あいみょん、ちゃんみな、IVE、女王蜂、STUTS & 長岡亮介、RIIZE……注目新作6作をレビュー

女王蜂「首のない天使」

　人気スマートフォンゲーム『勝利の女神：NIKKE』1.5周年テーマソングとなる新曲。タイトルは頭部と両腕が無いことでも知られている彫刻作品「サモトラケのニケ」からイメージを広げたもので、なるほど、「ニケ（NIKKE）」つながり。いわゆるA→B→サビで構成される曲ではなく、3パターンほどの主旋律が螺旋を描くように繰り返される。ループで作るダンスミュージックの発想に近いのだが、美しいシンセ、心臓の鼓動、軽やかなギター、きわめて重い低音や凶暴なビートなどを次々に差し替えていくアレンジが秀逸。同じメロディ、同じ言葉であっても、時に空高く舞う光のように、時にギョッとするほど近くにいる化け物のように感じられる。この絶妙な遠近感、もちろんアヴちゃんの声の使い分け方がキモである。（石井）

STUTS & 長岡亮介「いろどりのうた」

　子ども向けSDGs番組『あおきいろ』（NHK Eテレ）と歌番組『みんなのうた』（NHK）でオンエアされる書き下ろし新曲。和名の色がテーマなので〈さくらいろ〉〈あまいろ〉〈べにかきいろ〉などの単語が、説明的すぎない歌詞で次々と紹介されていく。Eテレの音楽と言えば『デザインあ』の音楽を担当したCorneliusが有名で、シンプルな言葉をハーモニーで彩る手法は同じ路線の踏襲とも言える。ただ、すべての音があるべきところに落ち着いていくCorneliusサウンドと違うのは、STUTSのビートが常に楽しそうに踊っているところ、あとは長岡とSTUTS二人の歌唱がいい意味で素人っぽく、子ども目線で一緒に楽しんでいるムードがあるところ。アッパーな曲ではないのに聴くほど心が弾む。（石井）

RIIZE「One Kiss」

　SM ENTERTAINMENTからデビューした男性ボーイズグループの1stミニアルバムより。イケてるお兄さん的なNCTよりも、RIIZEはさらにキュートな愛され路線なのだろう。楽曲にはHIPHOPもあるが、総じて楽しくファンキー、そして抜群にポップ。この「One Kiss」はまさにアイドル王道といったポップソングで、覚えやすいメロディとゆったりした言葉運びは今どきのK-POPらしからぬ新鮮さ。初めて聴く曲なのに不思議な懐かしさがある。恋する気持ちをまっすぐ歌うリリック、メンバーの無邪気な笑顔をたっぷり映すMVも、なんだかキュンキュンです。（石井）