乱数や白膠木簓のターンになるとそれぞれが単身カリスマのほうへ絡んでいくなど、キャラクターや作品の個性を際立たせながらのバトルは、双方のファンにとって楽しい時間となったはずだ。
フェスの大トリを飾ったのは、ももいろクローバーZ。OPムービーが始まると、待ちに待ったモノノフ(ファンの呼称)たちから会場を揺らす大歓声が起こる。1曲目は「ピンキージョーンズ」。レーベルメイトである特撮・NARASAKI作曲のポップチューンは、爆発的な歓喜を巻き起こす。アルバム『イドラ』からの最新曲「Heroes」、名曲「走れ!-ZZ ver.-」とノンストップで続く。ダンス、歌唱、その表情からもトップに君臨し、独自路線を貫いてきた実力と誇りが感じられる、唯一無二のパワフルなパフォーマンスである。自己紹介に続くMC中に、高城れにが「私たちももいろクローバーZは、(レーベルヘッドの)宮本純乃介さんのことがだいす……ゲホゲホ!」と愛を伝えようとするも咳き込んでしまうというもはや定番のくだりから「黒い週末」へ。トーク中「今日はちょっとアウェイかもって聞いていたんですけど……」と笑顔を見せる場面もあったが、百戦錬磨の実力でフェスをホームに変え自分たちのファン以外も笑顔にすることは、彼女たちにとってお手の物なのかもしれない。
ももクロの4人とファンが声を合わせ「ヒプマイさーん!」と呼び込むと、再びDivision Leadersの6人が登壇。この日最大の歓声が上がる。ラストナンバーは、レーベルを代表するももいろクローバーZと『ヒプノシスマイク』2組による夢のコラボ曲「Cross Dimension」。『ももいろ歌合戦』などですでに親交があると語っていたが、お互いの空気感が生み出す絶妙な親和性により、このフェスを締めくくるにふさわしい笑顔溢れるピースフルなステージとなった。最後は、会場が一体となって「ラップってたのC!」「ももいろクローバーZ!」と笑顔でハンドサインを掲げながら声を挙げ、『EVIL A LIVE 2024』は幕を閉じた。
あらゆる形の表現者がここまで先鋭的にクロスできるのは、表現の軸に音楽があり、それぞれにオリジナリティがあること、何より音楽そのものを愛する観客が集っていたことも、EVIL LINE RECORDSの唯一無二の魅力を証明していた。10周年を迎えたレーベルは、これからまたどのような先鋭的な音楽を生み出すのだろうか。今後がより一層楽しみになったフェスであった。
『EVIL LINE RECORDS 10th Anniversary FES.“EVIL A LIVE” 2024』ライブ写真をすべて見る
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