岩本蓮加&田村真佑、乃木坂46を担う自信 プレッシャーの中で乗り越えた『バスラ』も振り返る

 乃木坂46が35thシングル『チャンスは平等』を4月10日にリリースした。三期生・山下美月の卒業シングルであると同時に、ディスコサウンドに乗せて華やかなメンバーの姿を楽しめる表題曲からは、乃木坂46の明るい未来が伝わってくる。一方でカップリング曲にはクールかつお茶目なグループの魅力も凝縮されており、バリエーション豊かな作品になったと言えるだろう。リリースに伴い、リアルサウンドでは岩本蓮加と田村真佑にインタビュー。三期生が乃木坂46を牽引するようになって約1年経つが、その変化の象徴であり、現体制の1つの集大成となった4日間の『12th YEAR BIRTHDAY LIVE』(3月7〜10日開催)についてもたっぷり振り返った。(編集部)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

【オリジナル動画】岩本蓮加&田村真佑「お互いのここが好き!」

【実は甘やかされていた!?】乃木坂46 岩本蓮加&田村真佑、直感でわかった「お互いのここが好き!」

「梅(梅澤美波)の頑張りを見て、ネガティブに考えることはやめた」(岩本)

――この春で三期生以降のメンバーで構成された新体制になって1年になりますが、ここまで過ごしてきていかがですか?

岩本蓮加(以下、岩本):三期生は後輩だった期間がすごく長かったので、だからこそこの1年が光のような速さで過ぎ去っていった気がします。最初は先輩たちに対して「お願いだから卒業しないで!」っていうすがるような気持ちが強くて、昨年も(秋元)真夏さんや(齋藤)飛鳥さん、(鈴木)絢音さんとそんな気持ちで過ごしていましたけど、今は背中を追う先輩がいなくなったことで「もうできるでしょ?」って言われているようで。きっとファンの方は「大丈夫だよ!」と言ってくれるだろうし、卒業した先輩方も「三期生なら任せても大丈夫」ってすごく信頼してくださっていたけど、三期生が見てきた先輩の姿って、ファンの方が見てきたそれともまた違ったところがあるんです。特に三期生は乃木坂46が世間に知れ渡って、人気が爆発的に広まり始めた時期に加入したので、乃木坂46という存在が本当に偉大すぎて、その圧に押しつぶされそうになりつつも、負けないように頑張って戦い続けてきたので、そこに対する自信はあるし、乃木坂46を絶対に守り抜くっていうプライドはありますけど、それでも不安や恐怖のほうが大きくて。

――それはどういった不安だったんですか?

岩本:もちろん四期生はすごく信用できる子ばかりで頼もしかったし、五期生も即戦力になるような子たちばかりだったので、そこに対する不安はなかったですけど、後輩から見た今の三期生は、私たちが見ていた一・二期生みたいになれているのかなっていう不安がすごくあったんです。

岩本蓮加

――圧倒的先輩のような存在感が、三期生には足りていないと?

岩本:そうです。特に三期生って、自分たちを過小評価する癖があるんです(笑)。いろいろ大変なことも乗り越えてきたし、ありがたい言葉もたくさんもらってきたはずなのに、なぜかずっと自信が持てなくて。そんな不安を抱えながら夏の全国ツアー(『真夏の全国ツアー2023』)を迎えたんですけど、そのときにキャプテンの梅(梅澤美波)が……それまでもすごく頑張ってくれていたけど、今まで見たことないぐらいの頑張りを夏のツアーの間に見せていて。一番不安なはずなのに、それを口に出せない立場だったと思うし、特に梅って自分に自信がない子だからこそ、その頑張りを見てしまうと「何がなんでも周りにいる同期が支えなきゃ」「梅がちょっとでも甘えられるぐらい強くいなきゃ」と思うようになって、そのツアーからはネガティブに考えることはやめたんです。先輩から教えてもらったことや学んだことはしっかり身についているはずだから、いざとなれば発揮できるだろうし、余計なことを考えずに自然体でいこうという思いで臨んだら、ツアーを終える頃にはあまり重荷だと捉えることはなくなりました。何より、あのツアーを通して、ファンの方々が今の乃木坂46を認めてくれた感じがすごく伝わってきたのも大きかったですね。三期生が引っ張るなんて無理だと思っていたけど、自分たちのことを誇らしく思えてきたし、何も間違っていなかったんだなと思えたので。今はすごく安定しているなと思います。

――それを12歳で乃木坂46に加入した、三期生最年少の岩本さんが言えるようになったんだと思うと、当時を知る身としては非常に感慨深いです。

岩本:ですよね。7年半も活動しているといろいろ変わるんだなって(笑)。

――田村さんから見れば、今の三期生は頼もしい存在なわけですよね。

田村真佑(以下、田村):もちろんです。一番近い先輩ということもあって、加入したときから関わることが多かったのが三期生さんでしたし、一番近くで三期生さんの背中を追いかけていました。よくインタビューとかで「これからは四期生も、もっとしっかりしていかないといけないです」って答えることもありましたが、その頃はまだ一・二期生さんもいらっしゃって、ある意味甘えられる状況がある中での言葉だったなと今は感じているんですけど、その一・二期生さんが卒業された今は三期生さんの背中がより大きく感じられるんです。だからこそ、ここで三期生さんだけに頼りっぱなしもダメだなということを実感したのが、この1年だったなと思っていて。

 それこそキャプテンの梅澤さんがバスラ(『12th YEAR BIRTHDAY LIVE』)のときに、後輩たちとかスタッフさんがいる前で「もうひとつスイッチをちゃんと入れてやらないとダメだよ」っていうことを伝えてくださりました。そういう言葉を言うのも簡単なことじゃなくて、伝えることにもすごく勇気がいるだろうし、梅澤さん自身もプレッシャーを抱えているはずなのに、それを私たちにも伝えてくれたことで、すごく偉大な先輩だなって尊敬の念が増しました。そういうところも含めて、四期生も引っ張っていく側としてもっと頑張っていかなくちゃいけないんだなと感じた1年でした。

田村真佑

――岩本さんは全国ツアーが終わる頃には自信を持てるようになったとおっしゃいましたが、その変化は今年の『12th YEAR BIRTHDAY LIVE』にもしっかり表れていたと思います。Day1は三期生以降のメンバーが誰一人在籍していなかった時代の楽曲のみで構成されていましたが、まったく違和感なく、かつ新たな乃木坂46像を見事にアピールしていましたが、個人的に一番響いたのがDay4でして。

岩本・田村:おー!

田村:それはどうしてですか?

――Day4は2021年から2024年までの楽曲という、今のメンバーの皆さんのために作られた楽曲中心で進行することもあり、“今の乃木坂46”が一番ダイレクトに伝わってきて。昨年の全国ツアーで感じたものをより強めて、観ていて無条件に楽しいと思えるものだったんです。今の乃木坂46はすごく順調なんだろうなっていうことが、あのDay4で強く実感できました。

岩本:そう言っていただけるのが、私たちとしても一番嬉しいです。

「“ここで四期生が加入したんだ”って実感した『4番目の光』」(田村)

――それにしても4日間でセットリストが一切被らず、合計123曲を披露するという構成は、メンバーにとっても久しぶりに過酷なものだったのではないでしょうか。全曲披露ではないものの、そういう過酷なバスラってコロナ禍に入る直前の『8th YEAR BIRTHDAY LIVE』(2020年2月、ナゴヤドームで開催)以来ですものね。

岩本:本当に久々のことで、昔のことをいろいろ思い出しました。

田村:「そうだ、バスラってこうだった!」ってね(笑)。

岩本:ここ最近は卒業ライブだったり期別ライブだったり、10周年のときは日産スタジアムでやらせていただいたりと、ちょっと特殊な形が多かったけど、だからこそ新しいバスラという特別感もあったと思うんです。でも、今回みたいにバスラらしい過酷さを久しぶりに経験すると、「そう、バスラってこれなんだよ!」って再認識できて。本番に向けて毎日リハーサルをしていて、その期間からかなりしんどいし、それに加えて今までと変わらず他のお仕事も入ってくる。そんな状況下でもライブの完成度を高めていかないといけないし、加入時期によっては知らない曲だらけで覚えることがたくさんあるし。四期生もいろいろ難関を越えているので、ある程度乗り越えられる力はあったのかなと思うんですけど……。

田村:今回は特に五期生が心配で。実際、頭を抱えている子も多く見かけたからね。

岩本:そうだね。私も『ザンビ』の舞台(2019年2月上演の舞台『ザンビ〜Theater's end〜』)と並行して(『7th YEAR BIRTHDAY LIVE』の)リハーサルを進めていたときが、自分が想像していた以上に過酷で。舞台のセリフを覚えながら、初めて踊る振り(振り付け)とポジションを覚えないといけない。しかも、まだまだライブに慣れているというわけでもなかった時期だからキャパオーバーすぎて。そういう経験があったので、今の五期生の大変さがよくわかるんです。ありがたいことにグループ外の仕事も増えていて、リハーサルに全員揃う日がかなり少ない上に、特に今回は選抜曲とアンダー楽曲の編成がごちゃまぜになっていたから、「頭に入れるの、絶対に大変だろうな」って五期生を心配していました。

 でも、そんなプレッシャーの中で迎えた通しリハの完成度がすごく高くて、想像していた以上にみんなが完璧に仕上げてきたんです。なかなかリハに参加できなかった子たちも完璧に振りも覚えていて、みんな家で必死に練習してきたんだろうなっていうのが見てわかるぐらいで。本番じゃなくて、ちゃんと通しリハに間に合うように作り上げてきたんだってことにすごく感動してしまって、その時点で「このライブは上手くいく」って確信できました。そういう意味でも「四期生も五期生も頼もしいな」「ちゃんと乃木坂46っていう看板を一人ひとりが背負っているな」って感じられて嬉しかったです。

――なるほど。三期生は2017年2月開催の『5th YEAR BIRTHDAY LIVE』以来、7年ぶりにさいたまスーパーアリーナに単独公演として立ち、当時も披露した「ハルジオンが咲く頃」をパフォーマンスしましたが、すごく感動的な場面でした。

岩本:今まではありがたいことに神宮(明治神宮野球場)に毎年のように立たせていただいてましたけど、さいたまスーパーアリーナに7年ぶりに帰ってくることがこんなに激アツなんだって、私もすっごく感動しました。しかも、7年前は乃木坂46に入ったばかりでしたし、(一期生の橋本)奈々未さんの卒業とも重なっていて……たぶんこの話を出せば相当前の話だとわかると思うんです。あのときの乃木坂46とはこんなにも変わっているけど、今は乃木坂46を背負って引っ張る立場でここに立っていて、三期生中心でMCを回している。その状態で披露する「ハルジオンが咲く頃」は本当にエモくて、Day2の三期生ブロックは私も泣きそうでした。それこそ前に立っているメンバーを後ろから見ていると……自分もそうなのかもしれないけど、みんな本当に頼もしくなったなって。7年前はみんな猫背で縮こまっていて(笑)、ビクビク怯えながら花道で歌っていたけど、堂々とセンターステージに立ってパフォーマンスしている今の姿を見ると、頑張ってここまで来れてよかったなって思えました。

――四期生にとっては初めてのさいたまスーパーアリーナで、Day3には四期生がフィーチャーされるブロックもありました。ああいう演出でパフォーマンスすると、初心を思い出すこともあったのでは?

田村:そうですね。私たち四期生が、4日間全部異なるセットリストで本格的に臨むのは、今回のバスラが初めてで。最初にバスラに出させていただいたときは1日2曲ずつくらいの出番でしたけど、あの当時先輩方がセットリストが違うことに苦しんでいた姿を見ていましたし、それを自分が体験する日が来るとは想像もできていなかった。全曲披露ではないから先輩方がやってきたこととはちょっと違いますけど、近しいものを体験できたのはすごく嬉しかったですし、Day3に「ここで私たち四期生が乃木坂46に加入したんだ」ということを実感しながら「4番目の光」をパフォーマンスしていると……歌詞にもあるような、〈同じ制服を着たい〉っていう先輩の背中を追いかけていた当時の気持ちをすぐに思い出せて。あの頃の映像を観ると、みんな目が泳いでるし(笑)。

岩本:ふふふ。そうだよね。

田村:それが今や、乃木坂46でこうやって先輩としても後輩としても活動できていて、ファンの皆さんがたくさんいる状態でステージの上で歌って踊っていられる。加入前の自分が知ったらびっくりでしょうね。かっきー(賀喜遥香)なんて男前に煽ったりしちゃって(笑)。人ってこうやって成長していくんだなって思うと、改めてメンバーのことが愛おしくなります。

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